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みちのくで知る、夕日と朝日の文化

みちのくで知る、夕日と朝日の文化
壮絶な湯野浜海岸の夕日。上空はるか、航空雲が切り裂く。(撮影:今藤泰資 8月2日) 写真一覧(5件)
【PJ 2007年08月12日】− 「昨年、鶴岡を訪ねて、海に向かって日が沈む場所だということを考えました」というのは直木賞作家の山本一力さん。「藤沢文学を語る」という朝日新聞の記事(第2山形版「藤沢文学を語る」)を読んだのは8月2日、作家藤沢周平の郷里、山形県鶴岡市にある湯野浜温泉の宿であった。また何年か前には、友人の大学教授は自己紹介の場で、「いつも雲に覆われている裏日本と違い、茨城の地にはさんさんと降り注ぐ朝日が見事だ」と、郷里の出雲と現在住む「常陽の地」茨城を比較、並み居る人を感心させたことがある。

 全国的に梅雨明けを迎えた8月1日、わたしはたまたま宮城県の松島で、海を見下ろすホテルに滞在していた。うす曇の太平洋に昇る朝日を眺めたわたしに、翌日の「1日を閉じるのが海。この文化は、土佐出身の私にはまったくなかった」という山本さんのコメントはいっそう新鮮に響いたのであった。

 山形出身の藤沢周平と、土佐出身のわが身とを比較する山本一力さん。続けて、「日が海に向かって沈むのか、海から昇るのかというのは、人の生き方を決定的に変えるような気がするなあ。例えば土佐なら、日が昇ってくるところだから、いつも向こうに何かがあると思う。でも、海に向かって日が沈む文化の中で育ったら、ものごとは海に向かって収斂(しゅうれん)してゆくよね。終着駅として海を求めてゆく」(前述朝日新聞記事)というのだ。

 沖縄には、「ニライカナイ」という海洋民族特有の文化がある。年初にニライカナイから来た神は豊穣(ほうじょう)をもたらし、生者もまたニライカナイより来て、死者になってニライカナイに去ると考えられている(Wikipedia)。「ニライカナイ」とは文化というより、宗教儀式であろうが、そこには海への畏敬(いけい)と憧憬(しょうけい)、あるいは恐怖さえ感じる。そう考えると、「遠い海の向こうから、いくさがやってきて♪」という「ざわわ」という歌の文句さえ意味を持つことになる。

 主たる目的のないまま出掛けた「みちのく」2泊3日の旅。思いがけず夕日の文化と朝日の文化を考えさせられる旅となった。周辺を海で囲まれた島国の日本には、海にまつわる固有の文化があり、さらに朝日を日常とする文化圏と、夕日をめでる文化圏に分かれていることを知らされた。

 今でこそ、太平洋岸に都市も文化も人口も集中する日本列島。往古は、海洋交通も日本海沿いに伸び、義経が逃れたのも、北前船が活躍したのも、京大阪に蝦夷(えびす)の食文化を運んだのも、みな「夕日の文化圏」によってであった。刻々と日本海に沈むこの日の夕日は、また格別なものとしてわたしには映った。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 今藤 泰資【 茨城県 】
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