「なりすましメール」騒動で福田首相HPがなぜか閉鎖

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   福田康夫新首相を装い、有害なソフトウェアを仕込んだメールが複数にわたって送信されていることが分かった。メールには「アジアの一員たることを基軸とする外交」とする「福田路線」を意識したとも思われる文も書かれていた。この騒動に伴い、福田事務所は急きょホームページを閉鎖した。その理由は?

添付されているファイルは、ウィルスの疑い

   福田新内閣が発足した2007年9月25日、福田首相のホームページが閉鎖される事態が発生した。ホームページには「『なりすましメール』にご注意ください」と題された警告文が掲載されているだけだ。福田康夫事務所によれば、ホームページ閉鎖は、新首相に成りすましたメールが多方面に何者かによって送信されたため、のようなのだ。

   閉鎖された福田康夫首相のオフィシャルホームページには次のような警告文が掲載されている。

「今般、福田康夫を装った『なりすましメール』が各方面に配信されていることが判明しました。これらのメールは、本人並びに当事務局では一切関与してないメールです。なりすましメールに添付されているファイルは、ウィルスである可能性が高く、危険ですので、速やかに削除していただくようお願いいたします」

   同事務所によれば、07年9月24日夜までに10件ほどの問い合わせが事務所に寄せられ、「なりすましメール」が配信されていたことが判明。メールの差出人は「福田康夫」となっており、タイトルは「アジアの一員たることを基軸とする外交」というもので、「国際重視・日米同盟堅持・アジアの一員たることを基軸とする外交」という日本語の一文と事務所の連絡先が記載されていた。このメールには「mofa.zip」というファイルが添付されていて、ファイルを開こうとすると警告が出たことから、不審に思ったメール受信者が福田事務所に問い合わせたようだ。

   メールの内容は、福田首相がかねてから主張している中国などアジア諸国との協調路線を意識したと思われるほか、添付されていたファイル名「mofa」も外務省(Ministry of Foreign Affairs)を意識したものと思われる。

「色々な可能性を総合的に考えて判断した」

   米セキュリティソフト会社symantecは2007年9月25日に同社の公式ブログで、新首相を名乗った新しい「トロイの木馬」(コンピュータに進入する不正プログラム)を発見したと告知。同ブログによれば、添付されていた「mofa.zip」のアーカイブファイルを同日入手し、バックドア機能を持つマルウェア(悪意を持ったソフトウェア)を持つことを発見したという。このマルウェアにより、コンピュータへ繰り返し不正侵入され、攻撃者の命令を受け入れてしまう可能性があるようだ。

   しかし、福田首相のホームページはなぜ閉鎖されたのか?

   福田康夫事務所はその理由について、

「何が起こるかわからないので、万が一のことを考えて」
「色々な可能性を総合的に考えて判断した」

J-CASTニュースに対して説明しており、サイバー攻撃などが理由ではないとしている。「なりすましメール」による「実害」も福田首相周辺には何も無いわけだが、要は、ネット上でも「安定感」を堅持するために念のために閉鎖した、ということのようだ。

   同事務所は「あらたなホームページを開設するかは検討中」としており、当面は首相官邸のホームページから情報発信する方針だ。