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[CNET Japan] 政府のコンテンツ施策は「口だけ?」 --ゲーム・映画業界などのキーパーソンが苦言

2007年09月25日08時00分 / 提供:CNET Japan

CNET Japan

 政府が「コンテンツ立国」というスローガンの下、日本のコンテンツ産業の育成に力を入れている。しかし海外で成功を収めている作品や業界はごく一部だ。世界で通用する作品を生み育てるのに、何が欠けているのだろう。

 9月21日に、東京ゲームショウ2007併催としてホテルニューオータニ幕張で行われた「コ・フェスタ フォーラム in TGS 2007」。エンターテインメントグローバルミーティングと題して、各界で活躍するキーパーソンが世界のコンテンツ市場の現状や日本においての課題などについて、熱い討論を繰り広げた。

 討論に参加したのは、香港のインディペンデント映画制作会社Ediko Filesの社長で「HERO」「LOVERS」「僕の彼女を紹介します」などのヒット作をプロデュースしたBill Kong氏、オズ代表取締役で、「帝都物語」「リング」「呪怨」「犬神家の一族」などの邦画だけでなく「呪怨」のハリウッドリメイクなども手がける一瀬隆重氏、TBSテレビ 事業本部 コンテンツ事務局 映像事業センター 映画事業 映画プロデューサーとして「黄泉がえり」「ゼブラーマン」「下妻物語」「どろろ」などを手がけた平野隆氏、エイベックス台湾董事総経理兼エイベックスチャイナ総裁特別顧問としてアジア圏での音楽展開を手広く扱う宮崎伸滋氏、そしてスクウェア・エニックス代表取締役の和田洋一氏の5名。モデレーターは日経エンタテインメント! 編集委員の品田英雄氏がつとめた。

一瀬隆重氏

 まず、日本のコンテンツについては一同口を揃えて魅力的であるとした。ただ、映画に関しては一瀬氏が「日本の映画が海外で成功するのは難しい」、平野氏が「日本ではスタームービーのような特定カテゴリの映画しかフィーチャーされておらず、世界に進出する作品は少ないように思う」と難しさを述べる。

 一方、音楽に関しては宮崎氏が「アジア圏では日本のカバー曲のヒットが多い。日本の作家がアジアでヒットを狙うケースも増えてきた」とした。また、ゲーム業界からは和田氏が「コンピュータゲームで日本がリードしていたのは偶然によるところが大きい。たまたま日本が多数のゲーム機を作り、それにリンクするソフトウェアメーカーが育ってきた。ただ、日本はモノを作る力はとても強いと思う」と見解を述べた。

 ここで品田氏から日本のコンテンツ消費額は2位だが、圧倒的に輸入超過を起こしている現状が説明され、続いて日本の人材について質問が出た。ハリウッドに拠点を持つ一瀬氏は「米国では映画は産業として成立しており、勝ったときには多くの金が入るビジネスとして成立している。一方日本ではようやく産業といえるレベルになった程度」と分析。

 テレビ局社員の平野氏には「映画を作りたいが、就職するなら映画会社とテレビ会社のどちらか?」という質問が投げかけられた。平野氏は「どちらかといえばテレビ会社。現在日本映画を作っているのはほとんどテレビ局。映画会社は制作ではなく興業を第一に考えている」との説明があった。ここで一瀬氏が「そもそもなぜ就職するのか。映画を作るのにどこかの会社のサラリーマンである必要はない。こうした考え方自体が日本の映画界をダメにしている一因」と喝破した。

 続いてBill氏から香港の人口が500〜600万程度で、ここで映画の市場は成立しないため、ハリウッドに出て行かざるを得ないという事情が説明される。また「アジア人が主演する映画は成功しないといわれているが?」という質問には「それは真実ではない。グリーン・デスティニーのようにヒットする作品もある。純粋にマーケティングの問題」と反論があった。また、音楽については宮崎氏からも「欧米では英語で歌わないとヒットしないが、アジアではむしろ日本語の響きのほうがあこがれ。ただ、日本のものをそのまま持って行っても成功しない。現地の風土を取り込むことが重要だ」という意見も出た。

コンテンツ制作資金は問題ではない

 和田氏からはゲーム業界の特殊性についても指摘があった。「出版、放送、映画などは、作り手とディストリビューターが非常に密接な関係にある。翻ってゲームは作り手と流通が全くばらばらになっており、自己完結していなかった。ただ、今後ネットワークが普及したときは自己完結できるような構造にならないとまずい」

 一方、コンテンツ制作費用については各者とも楽観的な意見がでた。一瀬氏は「米国はいい企画があれば必ずどこかが資金を出してくる。むしろ日本ではいかに安く作るかというところばかり腐心しているため、スタッフへのギャラが少なくなっているのが問題。大本の映画会社が冒険しなさすぎる」。平野氏からは「テレビ局では会社で企画が通れば、非常に多くの企業からお金を出したいというオファーが来る。今はその中からメディアを持っている会社とタイアップして、いかに効果的に宣伝できるかが重要である」との意見が出た。

 大作主義が危ぶまれているゲームについても和田氏は「ゲーム会社は今まで基本的に自己資金でゲームを作ってきたからそう見えるだけだ。これから各社の統合が進み、メディアとの連合が進めば解決する問題」という見方を示した。音楽について宮崎氏は「原盤権を持っていればコンテンツを何度も使い回すことができるので、そこを確保すれば問題ない。これからはレコード会社がアーティストの行く末まで関わるようにして、自社でマネージメントし、自社で育てていくようにすべき」と語った。

 コンテンツが日本発であることが重要か、という問いには答えが分かれた。一瀬氏は「こだわらない。ただ、自分が日本人だということは意識している。その感性は重要」。和田氏も「ゲームは集団制作であり、各社らしさを出すしかない。結果としてそれが日本のものにはなるのだろう。誰が作るか、どこで作るかはあまり関係ないのではないか。たとえば当社が外国で作っても、やはりそれは日本風のものになると思う」とした。

 一方平野氏は「我々テレビ局としては日本のマーケットが最重要。その中で世界に通用するものが作れれば、という程度だ」。関連して、宮崎氏は韓流ブームを例にとり「あのときは韓国政府の後押しがあり、権利関係も意図的にゆるめられていた。日本では権利者の意識が強いため日本発のコンテンツが世界に広がるには障害が多い」と見解を述べた。

 さらに一瀬氏は「東京という街には魅力があるが、作るのは日本である必要性を感じない。そもそも日本という国はクリエーターに何かしてくれるのか。政府に呼ばれて意見を言っても総括までしかされず、その後の展開が何もない。結果として自分たちがビジネスとして成立させるようにがんばるしかない。日本にはそうした点では何もかもが足らない」と痛烈な指摘。

 和田氏も「日本の風土は良いが、養分を与えないと枯れる。枯れると会社が困るので、我々は自分たちでやっている。まず日本を生産市場ととらえるのか、それとも消費市場ととらえるのか、そこからはっきりすべきだ」と同調する意見を述べた。平野氏からは「自分はテレビ業界の中でも異端者で苦労している。クリエイターは異端者であることが多いので、そこをバックアップしてあげるシステムが欲しい」と、主催である経済産業省への少々きつい注文が聞かれる場面もあった。

左から一瀬氏、平野氏、宮崎氏

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コンテンツ  映画  ゲーム  香港  マーケティング  
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