暴言、暴力、セクハラ 介護労働者「辞めたい」続出
2007年08月23日20時00分 / 提供:J-CASTニュース
老人ホーム職員やホームヘルパーが、利用者からの暴言や暴力、セクハラなどに悩まされている――。こんな実態が2007年7月末に発表された厚生労働省所管の財団法人「介護労働安定センター」の調査で明らかになった。介護労働者らが悩んでいるのは、低賃金・長時間労働ばかりではなかった。
女性ヘルパーにヌード写真を見せる利用者
「私が聞いているのは、女性ヘルパーに雑誌のヌード写真を見せたり、胸やお尻を触ったりする利用者がいることです。『下着の色は?』『胸が大きいな』『ブス』などと言われることもあります。中には、『何もしないから、ベッドに横になって寝てもらえないか』と迫られたヘルパーもいました」
介護施設職員やヘルパーらで結成している労働組合「日本介護クラフトユニオン」会長の河原四良さんは07年8月21日、J-CASTニュースの取材に対し、こう打ち明けた。
セクハラばかりではない。職員やヘルパーらに暴言を吐いたり、暴力を働いたりするケースも聞くという。介護を受けている高齢者の場合、かなりの比率で認知症にかかっていることもあり、これが問題を余計に難しくしている。
介護労働安定センターが2006年9―10月に行った介護労働実態調査でも、介護サービス利用者のモラル低下が浮き彫りになっている。それによると、過去1年間の仕事の中でセクハラ・暴力などの経験があると答えた介護労働者は、45・8%にも上った。「利用者、家族の誤解、無理解」の20.1%をトップに、「暴言」16.1%、「誹謗・中傷」11.5%、「セクハラ」7.3%、「暴力」6.5%などと続く。
ブログを開設している、ある介護福祉士男性は、この調査結果に対する感想の中で、利用者から盗難のぬれぎぬを着せられた体験を語っている。男性が4年ほど前に特別養護老人ホームで働いていたとき、居室担当として関わっていた利用者Aさんのことだ。
「ある日、Aさんは自分の財布にあったお金が無くなったと訴え、『居室担当の職員さん以外に自分の財布がどこにあるかわかる人はいない』と私が疑われてしまったことがあります。何度も説明し、第三者(このときは施設長に)にも入ってもらい、何とかAさんには納得してもらえたのですが、このときのいざこざは本当に大変でした。(お金は結局別の場所から見つかったのですが・・・)」(「Aさん」「私」は編集部で書き換え)
介護労働安定センターの調査でも、「盗難のぬれぎぬ」は介護労働者の2.9%が挙げている。
前出の河原さんは、「介護現場は密室になることが多く、例えば、男女2人なら高齢者でも変な雰囲気になることがあります。また、病気などで抑圧されている利用者が、優しくしてくれる職員やヘルパーに対してストレスを発散させている面があるようです」と話す。
「お手伝いさんという意識で、地位が低く見られている」
これまで、介護労働者は、定着率の悪さが問題視されてきた。介護労働安定センターの調査では、介護労働者の過去1年間の離職率は20.3%で、5人に1人の割合に上っている。このうち、就業から1年未満の人は、実に42.5%を占めた。その背景には、施設職員やヘルパーらの低賃金・長時間労働の実態がある。特に、ヘルパーは、非正社員が53.7%を占め、移動、待機、書類作成時間に賃金を支払っていない事業所がそれぞれ3〜4割もあった。
ミクシィの会員間でも、このニュースは話題となっており、ある介護専門職女性は、日記の中で、
「土地によって違うのでしょうが、下に書いてある額…
この仕事で貰ってる人殆どいないと思う。
(15年以上のキャリアの人は貰ってるかもですが)
え?ケアマネ26万?
Kちゃん…そんなに貰ってる?(ここで聞くなって)
とにかく福祉の業界はこんなに良くないです。
時間外手当出ないし。サービス残業が当たり前です」
と打ち明けている。
こうした実態に加え、利用者による暴言、セクハラなどの行為が施設職員、ヘルパーらの介護現場離れに拍車をかけているようだ。介護労働者をサポートする活動をしているNPO法人「全国介護者支援協会」の関係者は、J-CASTニュースの取材に対し、次のように答えた。
「ヘルパーはお手伝いさんという意識が強い利用者がいて、地位が低く見られています。私も利用者の相談に行って、『気に入らない』とオムツを投げられたことがあります。また、利用者の権利意識が強くなっており、サービスが悪いと言って現金を投げてくるケースもありました。これでは、介護労働者は、生活を背負ってなかったり、生きがいがなかったりすると、すぐに辞めてしまいます。だから、まず、介護労働者の社会的な認知度を高めなければいけないでしょうね」
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