このカメラ目線はもう見られない?(NNNより)

写真拡大

   安倍首相の「カメラ目線」が姿を消した。首相就任以来、記者や関係者には「やめたらどうか」という意見が多かっただけに、新聞記事には「勝利宣言」ともとれる内容が出ている。参院選惨敗後「反省すべき点は反省する」と繰り返しているだけに、これも反省材料の一つなのかもしれない。

テリー伊藤も説得に失敗

   テレビカメラのみを凝視して話す姿はテレビの絵ズラとして「不自然」で、視聴者からも「ブキミだ」という声があがった。質問する記者には目を向けないため、記者をないがしろにするようにも見えた。記者団から「違和感がある」と指摘されても、安倍首相は「記者に答えるというより、国民の皆さまに答えているつもり」として変えなかった。記者だけでなくマスコミ関係者からも説得されたがダメだった。それが参議院選惨敗後、質問する記者や全体を見渡すようになった。

   テリー伊藤さんも「カメラ目線」を止めるよう説得した一人だった。2007年8月14日の日本テレビ系ワイドショー「スッキリ!!」では、自分が説得できなかったことに落胆していた。テリーさんは、安倍首相とラジオで対談した07年6月下旬、

「不自然だから、いい質問のときは記者の方を向いたほうがいいのでは」

と助言し、安倍首相は、

「あっ、そうだよな」

と答えたそうだ。これで納得した、と思っていた。
   それでも採用されなかったのは、番組のオンエア中に助言したことが、安倍首相を意固地にさせたのではないか、とし、

「(助言は)CM中がよかったかな。安倍さんの顔立ったかな、申し訳なかったかな・・・」

と話していた。

記者団を挑発する逆質問も影をひそめている

   一方、新聞は「勝利宣言」のような書き方だ。安倍首相の目線の変化を、真っ先に伝えたのは07年8月12日付けの東京新聞。記者団から違和感があると指摘しても変えなかったが「近ごろは質問する記者を見ながら答えるようになった」とし、「反省すべき点は反省する」と繰り返していることで、「カメラ目線」も反省材料の一だ、としている。07年8月15日付けの朝日新聞は、安倍首相の参院選後の反省、と、やけにこの「反省」という字を強調し、「強気に記者団を挑発する逆質問も影をひそめている」ことを挙げ、これも「反省」の結果だとしている。

   もっとも、ネットでは「カメラ目線」を止めたことに対しては冷ややかな反応で、

「恥ずかしくて国民を正面から見れないからだろ」
「国民の皆さまに答える気がなくなっちゃたのね」

という皮肉の他は、「どうでもいい話だろ?」という意見が意外に多い。