タイガー・ウッズ=フェデックスカップ・トロフィ−を手にしてご満悦。(写真/田辺安啓=JJ)

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どうして、ここまで差があるのだろう――ツアー選手権の最終ラウンドを眺めながら、そんなことばかりを考えていた。2位と3打差の単独首位でスタートしたタイガー・ウッズに追いつき追い抜くチャンスは数名の選手にあった。実際、3日目には10アンダー、8アンダーといった好スコアが続出していたのだし、グリーンがソフトで荒れている状況下では、通常の大会のように最終日らしい難しいピン位置で選手たちのスコアの伸びが止められることもない。となれば、2位でスタートしたマーク・カルカベキアや3位のセルジオ・ガルシア、4位のザック・ジョンソンらが再びチャージをかけてタイガー優勝を阻止することは決して不可能ではなかった。

だが、蓋を開けてみれば、タイガーと2位との差は4打、5打と広がるばかり。そして、4アンダー66で回ったタイガーは、最終的には2位のカルカベキアとジョンソンに8打差をつけ、通算23アンダーで優勝した。あまりにも差が開いた独走体制は、エキサイティングになるはずの最終戦の最終日を、まるで最初から答えがわかっているクイズのように、つまらない展開に変えてしまった感がある。

タイガーの独走は、超難コースで展開されれば、それはそれで面白いはずだ。だが、今大会のような悪コンディションのコースでは、とにかくダーツのようにピンそばにボールをぶち込んでいくことだけを考えればよい単純な攻め方が求められ、それは米PGAツアーのトッププロたちの技量なら決して無理な要求ではない。しかし、追撃すべき選手たちは肝心なところでミスショットを連発し、ダーツにはならない。一方のタイガーは肝心なところで見事な"ダーツ・ゴルフ"をやってのけ、3メートル圏内のショートパットは確実に沈めた。タイガーと他選手との差が何だったのかという問いの答えは、結局、「肝心なところで思い通りのショットやパットができるか、できないか」という当たり前のコトなのだと痛感した。

「手にする金額のことなんて頭になかった。あくまでも僕は勝つために戦った」とタイガーは言ったけれど、フェデックスカップのポイントレースで1位となったタイガーには大会優勝賞金126万ドルとは別に、10ミリオン(1000万ドル=11億5000万円)という史上最高のビッグボーナスが贈られた。

ところで、このボーナスというもの、ポイントレースの1位の選手だけに支払われると思われているようだが、実はラスト4試合のプレーオフの出場資格を得たポイントランク144位までの全員に金額をブレイクダウンして支払われる。2位のスティーブ・ストリッカーには3ミリオン、3位のフィル・ミケルソンには2ミリオン……144位のジェフ・ゴウブには3万2000ドル。しかも、このボーナスは現金や小切手で支払われるわけではなく、米PGAツアーが選手のために創設した年金の積立金として各自の年金口座へ組み込まれる。つまりは老後の楽しみ?それにしても、年金なんて必要もないタイガーの年金口座が利子もついてどこまでも膨れ上がり、日本では年金問題が大問題と思うと、実力社会という言葉が少しばかり不公平に感じられてしまう。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)