【独女通信】元“オリーブ少女”が抜けられない“ステキなライフスタイル”思想とは
2007年10月13日18時00分 / 提供:独女通信
「ステキな生活」「自分らしい生活」というものは誰だって憧れる。しかし問題は何をもって“ステキ”とするかという価値観。自分ではそれが自然で自分らしくステキな生活だと思っていても、それも実は型にはまった形骸的なものだったということはよくある話だ。
あゆみさん(31歳・OL)には2冊の愛読雑誌があるという。1つは「リアルシンプルジャパン」(日経BP社)、そしてもう1つは「天然生活」(地球丸)。その存在を知らぬとも雑誌名をみるだけでなんとなく察しはつきそうだが、要するにどちらも“シンプル”で“自然体”のステキなライフスタイルを提唱する雑誌、といっていいと思う。誌面にはどちらもステキなライフスタイルを送る著名人(フードコーディネーターやスタイリストなどが多い)が登場し、生活するうえでの愛用の品々を教えてくれたりするのである。
そんなあゆみさんのステキなライフスタイルなこんな具合である。
「衣服のブランド品にはほとんど興味ないです。服は無印良品とかで安くすませちゃいますし、バッグはナイロンリュックとかで満足。ただ、台所周りや食事の出資はけっこうすごいかも……」
具代的に“台所周り”とはどんなものか? 例えばあゆみさんの愛用鍋「ル・クルーゼ」。フランスで200年以上も愛され続けるホーロー製のお鍋なのだが、これが1つ平均一万円〜二万円。これを3つ持っているという。さらにこれまた世界中の料理上手が愛用しているというスイス製のハンディ・プロセッサー「バーミックス」。これがだいたい2万5000円……。もともと料理好きだったというが、これらはすべて雑誌に登場するステキなライフスタイルに影響されて購入してしまったという。確かにどちらもけっこうなお値段だ。
「これを他の人に話したら『無駄遣いじゃない?』って言われたんですけど……」
確かにこうなるとなんとなく“シンプル”で“自然体”からずれているような気はしなくもない。いいものを長くという発想なら、カバンにエルメスやヴィトンといった高級ブラン
ド品を持つ人々の感覚と大差ないのだから。
「そうなんですよ。なんか最近そういう“自然体に憧れる不自然”みたいな矛盾は薄々感じています。ル・クルーゼで長時間スープを煮込んだり、ベランダでバジルなどのハーブを育てたり、余った野菜を干したりするライフスタイルは確かにステキだと思うんですけど、本当は“そういう生活を送っている自分”が好きなだけじゃなかと。ル・クルーゼやバーミックスだって、高級ブランド品を自慢する人々と何が違うかといわれれば、同じですかね。もしかしたらいつかそういうものに囲まれるステキな日々を誰かに公表し、ステキですねって言ってもらいたいだけかも」
言うまでもなくそんなカリスマフードコーディネータのようにあゆみさんが雑誌に颯爽と登場する日々はたぶん……こない。
そんな「シンプルで自然体なライフスタイル好き」女性に対し、自分も同じような気質を持つと自認する未央さん(28歳・IT企業)は自らをこのように分析する。
「こういう女性って“オリーブ少女”から派生しているんじゃないかと思うんですよ。私もこういう生活を送っていると『オリーブで見た“生活を楽しんでいるイギリスの女の子”』っぽいなと感じるんです。そしてやたらと高級ブランドものを追いかけて、消費にあけくれる人々を“心が貧しいのね”と思ってしまう。自分のほうが豊かな生活をしているんだと優越感を抱いてしまうんですよね」
「オリーブ少女」とは1982年に創刊された「Olive」という少女雑誌の愛読者のこと。現在は休刊してずいぶんたつが、当時からパリジェンヌをはじめとするヨーロッパの女性たちの“ステキなライフスタイル”を紹介し、それに憧れる女性たちはそう呼ばれたのである。世代的にも実はちょうど独女世代ドンピシャだ。
少女でもなくなり、雑誌もなくなった現在のオリーブ少女ならぬ“オリーブ独女”たち。しかし雑誌がなくなっても少女の魂は消えていなかったということか。彼女たちが「ステキなライフスタイル」に憧れる日々は今もなお、終わりそうもないのである。(高山惠)
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あゆみさん(31歳・OL)には2冊の愛読雑誌があるという。1つは「リアルシンプルジャパン」(日経BP社)、そしてもう1つは「天然生活」(地球丸)。その存在を知らぬとも雑誌名をみるだけでなんとなく察しはつきそうだが、要するにどちらも“シンプル”で“自然体”のステキなライフスタイルを提唱する雑誌、といっていいと思う。誌面にはどちらもステキなライフスタイルを送る著名人(フードコーディネーターやスタイリストなどが多い)が登場し、生活するうえでの愛用の品々を教えてくれたりするのである。
そんなあゆみさんのステキなライフスタイルなこんな具合である。
「衣服のブランド品にはほとんど興味ないです。服は無印良品とかで安くすませちゃいますし、バッグはナイロンリュックとかで満足。ただ、台所周りや食事の出資はけっこうすごいかも……」
具代的に“台所周り”とはどんなものか? 例えばあゆみさんの愛用鍋「ル・クルーゼ」。フランスで200年以上も愛され続けるホーロー製のお鍋なのだが、これが1つ平均一万円〜二万円。これを3つ持っているという。さらにこれまた世界中の料理上手が愛用しているというスイス製のハンディ・プロセッサー「バーミックス」。これがだいたい2万5000円……。もともと料理好きだったというが、これらはすべて雑誌に登場するステキなライフスタイルに影響されて購入してしまったという。確かにどちらもけっこうなお値段だ。
「これを他の人に話したら『無駄遣いじゃない?』って言われたんですけど……」
確かにこうなるとなんとなく“シンプル”で“自然体”からずれているような気はしなくもない。いいものを長くという発想なら、カバンにエルメスやヴィトンといった高級ブラン
ド品を持つ人々の感覚と大差ないのだから。
「そうなんですよ。なんか最近そういう“自然体に憧れる不自然”みたいな矛盾は薄々感じています。ル・クルーゼで長時間スープを煮込んだり、ベランダでバジルなどのハーブを育てたり、余った野菜を干したりするライフスタイルは確かにステキだと思うんですけど、本当は“そういう生活を送っている自分”が好きなだけじゃなかと。ル・クルーゼやバーミックスだって、高級ブランド品を自慢する人々と何が違うかといわれれば、同じですかね。もしかしたらいつかそういうものに囲まれるステキな日々を誰かに公表し、ステキですねって言ってもらいたいだけかも」
言うまでもなくそんなカリスマフードコーディネータのようにあゆみさんが雑誌に颯爽と登場する日々はたぶん……こない。
そんな「シンプルで自然体なライフスタイル好き」女性に対し、自分も同じような気質を持つと自認する未央さん(28歳・IT企業)は自らをこのように分析する。
「こういう女性って“オリーブ少女”から派生しているんじゃないかと思うんですよ。私もこういう生活を送っていると『オリーブで見た“生活を楽しんでいるイギリスの女の子”』っぽいなと感じるんです。そしてやたらと高級ブランドものを追いかけて、消費にあけくれる人々を“心が貧しいのね”と思ってしまう。自分のほうが豊かな生活をしているんだと優越感を抱いてしまうんですよね」
「オリーブ少女」とは1982年に創刊された「Olive」という少女雑誌の愛読者のこと。現在は休刊してずいぶんたつが、当時からパリジェンヌをはじめとするヨーロッパの女性たちの“ステキなライフスタイル”を紹介し、それに憧れる女性たちはそう呼ばれたのである。世代的にも実はちょうど独女世代ドンピシャだ。
少女でもなくなり、雑誌もなくなった現在のオリーブ少女ならぬ“オリーブ独女”たち。しかし雑誌がなくなっても少女の魂は消えていなかったということか。彼女たちが「ステキなライフスタイル」に憧れる日々は今もなお、終わりそうもないのである。(高山惠)
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