丸山大輔=キャディのリック・コックスと距離の確認。リックは田中秀道のエースキャディだった。(写真/田辺安啓=JJ)

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ターニングストーンリゾート選手権の3日目。今日も他選手のスコアはぐんぐん伸び、首位は通算19アンダーのスティーブ・フレッシュ。通算15アンダーのカール・ペターソンらが2位タイで続いている。そんな中、日本勢で唯一決勝進出を果たした丸山大輔のスコアは2つしか伸びず、49位タイどまり。その原因は、これだった。

スロープレーの40秒ルールをご存知だろうか。米PGAツアーでは、1回のパットの所要時間を40秒以内と定めており、40秒以上の時間をかけるとスロープレーの警告を受ける。3日目の丸山は5番、8番でバーディを奪い、通算6アンダーまでスコアを伸ばしていた。が、その矢先の9番ホール。セカンドパットで「たまたまグリーンを読むのにちょっとだけ時間をかけた」という丸山にルールオフィシャルがつかつかと寄ってきて、こう言った。「今のは40秒を越えていた。あと1回、40秒を越えたら1ペナだからな」。このとき丸山は計測にかけられていたのだ。

温厚な大ちゃんも、さすがにこれには「ムカッ!」。なぜ、むかついたかと言えば「6番ぐらいまでは(前の組が遅くて)ずっと待たされていたんです。それなのに……」。それなのに、なぜ待たされていた自分がたまたまほんの少しだけ長めにラインを読んだときにだけスロープレーの計測が入っていたのか。

この計測で「完全にリズムが狂った」という丸山。そりゃそうだろう。「今度40秒を越えたら1ペナだと思ったら、打てないですよ」。キャディのリック・アドコックスも怒り心頭に達しており、「9番では風が強くてボールがゆらゆらしていたんだ。風のことも考慮した上で計測するべきだろう?」。丸山は警告を受けた直後の10番でバーディパットを意地で沈めたものの、その後はボギーを連発となった。

ルーキーイヤーだった昨年、丸山はやたらと計測にかけられた。実を言えば、女子のLPGAでも、ある外国人選手から似たような話を聞いた。「あのルールオフィシャルは外国人の新人選手をいじめるのが大好きなんです。外国人の新人は必ずあのルールオフィシャルからスロープレーをやたらとカウントされる……」。それが本当かウソか、同じようなことが男子のPGAツアーでも起こっているのかどうか。ルールオフィシャル本人に聞いたとしても「そうだ、いじめている」と答えるわけがないから確かめようがない。計測は前の組や後続組との間隔を見極めた上で最終的にはルールオフィシャルが「よし、タイムを計ろう」と決めて実行されるため、そこに主観や偏見が入らないとは言い切れない。

ともあれ、PGAツアーでは年間に10回、警告対象になると罰金2万ドルを支払わなければならない。丸山いわく「僕は今年、もうすでに7回ぐらい警告を受けてますからね。あと2回受けたら、もう日本に帰ろうかな」。もちろん本心ではないだろうけれど、そんな言葉を穏やかな人柄の丸山が吐くのはきわめて珍しいことだった。そして、これだけは言える。日ごろから丸山のプレーが決してスローではないことは確かだ。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)