ロレーナ・オチョア=6打差は十分?待望のメジャー初優勝まで、あと一歩!(写真/田辺安啓=JJ)

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初日から単独首位を守り続けているロレーナ・オチョアは、3日目の朝、窓外で大きく揺れる木々を見て「今日は大変な一日になるだろう」と覚悟した。練習場で球を打ちながら「今日はイーブンパー前後で回れば上出来のはずだ」と目標スコアを定めた。そして、直感的に定めたその目標通り、イーブンパー73で回り、単独首位を維持。2位につけたリンダ・ウエスバーグとは6打差。メジャーで惜敗を繰り返してきたオチョアが、今度こそ悲願のメジャー初優勝へ向かって着実に歩を進めている。

3日目は、これまでで最も強い風が吹き荒れた。選手たちはボロボロとスコアを落としていき、今日アンダーパーで回ったのは、わずか3人だけ。通算でアンダーパーを維持しているのはオチョアのみだ。

オチョアの強さは何だろう。3〜4ヶ月も前から全英対策の特別なショットを練習してきた準備がモノを言っているのは確実だ。だが、それより何より、彼女自身が口にした「この風の中の闘いは、メンタルのゲーム」という言葉が、オチョアの強さを物語っているのだと思う。「本当に厳しい闘いで疲労も激しい。でも、だからこそバーディチャンスにつけたときの喜びは2倍になる。バーディが取れるプレーをしている、すごいわって思えるのよ」。

だが、メジャー優勝を切望しているからこそ、明日の最終日は何が起こるかわからない。どんな心構えで臨むのかと問われると、オチョアはこう答えた。「何も変えない。何か違うことをやろうとすると、必ずトラブルに陥る」。

この言葉を聞いたとき、宮里藍のいくつかのチェンジが頭に浮かんだ。今週に入ってからロングパットに順手を採り入れたこと。ショットもパットも好調で初日に4位タイの好発進をしたのに、初日のラウンド後のスウィング調整の結果、2日目はタイミングや振り切りが悪くなったこと。上を目指していたからこそのチェンジであることは理解できるが、大会中の技術的なチェンジは裏目に出ることのほうが多い気がしてならない。

だが、それでも宮里が今日3日目、「ドライバーも振れていたし、フェアウエイに置いておけばチャンスはある」と前向きになることができたことにほっとした。2バーディ、3ボギー、1トリプルボギーで77。「昨日よりは自分で納得している。スコアにはつながらないけど」。スコアにつながらなかった理由は「パッティングだ」と父・優氏。宮里は順手のロングパットは「細かいフィーリングがまだ出ない」と言っているが、そのまま4日間やり通すつもりだ。通算8オーバー37位タイ。最終日のがんばり次第では上位に食い込むことも夢ではない。2日目に大きく裏目に出たチェンジが、3日目には少しだけ快方へ向かった。せめて最終日、チェンジを後悔しなくてすむような結果を出してほしい。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)