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一般市民がプロ劇団と共演。公共ホール活性化のモデルづくり。=横浜市(下)

一般市民がプロ劇団と共演。公共ホール活性化のモデルづくり。=横浜市(下)
死者が全員で、将軍に敬礼。「自分が誰なのか、どこから来たのか、いつ死んだのか、わからないのです」。演技は盛り上がる。(撮影:穂高健一、9月26日) 写真一覧(5件)
【PJ 2007年10月06日】− (中)からのつづき。劇団「U・フィールド」主宰の井上さんから、一般市民の演技力などを聞いた。「初めて舞台に立つ人が2人。最近は市民演劇が盛んなので、舞台を経験している人が多かったけれど、プロの演劇技術のハードルは高い。最終的には20人切るだろうと思っていました。うれしい誤算で、24人が残りました」と話す。

 武内紀子さんは、「一般市民から選ばれた方々には、プロ演劇との競演の楽しさ、同時に厳しさを知ってもらったようです。責任を持って演じてもらう。そのためにも細かい点までアドバイスしています」と話す。他方では、「70歳代の方が、長いせりふを覚えよう、自分のものにしようとする熱意。それらには感動しています」と語る。

 一般市民の宮内咲希子さん(17)は高校2年生、学校帰りの制服姿で練習場に駆けつけていた。昨年、東京・中野区でプロ劇団「U・フィールド」の演劇を見たことがあるので、応募していた。「緊張の連続です。でも、身近なところでプロの演劇がみられるから、すごくうれしい」と教えてくれた。

 深谷友一さん(21)は、2年間プロ劇団でやってきた。いまは独立する。作品は脈絡のない妄想と現実の世界を行き来する。それでいて考えさせられ、心にひびくものがあるという。「このさき私の人生に大きく役立つと思う。いまは感激しまくっています」と語る。

 大学で演劇活動をする目崎剛さん(20)も公募の一人。「U・フィールドは基礎からしっかり舞台を作っている。稽古(けいこ)方法など、いろいろ学べます」と話す。鈴木聡子さん(35)は演劇養成所で2年ほど勉強したが、舞台は初めて。「練習中、はみ出すことがあります。でも、気持ちは高まっています」と心境を述べる。

 小林千穂さん(49)は、02年から市民演劇を渡り歩いてきた。今回は20回目の記念すべき出演。「再デビューの心意気です」。ほかの市民演劇を知る経験から、「U・フィールドはフレンドリーです」と話す。鎌田唯人さん(21)は、小学校3年の学芸会、高校2年のときから演劇を目指す。「将来はTVドラマに出ることが目標です」と教えてくれた。

 26日の練習は、死んだ市民兵士たちが望郷の念を持ち、将軍に祖国につれて帰ってくれ、と悲痛な声で叫ぶ場面だった。大勢の死者が叫ぶ、というシュールな状況設定だが、戦争の痛ましさが心に迫ってくるものだ。将軍役の七海大洋さん(36)は「深読みする必要はない。意味を追うと、頭のなかが混乱する。すべてを理解しようと思わないで欲しい。無意味なことが、意味がある」と話す。

 主役の東亨司さんは見る側に立って語る。「芝居は料理屋とおなじです。素材を仕入れて手間をかけて調理し、オリジナルな味をだす。お客はまずいと、二度とその料理屋に行かない。劇団となると、二度と観に行かない」と自らにも厳しさを与えていた。

 通常の劇団の稽古は3カ月が平均らしい。今回は2倍以上のロングランで、苦労もずいぶんあったようだ。一般市民を含めた大所帯で、41人の出演者、スタッフをあわせると約60人。スケジュール調整が大変だったという。他方で、横浜市との共同の舞台づくりは多くのメリットがあった。一つには一般参加者が大勢集まったことだ。公演をおこなう場所で、ワークショップや稽古ができた。

 「数カ月前から、本番と同じ場所で、稽古ができることはそう多くありません。ホールの提供は照明などスタッフがつくと同時に、経費が発生する。横浜市の劇場側は可能なかぎり、便宜を図ってくれました」と井上さんは次々にメリットをならべていた。

 プロの演劇人が指導を兼ねて市民演劇に入り、レベルを上げるケースはある。しかし、今回の場合は逆で、一般市民がプロ劇団のなかに入り込んだ。日本ではなかなか見られないケースだという。「芝居の新しいモデルとして、劇場の活性化として、横浜から発信したい」と横浜市とU・フィールドの関係者は話す。【了】

■関連情報
U・フィールド『孤独な老婦人に気をつけて』
日時:10月13日、17:00開演
  10月14日、14:00開演
会場:横浜市泉区民文化センター テアトルフォンテホール
  045−805−4000
最寄駅:相鉄いずみ野線「いずみ中央駅」下車すぐ。横浜駅から約24分
有料駐車場、有り
料金:当日3800円、前売3600円、高校生以下2800円

記者HP:穂高健一ワールド
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パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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一般市民がプロ劇団と共演。公共ホール活性化のモデルづくり。=横浜市(下)
劇団U・フィールドの旗揚げ公演を見て、武内紀子さんは入団した
一般市民がプロ劇団と共演。公共ホール活性化のモデルづくり。=横浜市(下)
兵士の敬礼。指先まで、しっかり指導を受ける。(撮影:穂高健一
一般市民がプロ劇団と共演。公共ホール活性化のモデルづくり。=横浜市(下)
死に絶えた兵士を抱き起こす、将軍。(撮影:穂高健一、9月26日
一般市民がプロ劇団と共演。公共ホール活性化のモデルづくり。=横浜市(下)
一般公募で、選抜された。最年長者は70歳代。(撮影:穂高健一、
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