『24時間マラソン』、もうやめては?
2007年08月21日07時26分 / 提供:PJオピニオン
これまで毎年のように問われている24時間マラソンの是非。私(PJ佐々木)自身、表題の通り「非」の立場であるのだが、今年、つまり昨日の「ゴールシーン」を見て、さらにその考えが強まった。
番組終盤、確か午後8時ごろだったと思う。ランナーの萩本欽一(66)はゴールまであと2キロほどと迫った。これならば、普通に考えて午後9時の番組終了には歩いてでも十分すぎるほど間に合う。しかし……。痛々しく、文字通り足を引きずりながらゆっくりと、ゆっくりと「歩く」萩本を見て色んな意味で嘆かわしく思ったのは私だけではないはず。
いっぽう、武道館ではタッキー&翼、黒木瞳、新庄剛志ら「若くて元気な」アイドルタレント・俳優・元プロ野球選手が、「普段まったく運動をせず、しかもヘビースモーカーの」66歳に対し、サライを熱唱、その横では徳光和夫が「聞くに堪えないような」クサい演説で煽(あお)りまくる。1つ間違えば、老人虐待と見られてもおかしくないだろう。少なくとも、私にはそう見えた。
決して上で名前を挙げたタレントたち自身を糾弾しているわけではない。特に、新庄は大ファンである。それだけに日テレに「操られて」残念、というのもある。
考えてもみてほしい。24時間で70キロ走る、これははっきり言って、健康な成人男女ならほぼ全員が可能なことだ。単純計算で、時速約2.9キロ。もちろん休憩や食事の時間も必要なので、それらを10時間としても、70キロ÷14時間=時速5キロ。走る必要すらなく、普通に歩いているだけで難なくゴールできるはずなのだ。
もちろん、これはあくまで計算上の話ではある。しかし少なくとも厳しい「練習」が必要な挑戦ではないと思う。萩本の年齢の半分以下(むしろ3分の1近い)で、タバコをまったく吸わない私だが、もし明日スタートだと言われても、よほどのアクシデントでもない限り、時間内に無事にゴールできる自信は十分ある。
もちろん、日テレは私をランナーに指名すべき、という意味ではない(むしろそんなこと絶対やりたくない)。なぜわざわざ萩本のような「1つ間違えば命にかかわる」立場の人間に超長距離を走らせる必要があるのか、と言いたいのだ。
24時間テレビの当日以前、日本医師会などは萩本の挑戦を何度も「無謀」と忠告していた。高齢・喫煙常習・運動不足、加えて今夏の異常な猛暑を危惧(きぐ)して、とのことであった。「無謀」と言い切っているところに注目したい。萩本自身はレース前「こんな乱暴なことをするオッサンがいてもいい」と言っていたそうだが……。
私が単にヒネくれた性格なだけかもしれない、が、少なくとも私は一度もあのマラソンに「勇気をもらった」「元気付けられた」ことはない。勇気や元気は自分自身のみによって生まれるもの、誰かにちょうだいするなんてことがそもそも私の中ではあり得ない。それはともかく、幼少時から見てきたこのマラソン、もともとヤラセだったことはもちろん当初から知っていた。両親にそう教えられたし、仲間内でもそう言い合っていた、というのが大きい。
あの今や伝説「西村知美・世界新記録ワープ」で日テレがそういうメディアなのだとあらためて思い知った。この件について一応解説する。彼女は2002年の24時間テレビマラソンランナーだった。午後6時過ぎに「残り30km」だったはずが、1時間後の午後7時過ぎに「残り10km」ほどになっていた。ちなみに現在の女子20000mの世界記録はテグラ・ロルーペ(ケニア)の1時間5分26秒6である。
翌年以降、2003年山田花子が走ったときに2ちゃんねらーが立ち上がり、マラソンの様子を監視した。このためワープもできず番組終了までにゴールできない結果となる。それを受けて?距離が70キロと短くなったり、昨年のアンガールズのように「若い」ランナーも有りになったのか。(※引用元サイト)
そのアンガールズの時は、沿道の観衆が彼らに握手しようと? 近づいてきたところ、日テレの職員に「怒鳴られる」という騒動があった。今年、萩本が苦痛の表情を浮かべつつも、観衆とハイタッチをし続けていたのはその「反省」だろうか。
今年の萩本のゴールシーンは結局、24時間テレビ終了後の「行列が出来る法律相談所」までずれ込んだ。武道館が目の前にあって、あと数百メートルとまで迫っていながら萩本の足はほとんど前に進まない。それでいて観衆やタレントは「欽ちゃん!欽ちゃん!」を繰り返す。萩本は後でこれを「有り難かった」などと言っている。が、繰り返すが私にはどうしても老人虐待にしか見えなかった。
武道館の中、先のタキ翼らのほかにもいわゆる欽ちゃんファミリーや、茨城GG・片岡安祐美選手らが涙を流しながら萩本を迎え入れる(※蛇足だが、24時間テレビに対し文句ばかり言っている私が「見続けた」のも、一重に片岡を見たかったからにほかならない。TBSバレーボール中継のCMの間、何気なく日テレにしたら彼女が出ていたので、そのまま見ることにしただけである)。萩本は観客席階段を、正にえっちらおっちらと下ってくる。途中何度か転倒しそうになる、実に危なっかしい、その度に誰かが「手を差し伸べる」。そこまでしてでも、と。
舞台上に上がった萩本は、徳光らと握手、タキ翼らと抱擁の後、よたよたとゴールテープを切る。多少時間はオーバーしたものの、何だかんだで「無事」ゴールできたと日テレスタッフもホッとした瞬間だろう。直後、滝沢秀明が萩本に対し、あまりに24時間テレビ的というか、「慈善」「友愛」的なせりふを「述べた」時には別の意味で涙が出そうになった。それが滝沢の「本心」なのか、あるいは日テレに「言わされた」のかはわからない。が、あまりに陳腐・軽薄なものだったので、彼の「名誉」のためにもあえてここでは書かないでおく。
繰り返すが、健康な成人男女ならほぼ誰でも可能なことを、わざわざ「悪条件」のそろった萩本にやらせること自体、まったく意味がわからない。くどいようだが、萩本や周りの出演タレント自身をけなすつもりはまったくない。日テレはどういう基準で萩本を選んだのか、そして今後、このマラソンをどうしていくのかをはっきりさせてほしいだけである。
私は萩本がゴールできなかったのは、高齢や喫煙も大きいだろうが、「(ヘタに)練習したから」とも思っている。練習せず、つまりスタート前からの「疲労」がない状態で、最初から最後まで「普通に歩いて」いれば、少なくとも「老人虐待」にはならず、時間内にゴールできたのでは?
死人、はやや大げさとしても、一生にかかわるような大けが・重病にかかるランナーが出てからでは遅すぎる。「勇気を与える」どころか、「同情を集める」ことになっては24時間テレビとしてそれこそ本末転倒だ。来年以降、番組全体をとは言わないから、せめてこのほぼ無意味で命がけな企画はやめるべきだろう。【了】
■関連情報
日本テレビ 24時間テレビ公式サイト
PJ佐々木隆ブログ 「ストロボは人の弱さを笑いながら照らす」
PJニュース.net
番組終盤、確か午後8時ごろだったと思う。ランナーの萩本欽一(66)はゴールまであと2キロほどと迫った。これならば、普通に考えて午後9時の番組終了には歩いてでも十分すぎるほど間に合う。しかし……。痛々しく、文字通り足を引きずりながらゆっくりと、ゆっくりと「歩く」萩本を見て色んな意味で嘆かわしく思ったのは私だけではないはず。
いっぽう、武道館ではタッキー&翼、黒木瞳、新庄剛志ら「若くて元気な」アイドルタレント・俳優・元プロ野球選手が、「普段まったく運動をせず、しかもヘビースモーカーの」66歳に対し、サライを熱唱、その横では徳光和夫が「聞くに堪えないような」クサい演説で煽(あお)りまくる。1つ間違えば、老人虐待と見られてもおかしくないだろう。少なくとも、私にはそう見えた。
決して上で名前を挙げたタレントたち自身を糾弾しているわけではない。特に、新庄は大ファンである。それだけに日テレに「操られて」残念、というのもある。
考えてもみてほしい。24時間で70キロ走る、これははっきり言って、健康な成人男女ならほぼ全員が可能なことだ。単純計算で、時速約2.9キロ。もちろん休憩や食事の時間も必要なので、それらを10時間としても、70キロ÷14時間=時速5キロ。走る必要すらなく、普通に歩いているだけで難なくゴールできるはずなのだ。
もちろん、これはあくまで計算上の話ではある。しかし少なくとも厳しい「練習」が必要な挑戦ではないと思う。萩本の年齢の半分以下(むしろ3分の1近い)で、タバコをまったく吸わない私だが、もし明日スタートだと言われても、よほどのアクシデントでもない限り、時間内に無事にゴールできる自信は十分ある。
もちろん、日テレは私をランナーに指名すべき、という意味ではない(むしろそんなこと絶対やりたくない)。なぜわざわざ萩本のような「1つ間違えば命にかかわる」立場の人間に超長距離を走らせる必要があるのか、と言いたいのだ。
24時間テレビの当日以前、日本医師会などは萩本の挑戦を何度も「無謀」と忠告していた。高齢・喫煙常習・運動不足、加えて今夏の異常な猛暑を危惧(きぐ)して、とのことであった。「無謀」と言い切っているところに注目したい。萩本自身はレース前「こんな乱暴なことをするオッサンがいてもいい」と言っていたそうだが……。
私が単にヒネくれた性格なだけかもしれない、が、少なくとも私は一度もあのマラソンに「勇気をもらった」「元気付けられた」ことはない。勇気や元気は自分自身のみによって生まれるもの、誰かにちょうだいするなんてことがそもそも私の中ではあり得ない。それはともかく、幼少時から見てきたこのマラソン、もともとヤラセだったことはもちろん当初から知っていた。両親にそう教えられたし、仲間内でもそう言い合っていた、というのが大きい。
あの今や伝説「西村知美・世界新記録ワープ」で日テレがそういうメディアなのだとあらためて思い知った。この件について一応解説する。彼女は2002年の24時間テレビマラソンランナーだった。午後6時過ぎに「残り30km」だったはずが、1時間後の午後7時過ぎに「残り10km」ほどになっていた。ちなみに現在の女子20000mの世界記録はテグラ・ロルーペ(ケニア)の1時間5分26秒6である。
翌年以降、2003年山田花子が走ったときに2ちゃんねらーが立ち上がり、マラソンの様子を監視した。このためワープもできず番組終了までにゴールできない結果となる。それを受けて?距離が70キロと短くなったり、昨年のアンガールズのように「若い」ランナーも有りになったのか。(※引用元サイト)
そのアンガールズの時は、沿道の観衆が彼らに握手しようと? 近づいてきたところ、日テレの職員に「怒鳴られる」という騒動があった。今年、萩本が苦痛の表情を浮かべつつも、観衆とハイタッチをし続けていたのはその「反省」だろうか。
今年の萩本のゴールシーンは結局、24時間テレビ終了後の「行列が出来る法律相談所」までずれ込んだ。武道館が目の前にあって、あと数百メートルとまで迫っていながら萩本の足はほとんど前に進まない。それでいて観衆やタレントは「欽ちゃん!欽ちゃん!」を繰り返す。萩本は後でこれを「有り難かった」などと言っている。が、繰り返すが私にはどうしても老人虐待にしか見えなかった。
武道館の中、先のタキ翼らのほかにもいわゆる欽ちゃんファミリーや、茨城GG・片岡安祐美選手らが涙を流しながら萩本を迎え入れる(※蛇足だが、24時間テレビに対し文句ばかり言っている私が「見続けた」のも、一重に片岡を見たかったからにほかならない。TBSバレーボール中継のCMの間、何気なく日テレにしたら彼女が出ていたので、そのまま見ることにしただけである)。萩本は観客席階段を、正にえっちらおっちらと下ってくる。途中何度か転倒しそうになる、実に危なっかしい、その度に誰かが「手を差し伸べる」。そこまでしてでも、と。
舞台上に上がった萩本は、徳光らと握手、タキ翼らと抱擁の後、よたよたとゴールテープを切る。多少時間はオーバーしたものの、何だかんだで「無事」ゴールできたと日テレスタッフもホッとした瞬間だろう。直後、滝沢秀明が萩本に対し、あまりに24時間テレビ的というか、「慈善」「友愛」的なせりふを「述べた」時には別の意味で涙が出そうになった。それが滝沢の「本心」なのか、あるいは日テレに「言わされた」のかはわからない。が、あまりに陳腐・軽薄なものだったので、彼の「名誉」のためにもあえてここでは書かないでおく。
繰り返すが、健康な成人男女ならほぼ誰でも可能なことを、わざわざ「悪条件」のそろった萩本にやらせること自体、まったく意味がわからない。くどいようだが、萩本や周りの出演タレント自身をけなすつもりはまったくない。日テレはどういう基準で萩本を選んだのか、そして今後、このマラソンをどうしていくのかをはっきりさせてほしいだけである。
私は萩本がゴールできなかったのは、高齢や喫煙も大きいだろうが、「(ヘタに)練習したから」とも思っている。練習せず、つまりスタート前からの「疲労」がない状態で、最初から最後まで「普通に歩いて」いれば、少なくとも「老人虐待」にはならず、時間内にゴールできたのでは?
死人、はやや大げさとしても、一生にかかわるような大けが・重病にかかるランナーが出てからでは遅すぎる。「勇気を与える」どころか、「同情を集める」ことになっては24時間テレビとしてそれこそ本末転倒だ。来年以降、番組全体をとは言わないから、せめてこのほぼ無意味で命がけな企画はやめるべきだろう。【了】
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日本テレビ 24時間テレビ公式サイト
PJ佐々木隆ブログ 「ストロボは人の弱さを笑いながら照らす」
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