補強に満足のモウリーニョ監督<br>【photo by B.O.S.】

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 例年に無く静かなシーズンオフを過ごしたチェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督が、その補強戦略を改めて説明した。毎夏の恒例となっていた大物選手獲得を見送った今オフのチェルシーは、MFスティーブ・シドウェル、DFタル・ベン・ハイム、FWクラウディオ・ピサロ、MFフロラン・マルダと、実力者ながら比較的ネームバリューの低い選手の獲得に補強を留めた。これについて、現有戦力に自信を覗かせるモウリーニョは、ケガ人続出でプレミアリーグのタイトルを逃した昨シーズンの苦い思い出から、バックアップ選手の整備に乗り出したことを明言している。

「今のチェルシーに新たな血は必要ない。必要なのは、昨シーズンのようにケガ人が続出した際、いかにチームを守るかだ。我々はシーズンを通して60試合以上を戦う。そのすべてに出場できる選手などいない。今夏の補強でチームに新たな可能性をもたらすと言えるのはピサロだけだ。シドウェル、ベン・ハイム、マルダの3人は、チームを守るために獲得した。昨シーズン、我々はセンターバックの選手層に問題を抱えていた。だからこそ、ベン・ハイムの獲得には大きな意味がある。同じように、ウイングにはマルダを加えた。彼は本当にいい選手だ。また、中盤のセンターも、我々にとって問題となりえるポジションだ。なぜなら、来年1月のアフリカ・ネーションズカップで、マイケル・エッシェンなどが離脱する可能性が高いからね。だからこそ、シドウェルを獲得したんだ」

 さらにモウリーニョは、チェルシーに所属するすべての選手に対し、出場のチャンスを与えると宣言。ベンチスタートが多くなるメンバーに対しても、「スタメンを奪うチャンスは必ずある」と語りかけている。

「シーズン当初はスタメンじゃなくても、シーズンが進むにつれて、必ずチャンスは訪れる。昨シーズンは、全員が20試合以上に出場している。そもそもチェルシーに移籍する選手は、簡単にプレーの場を与えられるとは思っていないはず。しかし、チェルシーがどの大会でも必ず決勝や準決勝まで勝ちすすむことも事実。つまり、プレーの機会は必然的に多いわけだ。我々のようなチームでは、ローテーション制を採用する必要がある。出場機会を制限する反面、すべての選手にチャンスが訪れる。選手はそれを理解しているはずだ」

 FAカップとリーグカップの2冠を獲得しながらも、プレミアリーグのタイトルをマンチェスター・ユナイテッドに奪われたため、失意の1年となった昨シーズンのチェルシー。その背景には、シーズン途中にケガで主力が続々と離脱する不運もあったが、その穴を埋めることが出来ない選手層の薄さこそが根本的な問題だった。そこで、メディアやファンの期待を裏切りながらも、的確な補強を敢行した今オフのモウリーニョ。早くも、キャプテンのジョン・テリーやFWディディエ・ドログバが負傷で開幕戦を欠場する可能性が高いが、闘将に動揺はまったく見られない。リーグタイトルの奪回を狙うポルトガル人監督は、地味な補強から大きな自信を手に入れたようだ。