こんな「ク〜〜ル」なサーファー君かもしれない…(写真はイメージ)

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   宮崎市熊野の海岸で2007年8月13日、沖に流された夫婦を救助し、名乗らずに去ったサーファー君が、その去り際がクール(Cool)だとネットで話題になっている。宮崎南署でも、「サーファーの男性から聞こうとしたが、あまり話したがらなかった」という。

「同じサーフィン好き人間として、誇りに思う」

   遭難騒ぎがあったのは、サーフィンのメッカとして有名な木崎浜の北端に当たる清武川河口付近。独自にニュースを報じた07年8月14日付毎日新聞によると、前日午後2時10分ごろ、家族で水遊びをしていた香川県坂出市の男性(34)とその妻(31)が約100メートル沖の日向灘海上に流された。それを目撃した、くだんのサーファー君がサーフボードに乗って救助に向かい、2人をボードにつかまらせた。約30分後に、県の防災ヘリが夫婦を吊り上げ、2人ともけがはなかった。毎日新聞では、

「サーファーは夫婦が救助された後、自力で岸に泳ぎ着き、そのまま立ち去った」

としている。
   この報道の後、早速、ネットでは、サーファー君の話題で大盛り上がり。2ちゃんねるでは、スレッドがいくつも立ち、「超クール」「アンビリバボーあたりで再現ドラマ化!」と次々に彼への賛辞が寄せられた。初めに立ち上がったスレッドは、コメントが1000を越え、表示できない状態になった。

   ブログでも、話題になった。あるサーファー男性のブログでは、毎日の記事を紹介し、「いやぁー、久しぶりにシビレたわ。アンタ男だよ。同じサーフィン好き人間として、誇りに思う」。

   では、サーファー君は、いったい誰なのか。J−CASTニュースでは、彼を探そうと、いくつかのサーフショップに聞いてみた。木崎浜近くにあるグランスサーフボード店長の氏原智一さん(38)は、「そこはいつも宮崎大学サーフィン部が練習しているところ。もしかしたら、宮大生のサーファーかもしれない」という。だが、県外からも多くのサーファーが訪れるとあって、どのショップに聞いても、有力な手がかりはなかった。

東国原知事が感謝状も?

   遭難騒ぎがあった07年8月13日午後2時ごろは、熱帯低気圧のうねりと強い南風を受けて、宮崎地区は、3メートル前後の波が立っていた。波浪注意報も出ており、サーフィンで言えば、中級者以上の波だ。海水浴場ではない清武川河口付近は、普段から遊泳禁止区域になっていたが、毎日によると、流された夫婦は、夫が浮き輪に、妻がビート板につかまっていたという。夫婦は、子供たち3人と一緒に実家に帰省中だった。

   「河口付近は、川から流れ込む離岸流がすごいところ。海岸には、亡くなられた人たちの慰霊碑が立っているぐらいなんです。その日は、サーファーがたくさんいたため、水遊び程度ならできると思って海に入ったのでしょうが、そういう場合に限って溺れやすい」(氏原さん)という。

   ところで、サーファー君は、約100メートル沖までパドリング(ボードを漕ぐこと)し、救助した後、そのままパドリングで戻ってきた。そのサーフィンの腕前はどの程度か?

   氏原さんによると、「サーフィンの中級以上の人なら、行って帰れるレベル」という。

   とはいえ、サーファーならではの救出劇であることには間違いない。同じ宮崎県の日向市では、騒ぎの2日前の11日、漁業研修生のインドネシア人男性(21)が、ほかの研修生と一緒に海水浴場を散歩中に、女子中学生6人が沖に流されるのを見つけ、助けようとして約5メートル沖で波にのまれた。6人は助かったものの、インドネシア人男性は行方不明となり、翌日、県の防災ヘリによって水死体で発見されている。この男性の善意と勇気は、あまりにも痛ましい悲劇となってしまった。11日は、2日後の宮崎地区と同様に、3メートル前後のうねりで遊泳禁止になっていた。

   台風が来るたびに、サーファーが波に流されて救助されるニュースは絶えない。が、このサーファー君は、そんなサーファーの名誉すら回復した。宮崎県庁の関係者は、「お気の毒なインドネシア人男性の場合は、感謝状が出せればいいなと内輪で話題になりました。サーファーの男性の話は、まだ具体的には出ていません」と話す。

   さて、どうしますか、東国原英夫知事。