女性
【独女通信】お寺で「おもてなし」と「気持ち」について考えた
2007年10月16日18時00分 / 提供:独女通信
光明寺の僧侶であり、宗派を超えた活動を行なうインターネット寺院「彼岸寺」代表の松本さんが、「地域の憩いの場として誰でも気軽に立ち寄れる場としたい」という趣旨で2005年に始めた。運営にはボランティアスタッフが協力し、春から秋にかけての平日、2階のお堂前のスペースにはテーブルやソファー席が設けられ開放されている。
月・水・金曜11時〜14時のみ行なわれる、手作りの日替わり和菓子とドリンクのサービスタイムが特に人気。しかし和菓子は、お坊さんの青江覚峰さんがお寺のお勤めの傍らに作っており、数に限りがある。「毎日来てもなかなか食べられない」という界隈のOLの嘆きも聞かれる。この度、その貴重なスイーツをいただいてきた。わらびもちのとろっと、ぷるぷるした食感と黒蜜とのマッチングは絶妙で、幸せな気分になった。
これらお菓子やドリンクのサービスは、お寺の「おもてなし」であり、お代のかわりは「お気持ち」としてのお賽銭、というのが、なんとも潔く、清々しい。よくお昼に利用している女性は、「お代はなくて、そのかわり仏様にお賽銭として“気持ち”を入れていくなんて素敵なシステムですよね。人の良心への信頼が感じられます」と語る。私も、この日食べられない方への申し訳ない思いと、いただけた感謝の“気持ち”とともに合掌。“信頼”によって結ばれたそのシステムと空間からは、場所をお借りして「居させていただく」謙虚な気持ち、感謝の気持ち、などについてしみじみと考えさせられる。
12時を回ると、手作り弁当や買ったお弁当を手に続々とやってくる人で席は混み出す。男女のグループもいるが、特に女性の姿が目立つ。よく利用するA子さんは、「いつも賑わっていて、がやがやした感じなのに、どこか落ち着いていて神妙な気分になれる雰囲気。自然がいっぱいで、かなり癒される空間です」とここの魅力を語る。
手すりの向こうには墓地が広がっている。談笑する人々の背景に墓地、という景観のミスマッチに最初は驚きもしたが、陽当たりがよく、緑に囲まれているせいか、雰囲気はどことなく華やか。花を供えに訪れている方々の姿や立ち上る線香の煙を眺めていると、自分の身内のお墓参りにも行かなければという気持ちになった。
僧侶ではないが“縁あって”テラスの店長を務めるきはらさんは、ほのぼのとした雰囲気からか、よくお坊さんと間違われるそうだ。お客さんからは思わぬ感謝の言葉をかけられることもあるという。この春のある日には、よく来ていた派遣社員の女性3人組が、派遣期間の最終日に、もう来られなくなるからとお菓子を持って挨拶にきてくれた。去年の秋の最終日の常連さんの一言は、「ここで自然と会社の仲間が集まって、仕事中にはできない話をするようになりました。ここがなかったらこれほど仲良くなっていなかったかもしれない」。そんな出会いは自分達の糧にもなっているという。
人とのつながりを尊重し、「ツナガルオテラ」というキャッチフレーズを掲げる神谷町オープンテラス。今年は10月末で終了、次のオープンは来年の春。それを心待ちにしている人たちがいる。ここでの出会いやひとときは、私たちの心に穏やかなものを残すと同時に、忙しい日常の中で忘れてしまいそうな、大切なもの・ことを思い出させてくれる。(オフィスエムツー/オオノマキ)
■取材協力
・彼岸寺
・神谷町オープンテラスのご紹介(過ごし方編)









