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東大卒キャリアいなくなる? 官僚バッシングに賛否両論

2007年08月25日13時00分 / 提供:J-CASTニュース

J-CASTニュース
東大卒キャリアいなくなる? 官僚バッシングに賛否両論
官庁の中の官庁と呼ばれる財務省でさえ、学生の確保に苦戦しているという

   東大では役所への就職人気が急低下している。不祥事が起きるたびに、国民からは犯罪者を相手にするかのようなバッシングが巻き起こる。それに加え、最近は、下働きで尽くしてきた政治家からも見放され…。日本株式会社を支えてきた官僚制に、大きな地殻変動が起きている。安月給や徹夜をものともせずに働くエリート官僚像は今は昔、になるのか。

天下り抑制策に官僚イジメが追い撃ち

   田中真紀子外相が外務事務次官を相手に演じた政官のバトルを、今度は小池百合子防衛相が防衛事務次官を相手に再現してみせた。防衛情報漏えいなどの不祥事を生んできた防衛省の体質を変えようと、しがらみのない警察庁出身の 西川徹矢官房長(60)を次官に据えようとしたのが発端だった。一国の大臣が携帯電話への対応まで暴露して、公然と官僚トップとやり合ったのは前代未聞のことだ。

   こうした騒ぎに、毎日新聞編集委員の牧太郎氏は、2007年8月21日付夕刊のコラム「大きな声では言えないが…」で、次のように打ち明けた。「防衛省をはじめとする、最近の省庁人事トラブルには官僚イジメのにおいがプンプンする」と。

   イジメと同質ではないが、最近、官僚に対する政治家の目は厳しい。安倍内閣では、長年放置してきた天下り抑制策に取り組み、07年6月に、抑制策などを盛り込んだ公務員制度改革関連法案を成立させている。この法案は、慣例に反して、事務次官会議に掛けずに閣議決定された。これは、激しくなった国民の官僚バッシングに後押しされたものだ。

   バッシングの嵐は、大学生の就職人気を低下させ、官僚のやる気をそいで民間転出を促すのだろうか?

   人事院広報情報室の渡辺直一室長は、就職人気低下に関して、J-CASTニュースの取材に対し、「どの程度か分からないが、(バッシングは)関係あると思う」と話す。天下り抑制策の影響については、「アンケートを見ると、学生は社会的貢献ややりがいを重視しており、最初から天下りを意識していない」と否定的な見方をした。だが、前出の牧氏は、次のように官僚の気持ちを代弁した。

「競争に勝つためにがむしゃらに働く。定時に帰宅することは許されない。翌日の国会質問の内容が分かるまで全員待機。家庭が犠牲になる。政治家に頼まれ質問を作ることもある。ガラの悪い政治家は『便宜を図れ!』と無理難題。ストレスがたまる坂道だ。
でも次官在職期間はせいぜい2年。後は外郭団体、独立行政法人に天下り。待遇は破格だ。恵まれた生活が保証される。だから我慢したんだ!が本音だろう」

「国家のための官僚ではなくなった」

   ただでさえ、東大生らの官僚志望は薄らいでいる。人事院が07年6月に東大など10大学の法学部生に実施した就職志望先調査では、法科大学院がトップの35.2%、民間企業が次いで34.6%で、国家公務員は3位の13・6%に留まった。実際、07年度におけるキャリア官僚採用試験の申込者数は、ピークだった10年前の半分の2万人余だ。「好景気で民間企業に学生が流れたことと、公務員のイメージが保守的に思われていることが響いた」と人事院の渡辺室長。

   また、キャリア官僚の自己都合退職者は、06年度までの5年間で292人と、20年前の4倍近くに増えている。さらに、最近、バッシングが激しくなっているだけに、官僚離れに拍車がかかりそうな雲行きだ。

   バッシングに対しては、賛否を含め様々な議論が出ている。

   ブロガーの藤代裕之氏は、政治主導の次官更迭を擁護して、自らのブログ「ガ島通信」の8月13日付日記の中で、「官僚機構が現実として国を動かしているとすれば、政治にはせめて事務次官をクビにする(選ぶ)ぐらいしか出来ない、それすら否定されれば選挙、民主政治の意味がなくなってしまいかねません」と述べている。

   旧通商産業省OBで作家の堺屋太一氏は、毎日新聞のインタビューに、バッシングをきっかけにした制度改革に肯定的な見方を示した。

「太平洋戦争当時の陸海軍と一緒で、組織が死に至る病にとりつかれている。官僚のための官僚で、国家のための官僚ではなくなった。倫理観が退廃しています。公務員制度の改革を『官僚いじめ』という人もいますが、実は逆。国鉄の分割民営化も『国鉄いじめ』といったが、社員もサービスも良くなった」(8月10日付朝刊)。

   一方、評論家の山形浩生氏は、「Voice」07年6月号のコラム「いじめるだけでは官僚は逃げる」で、「多くの人は海外出張から日本に帰ってきて、その各種制度やサービスの優秀さに涙したおぼえがあるだろう。その相当部分は、日本の官僚たちや役人たちが優秀で、それなりの仕事をしてくれているおかげでもある」と指摘。「天下りがなくても後々よい生活が保証され、能力のある人がやる気を発揮してくれるような環境を作らないと(たとえば給料をうんと上げるとか)。つまらん官僚いじめで喜んでると、下手をすれば国が滅びますぞ」と警告している。

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官僚    毎日新聞  天下り  堺屋太一  
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