移籍期間終了まであと1日となった30日、リーグ・アンに予想外の大物がやってくることが決まった。レキップ紙のウェブ版速報によると、オランダのPSVアイントホーフェンを退団したパトリック・クライファート(31)がリールと契約を交わした。

 2002年に現在のピュエル監督が就任して以来、リールは若い選手を下部リーグから集め、“原石”を磨き上げるように育てる方針でここまできた。シーズンオフに主力のケイタとボドメールを2400万ユーロ(約38億円)でリヨンへ手放したのも、リールの運営戦略を象徴していた。代わりに補強したのも、ほぼ無名の若い選手ばかりだった。

 それを考えると、ACミラン、バルセロナなど名門クラブを渡り歩き、オランダ代表で歴代最多得点(40ゴール)の記録をもつクライファートの獲得は、リールがこれまでの方針を180度転換させた驚きの補強と言える。

 つい先日もリールがレアル・マドリーの戦力構想から外れているジュリオ・パティスタの獲得に動いていることがレキップ紙に報じられ、「意外」という反応をもたらしたばかりだった。

 昨シーズンは10位に終わり、3年連続のチャンピオンズリーグ出場を逃したリール。大物の獲得は、欧州のトップ舞台に復帰したいという野心を感じさせるが、強烈な個性で知られるクライファートがチームカラーに合うかどうかには疑問の声もある。ケガが多いのも不安材料だ。ただ、リーグ・アンには数少ない華のある選手がひとり加わったことは間違いない。