レシピ投稿サイト「クックパッド」には、様々なアイデアレシピがアップされている

写真拡大

   自慢のレシピを写真などとともに投稿し、非会員でも閲覧できる「投稿サイト」が人気を集めている。大好評レシピの「大葉にんにく醤油」など、身近な材料で手早くできるアイデアが人気の秘密。ゆで卵の作り方、といった基本の「キ」も伝授してくれるが、背景には家庭料理が崩壊しつつある現状もあるようだ。

6600人余りのファンが付く主婦投稿者も

   このレシピ投稿サイトは、同名の会社が1998年10月から運営している「クックパッド」。動画を投稿するユーチューブのように、無料会員登録をしたユーザーが自慢のレシピを写真とともに投稿し、非会員でも閲覧できるシステムだ。投稿レシピには、読者コメントの一種である写真付き料理実践報告も付けられる。これは、「つくりましたフォトレポート」を略して、「つくれぽ」と呼ばれている。

   クックパッドによると、レシピは一日平均、300〜400件アップされているという。非会員を含め月間280万人のユーザーがあり、日本最大の料理サイトとの触れ込みだ。20〜30代の主婦を中心に、ユーザーの9割以上が女性という。

   サイトの人気を支えている一つが、ファンが多い「パワーユーザー」だ。約2万人いるといい、中には、新着レシピをメールで受け取るファンを1000人以上取り込んだ人がいる。その一人が、米国シカゴ在住の日本人主婦。この主婦には、ファンがなんと6600人余りもいるのだ。

   その人気ナンバー1レシピが、調味料の「大葉にんにく醤油」。大葉とスライスをしたにんにくを醤油に一晩以上漬け込むシンプルな料理だ。が、おむすびやスパゲッティなど、それを使ったバリエーションの豊富さが魅力だ。クックパッド広報担当の櫻井友希代さんは、「料理研究家が言う難しいレシピとは違い、身近な材料で手早くできるアイデアが人気の秘密です」と解説する。

   サイトに掲載されている主婦の9月19日付日記「心から ありがとう」には、1490件の「つくれぽ」が寄せられたことが報告されている。「つくれぽ」を見ると、実践報告の写真とともに、「我が家の常備品です」「和風パスタ、美味でした!」などの言葉が踊っている。この人気で、07年1月26日には、TBSの生活情報番組「はなまるマーケット」でレシピが紹介され、ローソンが6〜7月にサラダに使用して商品化した。

「親から子へレシピが伝わりにくくなっている」

   お手軽料理がはやる背景には、家庭料理の作り方を知らない人が増えてきたという事情があるようだ。「核家族化や一人暮らしの増加などで、親から子へレシピが伝わりにくくなっています。このような問題意識がきっかけで、ウィキペディアのような集合知のサイトを企画しました」と広報担当の櫻井さん。

   ところが、だれでも投稿できるとあって、中にはレシピと言えるのかと思える投稿もある。例えば、子どもが自分でも作れるような「イチゴミルク」だ。

   「知らなかった☆いちごの美味しい食べ方」として、イチゴスプーンでつぶし、砂糖をかけてから、牛乳を入れてよく混ぜる手順が紹介されている。「旦那さんが、『そのためのイチゴ用スプーンだよ』と…」と投稿者のコメントが付いており、「つくれぽ」には、それに呼応して、「すっぱい苺が美味しく食べられました〜」などと、30件もの実践報告が来ていた。

   このほか、冷水をかけて皮をむきやすくする「ゆでたまごの上手な作り方♪」の投稿も。「ゆでたまごってただ、ゆでるだけ!って思っていたんだけど・・・」と投稿者のコメントが入っていた。

   こうした基礎知識の投稿について、2ちゃんねるでは、「発見!おもしろすぎるレシピ」などのスレッドが立って話題になっていた。前出の櫻井さんは、「一人暮らしで知らない人のために、覚え書きとして投稿したのではないでしょうか」と話している。