「メイドたくしー」のウェブサイト。利用者のほとんどが30代だ

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   メイドさんがいっしょに乗車してお世話してくれる「メイドたくしー」なるものが金沢市に登場した。「メイド喫茶」からヒントを得たようなのだが、「風俗」的なものではなく、「思い出作り」なんだそうだ。利用者にも少々制限がある。

むやみにメイドさんに手を触れないこと

   「メイドたくしー」を2007年9月7日から始めたのはKECハイヤー北陸(本社:金沢市)。サービス内容は「メイド喫茶」のタクシー版と考えれば分かりやすい。乗客は「ご主人様(女性はお嬢様)」になり、メイドさんのサービスを受ける。車内で会話し、いっしょにゲームをしたり、DVDを見たりするわけだが、「メイド喫茶」と違うのは、お目当てのショップの前でタクシーを降りてメイドさんと買い物をしたり、メイドさんオススメの場所へ案内して紹介してもらうことができる点だ。

   もちろん「2人の世界」になってしまうのは困る。で、乗客に対する注意もあって、

「むやみに(メイドさんに)手を触れたり、やたらと写真を撮るよりも、心のハードディスクにしっかりと思い出を保存すること」
「メイドさんに萌え氏にそうだからといって、感極まって大声を出さないこと」

などという「マナー」が書かれている。

   ただし、これは福祉輸送サービスの一環。このため、利用できる人には制限がある。ケガや病気などの理由でタクシーやバスに一人で乗るのが難しい人、身体障害者手帳を持っている人、などだ。付添の人もOKだ。タクシーは車椅子でも乗り込めるようにワゴンカーを使用。運転手は介護資格を持っている。定員はメイドさんを含め最大3人。メイドさん2人と乗客1人という場合もあるという。

利用者のほとんどが30代の男性

   同社の遠藤啓司社長はJ-CASTニュースの取材に対し、「メイドたくしー」は、「メイド喫茶」からヒントを得て、体や心に障害があってなかなか外出ができない人に対し、

「メイドさんがお世話をすることで外出を可能とし、様々な思い出をつくってもらいたい、と考えた。健常な人が羨ましがるようなサービスになっているのではないか」

と話している。KECハイヤー北陸は、介護や障害者の自立支援に対して前向きに取り組んでいて、居宅介護支援事業を行ったり、07年4月からは福祉ハイヤーを走らせたりしているが、その延長線上に「メイドたくしー」があるのだという。

   メイドさんは現在6人で18歳から24歳。営業を開始してから6日間で12人の男性が利用して、そのほとんどが30代の男性だったという。メイドさんは乗客に対し、最初に、

「きょうはよろしくお願いします。ご主人様(または、お嬢様)」

と挨拶し、トランプの裏面に自分の名前を書いて名刺代わりに差し出す。乗客が行きたい場所に案内するわけだが、特に行きたいところが無い場合は、「メイドのエピソード巡り」をして、メイドさんの思い出の場所や、推薦スポットを巡るのだという。

   なにか楽しそうな感じがするが、やはり健康で元気な人だと乗車拒否されてしまうのだろうか。この点について同社の遠藤社長は、

「(体や心が不自由かどうか)証拠を出してほしい、とは言えませんから…」

という微妙な答えだった。

   基本料金は1時間貸切りで5,700円。