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日本の伝統・大道芸は妙技だ。街に復活せよ! =東京・浅草(下)

2007年08月11日02時36分 / 提供:PJ

pj
日本の伝統・大道芸は妙技だ。街に復活せよ! =東京・浅草(下)
「太神楽」は神官の行事で、大道芸の元祖。女流芸人が顎に立てた台の上にお茶碗を高く積み上げていく。観客はハラハラどきどき。(撮影:穂高健一、4日) 写真一覧(5件)
(中)からのつづき。第九回伝統大道芸名人会での大正演歌は、おかしなバイオリン弾きの福岡詩二さんと、音大出の弟子でバイオリニストの福岡詩乃里さんとの共演だった。

 詩二さんがまず大正時代に流行した「逢いたさ、見たさに、恐さを忘れ」の歌詞ではじまる、乙女の心を歌う『かごの鳥』から。詩乃里さんは『バラの歌』。ふたりは大正の歌をバイオリンで弾(ひ)き、語る。呼吸の合った、ふたりの美声から大正ロマンが感じられた。

 「うちの親父ははげ頭、隣の親父もはげ頭」というなじみの歌が、外国曲の替え歌だと解説をつけ加える。詩二さんは終始、観客に大正時代の知識を授けていた。

 「船頭小唄」は野口雨情が作詞。かれがいかに貧乏していたか、と詩二さんが語る。雨情は年の暮れに死を覚悟し、利根川の枯れたススキを見ていた。ただ、もう一年は生きてみようと思った。それらの情景と心情を歌詞にしてから、中山晋平のところに持ち込んだ。

 「慎平は甘い作曲が多い。あまりにも暗い歌詞なので、放っておいた。雨情からは何度も催促があった。慎平はしかたなく当時流行していた『金色夜叉』のメロディーを使った替え歌として、適当に作曲した。それが大ヒットした」という経緯を語ってから、「船頭小唄」を歌った。
 
 若手の弟子が舞台に多く上がったのが、丸一仙翁(まるいち せんおう)さんの太神楽だ。丸一さんは12代目の鏡味小仙の芸養子となり、05年に13代丸一仙翁を襲名した。

 太神楽は神官の行事で、大道芸の元祖ともいえる。三味線と太鼓と囃子(はやし)で、リズミカルな曲が流れると、弟子たちによる「傘の曲芸」がはじまった。傘の上にのせた茶碗(ちゃわん)、鞠(まり)などが廻(まわ)りだす。若手の女流芸人は真四角の枡(ます)をも回す。

 「五階茶碗」では、芸人が顎(あご)に立てた台の上にお茶わんを1個、2個、3個と高く積み上げられていく。観客をハラハラどきどきさせながら、成し遂げた。

 「水雲井の曲」では長竿(ざお)の先端に茶碗を乗せ、本ものの水を八方に散らす。終わりには紙吹雪に代わる、とカラクリのある芸だった。

 丸一仙翁さんによる「一万燈の立物」がラストを演じる。万燈の飾りつけは実に見事なもの。丈は一丈2尺で、四段につぎ分ける。丸一が投げる細糸づくりの鞠が、万燈の周辺をいくつも飛び羽る。まさに極意の芸だった。

 木馬亭で、大道芸人たちの妙技を堪能した。浅草駅に向かう通りには赤提灯の店がずらりならぶ。夕涼みの縁台では日本人に混じり、数多くの外国人が酒を飲む光景があった。ふと、ある違和感を覚えた。

 外国人の多い国際都市の浅草で、日本人の大道芸人が一人もいないのだ。USAの繁華街ならば、夜でもまずピエロがいる。磊落(らいらく)に笑う、人種を越えた見物人たちがいる。

 しかし、芸の本場・浅草ですら、大道芸人はゼロ。なぜか。道路交通法ではデモ規制とおなじテーブルで、路上での物販も、大道芸をも規制する。それは江戸幕府の「華美なものは何でも禁止」という例外を認めない、一網打尽に規制してしまう、お上の命令に通じるものがある。

 日本人はいまや「過剰な法規制」すら疑問を持たず、無感動の庶民になってしまったのだ。

 わが国はやたら暗い事件が多く、殺伐とした、明るさに欠けた社会だ。いかに改善するべきかと、誰もが問題意識を持つ。しかし、悪化傾向には歯止めがかからない。

 青少年が凶悪な事件を起こせば、憂う知識人の多くが教育問題だの、世の仕組みの欠陥だのと、訳知り顔で語る。だが、どれも改善への道筋としてはほど遠い。

 道路の規制緩和による、「大道芸の復活」は、日本人の心や顔に明るさをもたらす、有効な手段のひとつだ。木戸銭を払わなくても、老若男女が路上の大道芸を見て大笑いする。見知らぬ庶民どうしが素直に笑える。TV娯楽番組の映像と違い、人間と人間が直(じか)にした心のふれあいが生まれるのだ。

 駅に通じる歩道が多少ふさがれても、歩行や通行の邪魔になっても、明るい世に向けた改善メリットのほうが大きい。

 最近は大道芸を習う女性が増えてきた。素人ぽくても、芸を身につけた人が街に飛びだせば、青少年たちが人間回復の明るく笑う姿が作りだせる。日本人は自分たちの暗さから目覚めるべきだ。【了】

■関連情報
次回公演『第6回年忘れ演芸音楽会』:12月28日(金)銀座文祥堂 開演13時

福岡詩二の大正演歌教室
第2、第4木曜日 14:00 18:30 上野広小路亭(03-3833-1789)

大道芸を守る会 042−482−0194

記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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演歌  銀座  道路交通法  ワールド  人種  
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