ライブレポート：熊木杏里「夏の一日を、涼しい風のそよぎへと」

　今年7月、自らの学生時代を描いたニューシングル「七月の友だち」を発表した熊木杏里。同作収録曲の「朝日の誓い」が、現在放送中の佐藤江梨子・松山ケンイチ出演によるUNIQLO「Wide Leg Jeans」CM曲として話題を呼んでいる彼女が、8月23日の原宿アストロホールを皮切りに全国3都市4公演のアコースティックライブツアー「八月の友だち」をスタートさせた。

　東京公演2日目となる24日、狩野良昭（ギター）・小野田清文（ベース）・高橋慶吉（ピアノ）のサポートミュージシャンに続き、観客の拍手に迎えながら熊木杏里が登場。感情の起伏を表現するかのように左手を繊細に揺らし、体を左右にゆったりとリズムを取りながら歌う彼女の姿を、会場中が静かに見つめる。MCでは、歌から受ける柔らかな印象とはギャップのある、内に秘めた意志の強さを感じさせるハキハキとした口調で会場の空気を和らげていった。

　自身3度目となる今回のワンマンライブでは、2002年2月に発表したデビューシングル「窓絵」収録曲から、10月24日に発売となる4作目のアルバム「私は私をあとにして」収録曲まで、熊木杏里の過去から未来を繋ぐ全15曲を披露。問い合わせが殺到した資生堂企業CM曲「新しい私になって」、映画「バッテリー」の主題歌に起用された「春の風」、最新シングル収録曲の「七月の友だち」や「朝日の誓い」の他、自らピアノの弾き語りにも挑戦してみせた。

　一つ一つの言葉を大切に語り掛けるように、静かながらも深く胸の内へと染み入る熊木杏里の歌声。時には海から吹く潮風のように、都会を吹き抜けるビル風のように、曲ごとに様々な景色や感情を聴く者の心へと運んでいく。熊木杏里が企画を担当し、終演後には自ら手売りで販売したツアーパンフレットには、「熱を下げ忘れ、残る、夏の今日この一日を、涼しい風のそよぎへと代えられますように。」と彼女からの残暑見舞いが書かれていた。

　そして早くも秋のライブツアーが決定。11月13日に名古屋ボトムライン、16日に東京・渋谷O-EAST、29日に福岡ROOMSでワンマンライブを行う。

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