「俺が寿人に合わせる」と語った中村俊輔<br>【photo by Kiminori SAWADA】

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 9月3日、成田を発った日本代表はドイツ・フランクフルトを経由し、3日23時過ぎにクラーゲンフルトの空港に到着した。その後、宿舎までバスで山道を1時間近くかけて移動し、約18時間の移動を終えた。そして、9月4日は、午前11時前から、バードクラインキルヒハイムという山間のスキー場にある宿舎のそばのグラウンドで練習を行なった。

 早速フィールドプレーヤー10対10でのゲーム形式の練習を行い、移動中に動かせなかった体を動かした。この練習では、稲本が闘莉王とコンビを組んで、センターバックで起用されている。そして、夜7時からは、ヴィレッチェという町の選抜チームと45分2本の練習試合を実施。メンバーと結果は以下の通り。ゴールキーパーは30分ずつで交代している。

<前半>
DF:加地、今野、坪井、駒野
MF:中村(憲)、羽生、中村(俊)、遠藤
FW:矢野、佐藤
(得点者 中村、佐藤、佐藤、佐藤)

<後半>
DF:橋本、中澤、闘莉王、山岸
MF:鈴木、稲本、松井、山瀬
FW:巻、田中
(得点者 田中、巻、松井)

 練習試合後、オシム監督は「今日の試合は内容よりも、オーストリアのピッチの状態を知ること。そしてレベルは全く違うが、オーストリアのサッカーというもの知ることが一番の目的だった。そして選手の組み合わせをいろいろと見ている」と話した。

 日本代表として、過ごす時間の少ない欧州組の中村俊輔は本合宿のテーマを次のように話している。「中盤としてのコンビネーションやサイドを崩す方法などについては、アジアカップである程度知ることができたから、今回は、前線のFWとの関係を深めたいと思っている。午前中の練習では、(田中)達也、巻と同じチームでやり、練習試合では、(佐藤)寿人、矢野とやれたので、良かった」

 短時間でいかにコンビネーションを深めるかという方法について、中村(俊)は、「FWがパスの出し手に合わせるのではなくて、パスを出す人間がFWの動きに合わせるほうが、修正がしやすい」と考えているようだ。「寿人は僕らパサーに合わせようとするから、そうじゃなくて、俺が合わせるからと、寿人とも話した」と語った。

 そんな中村について、佐藤は「僕はFWとしてプレーする上で、パスを出す人との関係はとても重要だと思っている。だから、いかに彼らがいいタイミングでボールを出せるか、そのボールにどう反応するかということを考えている。確かに『今の僕のタイミングで出して欲しかった』『僕の動きを見てくれ』と感じることはあるけれど……。俊さんからは、アジアカップのときから、『寿人が俺らに合わせるじゃなくて、俺が寿人に合わせるから』ということは言ってもらっていた。『それで上手くいかないところがあれば、それが俺が悪いんだから』とも。あれだけの選手にそうやって言ってもらえることは、本当に嬉しい。俊さんと一緒にやる時間はそうたくさんあるわけじゃないから、いい関係を作ることを心がけたい。そうすれば僕らFWがゴールを決めることもできるから」と笑顔で語った。
[後編に続く]