【イ毛メン通信】もっとイケメンになりたい(第10話)
2007年11月19日10時30分 / 提供:イ毛メン通信
「兄貴をエビ子の彼氏だと勘違いしていたのか」
事の顛末を聞いたバリモテ先輩は、よかったよかったとボクの肩を叩いた。
「それで、お願いがあるんです。じつは最近、抜け毛も落ち着いてきたので、おしゃれな美容院に行って、垢抜けた髪型にしたいと思いまして」
「うんうん。行ってくればいいじゃないか」
「それが、ボクは今まで美容院に行ったことがないんです…」
美容院どころか、そもそも、髪型をかっこよくしようと思ったことがなかった。だからいつも髪の毛を切るときは目に付いた床屋に入り、「全体的に短く」とか「すっきりさせてください」とかあいまいに伝えるだけ。あとはお店の人にお任せなので、今時ありえないような昭和のアイドル風7:3スタイルや角刈りに仕上がってビックリ! ということが数え切れないくらいあった。
バリモテ先輩がボクに紹介してくれたのは、芸能人も通っているという有名ヘアサロン(美容院とは言わないらしい)。それなのに、お店にサインが飾られていないところがおしゃれだなぁと、感心しながら店内を見回しているとボクの髪を切ってくれるスタッフさんがやってきた。
「今日はどんなイメージで?」
「あ、お兄さん!」
担当の顔を見て驚いた。なんとエビ子ちゃんのお兄さんだったのだ。キリッとした眉毛、すらりと通った鼻筋。よく見ればひとつひとつのパーツがエビ子ちゃんによく似ている。どうしてボクは、この人を恋人だなんて勘違いしたのだろう。よほど動揺していたのかもしれない。
「バリモテとエビ子の同僚なんですってね。ボクもいらっしゃるのを楽しみにしていました。さて、どんなスタイルにしましょうか?」
「せっかくだから、茶髪にしてパーマもかけちゃおうかなぁ。あ、でも会社員なのでやりすぎはいけないのですが」
「うーん。だけど、髪の毛のことを考えるとおすすめしないなぁ。たとえば、髪に色を入れるときは、毛髪内のメラニン色素を分解して染色するのだけど、染料は浸透性が非常に高いから毛根にダメージを与えやすいんです。パーマはダメージの少ない薬剤はあるものの、影響ゼロというわけにはいかない。美容師の僕が言うのも変だけど、どうしてもというのではないのなら、やめておいたほうがいいですよ」
「お兄ちゃんも抜け毛で悩んでいた」というエビ子ちゃんの話を思い出した。彼の髪型は黒髪のストレートだが、それが伸ばしかけのヒゲとよく似合っている。ふと、ボクもヒゲを伸ばしてみたいと思ったが、この丸顔に銀縁メガネ、ヒゲの組み合わせはいかがなものか。イケメンどころか強面になりそうな気がする。うむむと悩む僕に、お兄さんがアドバイスをくれた。
「短髪&黒髪も、シンプルだけど女性に人気がありますよ。パーマをかけなくても、トップとサイドを長めに残して毛先を遊ばせれば、オンとオフで印象も変えられるし、フェイスラインもすっきり見えると思うんだけど」
「毛先を遊ぶ」という意味がよくわからなかったが、とにかくヘアカットだけでもイメチェンすることはできそうということは理解できた。
「はい。おまかせします!」
結局、髪を切ってもらうときのお決まり文句を言ってしまったが、今回はワケが違う。エビ子ちゃんは変わったボクに気がつくだろうか? 次に会ったら、お兄さんに髪を切ってもらったことを教えよう。
シャカシャカというリズミカルな鋏の音に合わせるように、どんどんさっぱりとしていくボク。
「短髪似合いますよ。あとメガネのフレームを太くしたら、顔が引き締まっていいんじゃないかな?」
銀縁メガネはここ数年買い替えていなかったが、これを機に新調するのもよさそうだ。そう、ひとつをおしゃれにすると全体のバランスが気になるようになるというのは発見だった。ボクはその日、お兄さんに教えてもらったショップとやらに出向き、思い切って洋服や靴も買い揃えた。今までは自分の薄毛をフォローすることばかり考えていて服装には無頓着だったが、髪型を変えることで確実に美意識も高まってくる。
「ボクなんか」が口癖で、年齢よりフケて見えて、いつも自分に自信がもてなかったボク。だけど、はじめてのヘアサロン体験で少しだけイイ男に近づけたような気がした。
■関連リンク
髪にやさしいコラム「髪のオシャレを上手に楽しもう」
髪にやさしいコラム「茶髪は髪に悪い?」
<登場人物>
イ毛メンくん 33歳
海川商事のSE 趣味はお酒を飲むこと。彼女いない歴5年。最近お腹も出てきて、脱毛がひどくなってきたことが悩み。3ヶ月くらい前から総務のエビ子のことが気になっているが、自信がなくて声がかけられない。山梨県出身。
バリモテ先輩 35歳
35歳 独身、女性社員の憧れの的でイ毛メンくんの上司。仕事ができると社内外で評判。髪の毛はフサフサで、引き締まった体をしている。毎晩いろいろな女性とデートをしているせいか残業は一切しない。大阪府出身。
エビ子 25歳
総務部 入社3年目。明るい笑顔がカワイイと社内の人気者。趣味は料理で料理教室に通っている。東京都出身。
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事の顛末を聞いたバリモテ先輩は、よかったよかったとボクの肩を叩いた。
「それで、お願いがあるんです。じつは最近、抜け毛も落ち着いてきたので、おしゃれな美容院に行って、垢抜けた髪型にしたいと思いまして」
「うんうん。行ってくればいいじゃないか」
「それが、ボクは今まで美容院に行ったことがないんです…」
美容院どころか、そもそも、髪型をかっこよくしようと思ったことがなかった。だからいつも髪の毛を切るときは目に付いた床屋に入り、「全体的に短く」とか「すっきりさせてください」とかあいまいに伝えるだけ。あとはお店の人にお任せなので、今時ありえないような昭和のアイドル風7:3スタイルや角刈りに仕上がってビックリ! ということが数え切れないくらいあった。
バリモテ先輩がボクに紹介してくれたのは、芸能人も通っているという有名ヘアサロン(美容院とは言わないらしい)。それなのに、お店にサインが飾られていないところがおしゃれだなぁと、感心しながら店内を見回しているとボクの髪を切ってくれるスタッフさんがやってきた。
「今日はどんなイメージで?」
「あ、お兄さん!」
担当の顔を見て驚いた。なんとエビ子ちゃんのお兄さんだったのだ。キリッとした眉毛、すらりと通った鼻筋。よく見ればひとつひとつのパーツがエビ子ちゃんによく似ている。どうしてボクは、この人を恋人だなんて勘違いしたのだろう。よほど動揺していたのかもしれない。
「バリモテとエビ子の同僚なんですってね。ボクもいらっしゃるのを楽しみにしていました。さて、どんなスタイルにしましょうか?」
「せっかくだから、茶髪にしてパーマもかけちゃおうかなぁ。あ、でも会社員なのでやりすぎはいけないのですが」
「うーん。だけど、髪の毛のことを考えるとおすすめしないなぁ。たとえば、髪に色を入れるときは、毛髪内のメラニン色素を分解して染色するのだけど、染料は浸透性が非常に高いから毛根にダメージを与えやすいんです。パーマはダメージの少ない薬剤はあるものの、影響ゼロというわけにはいかない。美容師の僕が言うのも変だけど、どうしてもというのではないのなら、やめておいたほうがいいですよ」
「お兄ちゃんも抜け毛で悩んでいた」というエビ子ちゃんの話を思い出した。彼の髪型は黒髪のストレートだが、それが伸ばしかけのヒゲとよく似合っている。ふと、ボクもヒゲを伸ばしてみたいと思ったが、この丸顔に銀縁メガネ、ヒゲの組み合わせはいかがなものか。イケメンどころか強面になりそうな気がする。うむむと悩む僕に、お兄さんがアドバイスをくれた。
「短髪&黒髪も、シンプルだけど女性に人気がありますよ。パーマをかけなくても、トップとサイドを長めに残して毛先を遊ばせれば、オンとオフで印象も変えられるし、フェイスラインもすっきり見えると思うんだけど」
「毛先を遊ぶ」という意味がよくわからなかったが、とにかくヘアカットだけでもイメチェンすることはできそうということは理解できた。
「はい。おまかせします!」
結局、髪を切ってもらうときのお決まり文句を言ってしまったが、今回はワケが違う。エビ子ちゃんは変わったボクに気がつくだろうか? 次に会ったら、お兄さんに髪を切ってもらったことを教えよう。
シャカシャカというリズミカルな鋏の音に合わせるように、どんどんさっぱりとしていくボク。
「短髪似合いますよ。あとメガネのフレームを太くしたら、顔が引き締まっていいんじゃないかな?」
銀縁メガネはここ数年買い替えていなかったが、これを機に新調するのもよさそうだ。そう、ひとつをおしゃれにすると全体のバランスが気になるようになるというのは発見だった。ボクはその日、お兄さんに教えてもらったショップとやらに出向き、思い切って洋服や靴も買い揃えた。今までは自分の薄毛をフォローすることばかり考えていて服装には無頓着だったが、髪型を変えることで確実に美意識も高まってくる。
「ボクなんか」が口癖で、年齢よりフケて見えて、いつも自分に自信がもてなかったボク。だけど、はじめてのヘアサロン体験で少しだけイイ男に近づけたような気がした。
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髪にやさしいコラム「茶髪は髪に悪い?」
<登場人物>
イ毛メンくん 33歳
海川商事のSE 趣味はお酒を飲むこと。彼女いない歴5年。最近お腹も出てきて、脱毛がひどくなってきたことが悩み。3ヶ月くらい前から総務のエビ子のことが気になっているが、自信がなくて声がかけられない。山梨県出身。
バリモテ先輩 35歳
35歳 独身、女性社員の憧れの的でイ毛メンくんの上司。仕事ができると社内外で評判。髪の毛はフサフサで、引き締まった体をしている。毎晩いろいろな女性とデートをしているせいか残業は一切しない。大阪府出身。
エビ子 25歳
総務部 入社3年目。明るい笑顔がカワイイと社内の人気者。趣味は料理で料理教室に通っている。東京都出身。
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行きの電車、帰りの電車で