「地デジ難民」問題は解決できるのだろうか?

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アナログのテレビ放送が終了し、デジタル放送へ移行する2011年7月24日まで、あと4年を切りました。家電量販店の店先は地デジ対応の薄型テレビで賑わい、新製品が次から次へと登場しています。

しかし、地デジ対応テレビの低価格化が進んできているとはいえ、買い替えは家庭への金銭的負担も大きいことから、デジタル放送への完全移行後、低所得世帯や山間部などの難視聴地域などでテレビが見られないという「地デジ難民」の発生が危惧されはじめています。

はたして、総務省が言う「地上デジタル放送への完全移行」は、あと4年で本当に実現できるのでしょうか?

今回は、地デジ難民を含め、地デジに立ちふさがる問題を見ていきましょう。

■そもそも"地デジ"って何だろう?

地デジとは「地上デジタルテレビ放送」の略で、電波の有効利用を目的に、テレビ放送を従来のアナログからデジタル方式にかえるものです。ハイビジョン画質の映像が楽しめる上、データ放送に双方向通信、一度に複数の番組を試聴できるマルチ編成など、さまざまなメリットがあり、2003年12月から東京・名古屋・大阪の三大都市圏から放送が開始されました。

そして2011年7月24日には、約60年の歴史をもつアナログ放送が終了し、デジタル放送へ完全移行する予定となっています。

■2011年4月に"普及率100%"を目指す総務省

総務省はアナログ放送を終了する3ヶ月前、2011年4月に地上デジタル放送受信機の世帯普及率100%を目指しています。

同省が5月に発表した「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査の結果」によると、アナログ放送終了の認知度は高く93.9%になっています。一方、対応受信機の世帯普及率を見ると、こちらは27.8%と約3割という結果です。

3割弱という数字について総務省の見解は、「加速度的に普及が伸びるまでに必要な世帯普及率を満たしており、今後急速な普及が見込まれる」としています。順調に行けば、4年後には完全移行を達成できるという予測のようですが、しかし、それは本当に可能なのでしょうか?

■完全移行に立ちふさがる"お金の問題"

菅前総務相は今年8月、地デジへの完全移行を円滑に進める費用として、今後4年間で500億円規模の予算を要求する方針を表明しました。予算はテレビ局の中継基地の建設補助などにあてるとしていますが、民法テレビ局の設備支援に国費を投じることについては、各方面から疑問や批判の声も上がっています。

■"地デジ難民"への政府の救済策は?

市場では低価格な地デジ対応テレビも販売されるようになりましたが、買い替えは家庭にとっては大きな負担となります。とくに低所得世帯には切実な問題で、購入できないためにテレビを視聴できなくなる「地デジ難民」になり得る可能性があります。

そういった地デジ難民の発生を防ぐために、総務省は高齢者世帯などの低所得層を対象に地デジ受信チューナーの無料配布などの支援策を検討し、2008年夏に公表する予定です。

具体的な対応策としては、5000円以下の外付け簡易型チューナーの開発が提唱されています。しかし、簡易型のチューナーといえども現状では2万円以上するものが大半で、値段を抑える方法や開発にかかるコスト、需要の少なさから、メーカー側は消極的な姿勢を見せています。さらに、「5000円チューナー」への期待から、テレビを買い控える世帯が増えることを懸念する声もあります。

■2011年完全移行は実現か?延期か?

このように地デジへの完全移行には、難問が立ちふさがっています。とくに、低所得世帯への対応策や、難視聴地域をなくすための中継基地局の整備が進まなければ、地デジ完全移行も暗礁に乗り上げてしまうかもしれません。

日本より前に、地デジ放送への完全移行を目指したアメリカや韓国の例を見ても、予想より普及が進まず、延期となりました。

菅前総務相はあくまで「普及率は予定通り進んでおり、延期は全く視野に入れていない」と発言していますが、そのためにはクリアしなければならない問題がまだまだあります。2011年4月時点での普及率が目標を下回ることがあれば、完全移行のかわりに"延期"という文字が浮き上がってくるかもしれません。


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