今週のお役立ち情報
北アルプスで見つけたぞ、魅力の山小屋はここだ!(中)
2007年07月27日16時44分 / 提供:PJ
【PJ 2007年07月27日】−
(上)からのつづき。野口五郎小屋は開設されてから、半世紀ほど経つ。室内には、当時の山小屋の面影が随所に残されている。
北アルプスでも豪華なサロンを持った山小屋が立ち並ぶ時勢だ。それに逆らうように野口五郎小屋ではストーブ、ランプ、鉄瓶など、伝統的な代物が目立つ。それらが山を心から愛する登山者たちを集め、団欒(だんらん)の場を盛り上げているようだ。
山の食事はもともと質素だ。山小屋の従業員が調理しても、登山者が自炊で作っても、気圧が低いから沸点が100度に達しない。味付けの面でも難がある。ご飯はパサパサになる。
上條盛親さんの妻の征子(せいこ 61)さんは、13年前から山小屋に入っている。厨房(ちゅうぼう)を取り仕切る。料理の環境条件がよくないので、征子さんはことのほか材料にこだわっているという。みそなどは善光寺の特別仕立てを使う。
登山客が少ないときは、特別にジンギスカン風の鍋料理(ゴロー焼き)を調理してくれるし、タレも凝っている。さらには手製バラエティー・サラダと盛りだくさん。ランプの灯火(ともしび)の下だけに、情緒豊かな山小屋ディナーだ。家族団らん同様のもてなしだった。
山小屋の夜にはロマンスの話題が似合う。山小屋主の夫妻にはなれ初めを語ってもらった。「ふたりは幼稚園時代からの幼馴染みです」と征子さんは話す。これは良い『恋のロマンス』が聞けそうだと、胸が高まった。同時に、「お手てつないで、幼稚園……」という50年代の流行歌が脳裏を横切った。
征子さんは独身のころ、縁戚(えんせき)筋でもある上高地・五千尺ホテルで、フロント係として勤務していた。山が好きで、穂高や槍ヶ岳にも登ることがあったという。他方で、山小屋で働く盛親さんは上高地を通る折り、征子さんに声をかけていた。幼稚園時代からの幼馴染みだ、恋に火がつくのは早かったのだろう。
結婚後は夫婦の年輪を重ねながら、風雪にも負けず、山小屋を守り続けてきた。盛親さんは還暦を迎えるころから、後継者への思慮が深まった。「儲(もう)かる小屋ではない。実質は赤字です。ホテルやペンション感覚の派手な山小屋でもない。シャワーすらつけていない。こうした山小屋を、誰か引き継ぐものはいるのか?」と自問したり、夫婦で話し合ったりしてきた。結論が出なかった。
息子の文靖さんが3年前に「野口五郎小屋を継ぎます」と、父親の盛親さんに申し出たのだ。かれは長野県・池田町の会社員で、サービスマンだった。妻の愛子さんは大町市内の大手スーパーで働く。二男一女の親である。
「息子は一家の大黒柱。これから子どもの教育には金がかかる。儲かる山小屋ではない。後を継がしてはかわいそうだ、と思いました」と盛親さんは話す。
『野口五郎小屋の後は自分が継ぐ』という上條文靖さんの決意は固かった。父親の盛親さんからはつね日ごろ、経営が大変だと聞かされていた。それでも、勤務先の会社に退職届を出して、山小屋に入ったのだ。
山小屋に入れない冬場は、文靖さんは派遣会社から、長野県・池田町のもといた会社に勤務する。【つづく】
■関連情報
野口五郎小屋
電話 090−3149−1197(山小屋直通:衛星電話)
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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北アルプスでも豪華なサロンを持った山小屋が立ち並ぶ時勢だ。それに逆らうように野口五郎小屋ではストーブ、ランプ、鉄瓶など、伝統的な代物が目立つ。それらが山を心から愛する登山者たちを集め、団欒(だんらん)の場を盛り上げているようだ。
山の食事はもともと質素だ。山小屋の従業員が調理しても、登山者が自炊で作っても、気圧が低いから沸点が100度に達しない。味付けの面でも難がある。ご飯はパサパサになる。
上條盛親さんの妻の征子(せいこ 61)さんは、13年前から山小屋に入っている。厨房(ちゅうぼう)を取り仕切る。料理の環境条件がよくないので、征子さんはことのほか材料にこだわっているという。みそなどは善光寺の特別仕立てを使う。
登山客が少ないときは、特別にジンギスカン風の鍋料理(ゴロー焼き)を調理してくれるし、タレも凝っている。さらには手製バラエティー・サラダと盛りだくさん。ランプの灯火(ともしび)の下だけに、情緒豊かな山小屋ディナーだ。家族団らん同様のもてなしだった。
山小屋の夜にはロマンスの話題が似合う。山小屋主の夫妻にはなれ初めを語ってもらった。「ふたりは幼稚園時代からの幼馴染みです」と征子さんは話す。これは良い『恋のロマンス』が聞けそうだと、胸が高まった。同時に、「お手てつないで、幼稚園……」という50年代の流行歌が脳裏を横切った。
征子さんは独身のころ、縁戚(えんせき)筋でもある上高地・五千尺ホテルで、フロント係として勤務していた。山が好きで、穂高や槍ヶ岳にも登ることがあったという。他方で、山小屋で働く盛親さんは上高地を通る折り、征子さんに声をかけていた。幼稚園時代からの幼馴染みだ、恋に火がつくのは早かったのだろう。
結婚後は夫婦の年輪を重ねながら、風雪にも負けず、山小屋を守り続けてきた。盛親さんは還暦を迎えるころから、後継者への思慮が深まった。「儲(もう)かる小屋ではない。実質は赤字です。ホテルやペンション感覚の派手な山小屋でもない。シャワーすらつけていない。こうした山小屋を、誰か引き継ぐものはいるのか?」と自問したり、夫婦で話し合ったりしてきた。結論が出なかった。
息子の文靖さんが3年前に「野口五郎小屋を継ぎます」と、父親の盛親さんに申し出たのだ。かれは長野県・池田町の会社員で、サービスマンだった。妻の愛子さんは大町市内の大手スーパーで働く。二男一女の親である。
「息子は一家の大黒柱。これから子どもの教育には金がかかる。儲かる山小屋ではない。後を継がしてはかわいそうだ、と思いました」と盛親さんは話す。
『野口五郎小屋の後は自分が継ぐ』という上條文靖さんの決意は固かった。父親の盛親さんからはつね日ごろ、経営が大変だと聞かされていた。それでも、勤務先の会社に退職届を出して、山小屋に入ったのだ。
山小屋に入れない冬場は、文靖さんは派遣会社から、長野県・池田町のもといた会社に勤務する。【つづく】
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野口五郎小屋
電話 090−3149−1197(山小屋直通:衛星電話)
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