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『20世紀少年』は駄作?“天才”浦沢直樹はホントに面白いか
2007年10月16日00時01分 / 提供:日刊サイゾー
「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で、8年以上も連載された浦沢直樹『20世紀少年』が、昨年から『21世紀少年』にタイトルを変え、今年7月30日号でとうとう最終回を迎えた。
第48回小学館漫画賞をはじめ数多くの賞を受賞し、来年には堤幸彦監督による実写映画化も決まっているこの作品。多くの読者に支持されている一方で、「たくさんの伏線をはって、一切回収していないという、浦沢作品のお約束のパターン」などという批判の声も多いことをご存じだろうか?
最終回でようやく明かされた黒幕「ともだち」の正体は、1巻の同窓会シーンで名前が出た程度のまったくなじみのない存在だった。また、「『ともだちは・友力・を使う』とか、どうなったの?」「理科室の第5の人はなんだったの?」「なんでもカンナの超能力で片付けられてしまう」など、細かな矛盾点に対する指摘も多く、伊集院光も自身のラジオ番組で、「収拾つかなくなって、広げた荷物を大八車にぶっこんで夜逃げしたみたいなラストだな! だいたい『MONSTER』もひどかった!!」と、グチをこぼしていたほどだ。
そう、思えば、第3回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した『MONSTER』(ビッグコミックオリジナル)も、最初はスピード感があったのに、途中からは思わせぶりな引き延ばしが続き、尻すぼみになっていった。
「『20世紀少年』の連載がスタートすると、連載中の『MONSTER』がトーンダウンしました。また、『20世紀少年』連載の途中で『PLUTO』がスタートすると、やっぱり『20世紀少年』がトーンダウン……。これは本人が飽きちゃったのでは、などとと言われてますけど」と、あるマンガ編集者は言う。
では、ここであらためて問いたい。浦沢作品は本当に面白いのか? マンガ業界での評価はどうなのか?
「編集者たちの間では、『浦沢さんは間違いなく天才』と言われています。画力も構成力もあって、人格者。ただしそれゆえに、全力投球しているように見えにくい」(前出のマンガ編集者)
「私も、最初は天才ゆえに手抜きをする人で、それであんなに売れてしまうなんて……という思いがあったんですが、実は彼はすごく努力していて、腱鞘炎を起こしたり肩の持病を抱えたりして、体中ボロボロになって必死で描いている、意外に泥臭い部分があることを知りました」(別のマンガ編集者)
また、とある講演会で彼が語ったセリフに、ある編集者は驚愕していた。
「マンガを描くとき彼は、『脳の奥深くに潜り込んで物語を創作するスイッチを、訓練によって自分ですぐに入れられるようになった』と話していたんです。普通は、そういった感覚的な切り替えは意識的にできるものではない。天才としか言いようがないですよ」
作品に対する先に述べたような一般読者の評価と、関係者によるこの大絶賛との乖離はなんなのだろうか?
「浦沢さんは、プロになる前に『ガロ』に持ち込みをしたことがあるらしい。本来は硬派でマイナーなものが好きで、そういったものにコンプレックスがあるのかも。でも、マンガ界を背負って立つスーパースターになってしまった今、そんな作品を描くのは許されないし、かといって、『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博みたいに、本業そっちのけで好きなことをするというのも、彼のプロ意識では許せないんでしょう」(前出のマンガ編集者)
浦沢作品に顕著な、意味深な伏線の数々はもしかしたら、文学的に深みのある『ガロ』系作品への・コンプレックス・の表れなのかもしれない。そして、それらの伏線が結局最後まで回収されないことが多いのは、たぐいまれな彼の・プロ意識・が災いして、せいぜいひとつの作品に集中するのがやっとだからなのかも。
でも、本当に「誰もが認める天才」ならば、どの作品のクオリティも、文句なしのレベルまで引き上げてほしいのだけど……。
(田幸和歌子)
浦沢直樹(うらさわ・なおき)
1960年、東京都生まれのマンガ家。82年にデビュー後、『YAWARA!』『MASTERキートン』『MONSTER』『20世紀少年』『PLUTO』など数々のヒット作を世に送り出す。
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