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司法試験合格者大量生産、一挙に6倍の根拠は?
2007年09月07日09時16分 / 提供:PJ
【PJ 2007年09月07日】−
8月31日付の朝日新聞によると『司法制度改革の柱として司法試験合格者を年に3000人程度に増やす政府の基本方針について、鳩山法相は31日、報道各社によるインタビューで「ちょっと多すぎるのではないか」との見解を示した。法科大学院の現状についても「質的低下を招く可能性がある」と述べ、現在の政府の計画に疑問を呈した』という。
鳩山法相の発言は、確かな根拠なしに進めてきた増員計画の修正を迫るものとして評価したい。むちゃな増員は弁護士の就職難と質の低下が既に懸念されていた。
司法試験合格者は10年には3000人となる予定だ。旧司法試験の合格者は500人前後であったから3000人は6倍にあたる。10年には旧司法試験合格者を100人未満とし、新司法試験合格者を2900-3000人程度とする計画である。だが、もう既に一部の弁護士の就職難が問題となっている。軒弁いう、弁護士事務所にはいれても、完全歩合制の軒先を借りるだけの所得不安定な弁護士が発生しているそうだ。
それにしても素人なが66倍という数値には納得できないものがある。新司法試験の合格者数が決まる事情の一端を05年3月1日の読売新聞の記事から知ることができる。一部を抜粋する。
『新司法試験の合格率は40〜50%−−法務省の司法試験委員会は28日、法科大学院の修了者が受験する新司法試験の初年度(2006年度)の合格者数を、900〜1100人とすることを決めた。新試験と並行して実施される現試験の合格者数は500〜600人とする。これにより、新試験の初年度の合格率は約40〜50%になる。同省は昨年秋、初年度の合格者数を新・現試験とも800人とし、約2600人の法科大学院定員に対する新試験の合格率を34%とする試算をまとめた。これに対し、法科大学院側が「合格率が低すぎる」と反発。学識経験者らでつくる同委員会は、法科大学院を新たな法曹養成制度の中心として定着させるという司法制度改革の理念も踏まえ、初年度から新試験の合格者数を多くした。法科大学院側に一定の配慮を示した形だ。』
驚いたことに、合格者数が法科大学院側の事情で決められたのである。まさに本末転倒である。これでは土建業者がブルドーザーをたくさん買ってしまったので、道路を余分に作りましたと言っているのに等しい。余分な弁護士を作ることは、余分な道路を作るより始末がわるい。
かつて道路公団は新しい道路を作るとき、将来の通行量の予測をし、それに基づいた計画を作った。ところが多くの場合、通行量の予測が外れ、大赤字を生むことになった。将来の通行量の計算根拠のでたらめさを指摘したのは猪瀬直樹氏である。ここでは先に建設計画があり、収支予測はつじつまあわせのために存在した。私の知る限り、メディアがこれを指摘したことはなかった。
人口当たりの弁護士の数が米国では日本の10倍以上、仏では4倍ということが増員の理由として挙げられた。しかし国情の違いがあり、これだけで6倍の根拠となるとは思えないし、またわが国には司法書士など弁護士の業務の一部を担う制度もあり、単純な弁護士数の比較は適切とはいえない。
6倍が決定された経緯に同様なことがなかっただろうか。年間3000人というと、過剰が問題となっている歯科医師の年間合格数2500人前後よりさらに多い。つまり、歯医者かかるように、弁護士を活用して、争いをしなければならなくなる。6倍の根拠をぜひとも教えて欲しい。
もうひとつの疑問は、この6倍という大増員計画が決まるまでに、メディアが大きく取りあげなかったことだ。私の不勉強もあるかもしれないが、知らない間に決まってしまったという観がある。問題に光が当たらなければ、決定は関係者の間で決まってしまう。6倍という「法外」な数値が通った裏にはそんな事情もあるのだろう。また既得権を擁護し、増員に反対していた日弁連が、なぜおとなしくなったかも不思議だ。
法科大学院側の圧力によって合格者数が決められたという記事を書きながら、なぜそれに疑問を感じないのだろう。いよいよメディアの学力低下を心配する必要がありそうだ。【了】
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 岡田 克敏【 京都府 】
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鳩山法相の発言は、確かな根拠なしに進めてきた増員計画の修正を迫るものとして評価したい。むちゃな増員は弁護士の就職難と質の低下が既に懸念されていた。
司法試験合格者は10年には3000人となる予定だ。旧司法試験の合格者は500人前後であったから3000人は6倍にあたる。10年には旧司法試験合格者を100人未満とし、新司法試験合格者を2900-3000人程度とする計画である。だが、もう既に一部の弁護士の就職難が問題となっている。軒弁いう、弁護士事務所にはいれても、完全歩合制の軒先を借りるだけの所得不安定な弁護士が発生しているそうだ。
それにしても素人なが66倍という数値には納得できないものがある。新司法試験の合格者数が決まる事情の一端を05年3月1日の読売新聞の記事から知ることができる。一部を抜粋する。
『新司法試験の合格率は40〜50%−−法務省の司法試験委員会は28日、法科大学院の修了者が受験する新司法試験の初年度(2006年度)の合格者数を、900〜1100人とすることを決めた。新試験と並行して実施される現試験の合格者数は500〜600人とする。これにより、新試験の初年度の合格率は約40〜50%になる。同省は昨年秋、初年度の合格者数を新・現試験とも800人とし、約2600人の法科大学院定員に対する新試験の合格率を34%とする試算をまとめた。これに対し、法科大学院側が「合格率が低すぎる」と反発。学識経験者らでつくる同委員会は、法科大学院を新たな法曹養成制度の中心として定着させるという司法制度改革の理念も踏まえ、初年度から新試験の合格者数を多くした。法科大学院側に一定の配慮を示した形だ。』
驚いたことに、合格者数が法科大学院側の事情で決められたのである。まさに本末転倒である。これでは土建業者がブルドーザーをたくさん買ってしまったので、道路を余分に作りましたと言っているのに等しい。余分な弁護士を作ることは、余分な道路を作るより始末がわるい。
かつて道路公団は新しい道路を作るとき、将来の通行量の予測をし、それに基づいた計画を作った。ところが多くの場合、通行量の予測が外れ、大赤字を生むことになった。将来の通行量の計算根拠のでたらめさを指摘したのは猪瀬直樹氏である。ここでは先に建設計画があり、収支予測はつじつまあわせのために存在した。私の知る限り、メディアがこれを指摘したことはなかった。
人口当たりの弁護士の数が米国では日本の10倍以上、仏では4倍ということが増員の理由として挙げられた。しかし国情の違いがあり、これだけで6倍の根拠となるとは思えないし、またわが国には司法書士など弁護士の業務の一部を担う制度もあり、単純な弁護士数の比較は適切とはいえない。
6倍が決定された経緯に同様なことがなかっただろうか。年間3000人というと、過剰が問題となっている歯科医師の年間合格数2500人前後よりさらに多い。つまり、歯医者かかるように、弁護士を活用して、争いをしなければならなくなる。6倍の根拠をぜひとも教えて欲しい。
もうひとつの疑問は、この6倍という大増員計画が決まるまでに、メディアが大きく取りあげなかったことだ。私の不勉強もあるかもしれないが、知らない間に決まってしまったという観がある。問題に光が当たらなければ、決定は関係者の間で決まってしまう。6倍という「法外」な数値が通った裏にはそんな事情もあるのだろう。また既得権を擁護し、増員に反対していた日弁連が、なぜおとなしくなったかも不思議だ。
法科大学院側の圧力によって合格者数が決められたという記事を書きながら、なぜそれに疑問を感じないのだろう。いよいよメディアの学力低下を心配する必要がありそうだ。【了】
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