今季もローテーション制の採用を明言したベニテス監督<br>【photo by Kiminori SAWADA】

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 15日に欧州チャンピオンズ・リーグの予備予選3回戦でトゥールーズと対戦するリバプールのラファエル・ベニテス監督は、昨シーズンも度々メディアから指摘を受けたローテーション制について、今シーズンもその起用法に変化はないと断言した。

 11日のアストン・ビラ戦に2-1で勝利し、プレミアリーグの開幕戦を白星で飾ったリバプール。しかし一部報道では、この試合の遠征メンバーから外されたFWピーター・クラウチがベニテスの起用法に不満を漏らしたとも伝えられている。この件についてベニテスは、選手からの不満の声については否定しつつも、今シーズンもメンバーを固定せずに戦い続けると明言した。

「クラウチについての報道は私も聞いているが、そんな事実はない。選手とは何も問題がないよ。ただ、今のフットボールでは、同じメンバーで戦い続けることなど出来ない。そもそも、プレミアリーグでメンバーを変えずに戦い続けるチームがどれだけあるだろう? あったとしても、中位以下のチームに違いない。なぜなら、彼らが戦うのは、週に1試合だけだからだ。しかし、我々は1シーズンで60試合を戦う。それだけの試合数を同じメンバーで乗り切ることは出来ない」

 さらにベニテスは、昨シーズンと同様にローテーション制について早くも騒ぎ始めたメディアに対し、皮肉を込めたコメントで牽制している。

「誰に聞かれても私の答えは同じ。出来れば毎週同じことを答えるのだけは避けたいのだがね。トゥールーズと言えばラグビーが盛んな街だ。しかし、我々はラグビーのように、15人を同時にプレーさせることはできない。また、私の力不足かもしれんが、残念ながらFIFAやUEFA、そしてプレミアリーグなどを説得して、一度に12人をピッチに立たせることも、私にはできない。試合で起用できるのは11人に限られているし、ヨーロッパの戦いでは、ベンチ入りメンバーも18人と決まっている。だからこそ、すべての選手がポジションを争うことになる。彼らはプロであり、いつでも出場できる準備が必要なのだ」

 今夏のリバプールは、スペイン代表FWフェルナンド・トーレスを筆頭に、各国の代表クラスを続々と獲得する大型補強を敢行。潤沢な資金力をバックに、豊富な選手層を手にしたベニテスが、昨シーズンと同様にローテーション制を敷くのは自然な流れともいえる。それだけに、スペイン人指揮官による選手のモチベーション・コントロールが、名門復活を誓うリバプールの鍵を握っている。