今週のお役立ち情報
【よこ顔】無声映画は静かなブーム。新進気鋭の活動写真弁士=片岡一郎さん(上)
2007年09月27日02時18分 / 提供:PJ
【PJ 2007年09月27日】−
巨匠・溝口健二監督の無声映画が16日、東京・池袋の新文芸座で、2本立てで上映された。『折鶴お千』、『滝の白糸』、原作はともに泉鏡花。溝口監督はヴェネチア映画祭で3年間連続し、国際賞を受賞したことで有名だ。『世界で最も美しい』映画づくりの監督ともいわれている。日本よりも、海外とりわけヨーロッパでは有名だ。
『折鶴お千』は溝口監督の最後の無声スタイルの映画である。主役は往年の大スター・山田五十鈴が10代のときの作品。ストーリーは、貧しい大学生に恋心を持った女性が身を売って学費と生活費を稼ぐ。大学生は名医の道を歩む。女性はやがて売春容疑で逮捕される。恋が破たんした数十年後に、境遇の違うふたりが偶然、再開するという、明治文学の特有のシンプルな純愛物語だ。
同作品は美ぼうの山田五十鈴の名演技が光る。彼女の容姿の美しさと演技がスクリーンいっぱいに映しだされる。撮影技術は一コマずつ高度なテクニックで、現代でも十二分に通用する。むしろ、現代より勝るものがあるかもしれない。
舞台脇の演台では、活動写真弁士の片岡一郎さん(29)が男優、女優の声を巧みに使い分けた、魅力たっぷりの美声で、せりふを語る。スクリーンの字幕も抑揚をつけて読む。観客の心がごく自然にスクリーンに惹(ひ)きつけられる。観客は、ラストの悲しみと哀れみの再会場面で、涙腺をゆるめて涙していた。
映像、弁士、音楽が三位一体で、新鮮な感動を与えてくれた。戦後世代には、活動弁士付きの無声映画を聞く機会などなかった。それだけに印象深い映画鑑賞だった。特に活動写真弁士の片岡さんは、情感豊かな話術である。そこには新しいエンターテイナーの世界があった。
同日は2本の映画が入れ替えなしで、終日上映された。『滝の白糸』の活動写真弁士は、文化庁芸術祭優秀賞を受賞している澤登翠(さわとみどり)さん。ほかにも、弁士・斉藤裕子さん、桜井麻美さんが加わり、交代で務めていた。
新文芸座で、活動写真弁士の片岡一郎さんから話を聞くことができた。弁士との出会いから聞いてみた。「高校時代は落語、講談など、話芸の世界に興味を持っており、演劇部に所属しました。そのころ活動写真弁士の知識はありました。しかし、無声映画時代は遠い昔の存在で、いまの時代に弁士がいるとは、まったく思ってもみませんでした」と話す。
大学受験の浪人中に、澤登翠さんのチラシを見て、いまでも弁士がいるのだと思い、片岡さんは劇場に足を運んでみたという。それが実質的に弁士との初めての出会いだった。
「おどろきました。無声映画に、こんな魅力的な側面があったのか、と。それは懐古的なものではなく、現代の芸能に十二分に通用する、という感動ものでした」と話す。
片岡一郎さんは日本大学芸術学部演劇学科に入学した。そこでは演劇を学び、サークル活動は「ミュージカル研究会」に所属した。他方で、無声映画鑑賞会(マツダ映画社主催)に、足しげく通いはじめたのだ。
いまから7年前、東京・鶯谷に無声映画と活動弁士を売りにした、シアター・レストランが誕生した。大学生の片岡さんは、新規の弁士のオーディションに応募した。そこでは映写技師と弁士をともに体験することになった。他方で、「まだ修行の身」、という意識から、弟子を取らないという、活動写真弁士の澤登翠さんの下に押しかけ入門したのだ。【つづく】
■関連情報
片岡一郎さん
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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『折鶴お千』は溝口監督の最後の無声スタイルの映画である。主役は往年の大スター・山田五十鈴が10代のときの作品。ストーリーは、貧しい大学生に恋心を持った女性が身を売って学費と生活費を稼ぐ。大学生は名医の道を歩む。女性はやがて売春容疑で逮捕される。恋が破たんした数十年後に、境遇の違うふたりが偶然、再開するという、明治文学の特有のシンプルな純愛物語だ。
同作品は美ぼうの山田五十鈴の名演技が光る。彼女の容姿の美しさと演技がスクリーンいっぱいに映しだされる。撮影技術は一コマずつ高度なテクニックで、現代でも十二分に通用する。むしろ、現代より勝るものがあるかもしれない。
舞台脇の演台では、活動写真弁士の片岡一郎さん(29)が男優、女優の声を巧みに使い分けた、魅力たっぷりの美声で、せりふを語る。スクリーンの字幕も抑揚をつけて読む。観客の心がごく自然にスクリーンに惹(ひ)きつけられる。観客は、ラストの悲しみと哀れみの再会場面で、涙腺をゆるめて涙していた。
映像、弁士、音楽が三位一体で、新鮮な感動を与えてくれた。戦後世代には、活動弁士付きの無声映画を聞く機会などなかった。それだけに印象深い映画鑑賞だった。特に活動写真弁士の片岡さんは、情感豊かな話術である。そこには新しいエンターテイナーの世界があった。
同日は2本の映画が入れ替えなしで、終日上映された。『滝の白糸』の活動写真弁士は、文化庁芸術祭優秀賞を受賞している澤登翠(さわとみどり)さん。ほかにも、弁士・斉藤裕子さん、桜井麻美さんが加わり、交代で務めていた。
新文芸座で、活動写真弁士の片岡一郎さんから話を聞くことができた。弁士との出会いから聞いてみた。「高校時代は落語、講談など、話芸の世界に興味を持っており、演劇部に所属しました。そのころ活動写真弁士の知識はありました。しかし、無声映画時代は遠い昔の存在で、いまの時代に弁士がいるとは、まったく思ってもみませんでした」と話す。
大学受験の浪人中に、澤登翠さんのチラシを見て、いまでも弁士がいるのだと思い、片岡さんは劇場に足を運んでみたという。それが実質的に弁士との初めての出会いだった。
「おどろきました。無声映画に、こんな魅力的な側面があったのか、と。それは懐古的なものではなく、現代の芸能に十二分に通用する、という感動ものでした」と話す。
片岡一郎さんは日本大学芸術学部演劇学科に入学した。そこでは演劇を学び、サークル活動は「ミュージカル研究会」に所属した。他方で、無声映画鑑賞会(マツダ映画社主催)に、足しげく通いはじめたのだ。
いまから7年前、東京・鶯谷に無声映画と活動弁士を売りにした、シアター・レストランが誕生した。大学生の片岡さんは、新規の弁士のオーディションに応募した。そこでは映写技師と弁士をともに体験することになった。他方で、「まだ修行の身」、という意識から、弟子を取らないという、活動写真弁士の澤登翠さんの下に押しかけ入門したのだ。【つづく】
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