ユビキタスの扉を開く無線ブロードバンド

究極のIT社会とは、いつでもどこでもネットワークに接続できるというユビキタスな世界。そんな未来社会の実現に向けた第一歩になると言われる、無線ブロードバンドが登場間近となっている。単なるインターネット接続にとどまらず、情報化の中核技術として各界からの期待は高まる一方だ

業界動向：IT市場拡大のけん引役として期待される大型テクノロジー
大規模なインフラ整備なしに高速・広域インターネット網を敷設できる無線ブロードバンドのサービス開始が、いよいよ目前に迫ってきた。複数の通信関連企業が実証実験を行っているほか、ベンチャー企業各社もビジネスチャンスを見いだして次々に参入を表明するなど、通信業界ではホットな話題が尽きない。

ITの究極の未来像は、端末を開けばいつでも通信網に接続できるというユビキタス・コンピューティング。無線ブロードバンドはその端緒を開く技術だ。これまでもNTT Docomoの「W-CDMA」やWILLCOMの「W-OAM」など萌芽的なテクノロジーは存在したが、速度的にはxDSLや光ファイバーに比べると大きく見劣りした。
ところが、現在注目されている「WiMAX」「TD-CDMA」「W-CDMA HSDPA」、韓国の「Wibro」などの次世代通信プラットホームは、通信速度が飛躍的に向上している。xDSLクラス、もしくはそれ以上の速度をモバイル端末に適用可能ということで、きわめて高い競争力をもつサービスに成長するという期待感が出てきているのである。

総務省は電波関連の市場規模を、2013年に90兆円以上に引き上げたいと考えており、支援政策を打ち出している。市場規模を引き上げる三種の神器といわれているのは「新世代放送技術」「情報家電のコードレス化」そして「無線ブロードバンド」だ。
規制緩和によって新周波数帯の割り当てが進めば、無線ブロードバンドは大ブレークする可能性大。エンジニアにとっても今後に注目すべきテクノロジーである。


穴場求人：経験より創意工夫とやる気。幅広いエンジニアを歓迎
無線ブロードバンドの市場は、将来的に確実にビッグマーケットを築くと見られている。開発競争や新規サービスはもとより、新規キャリアの参入で兆円単位の市場拡大が見込まれているからだ。また、情報家電やユビキタス・コンピューティングのベースにもなるため、単にxDSLなど既存のインフラの代替技術にとどまらない可能性も秘めている。
今後、無線ブロードバンドへの移行がトレンドとして定着するに従い、エンジニア需要の拡大もまず間違いないところだ。リクナビＮＥＸＴでは「無線」「CDMA」「次世代通信」などをキーワードに検索をかけることで求人情報をゲットできる。また、「職種」の「技術系（ソフトウェア、ネットワーク）」や「経験・スキル」の「技術系（電気、電子、機械）」の中の「無線通信機器」などでも検索できる。

エンジニアの人材需要はハードウェアとソフトウェアの両方にある。ハードウェアでは、基地局など設備系については大出力を含む無線デバイス全般、交換機や端末側では携帯電話やPDAなどの回路、FPGA、I/Oなど、マイクロデバイス向け技術全般が経験としては役に立つ。
ソフトウェアではまずネットワーク。IPネットワークの設計からサーバーの管理、セキュリティーや認証まで幅広く、特にIPの知識と経験が重視される。また、SEやプログラマなら設備、端末ともLinux、C言語など組み込み系の知識が必要。もちろんネットワークの知識が有用となるが、次世代技術なだけに、設備系ではプロトコル新設計など高度なスキルが要求されることもある。端末ではファームウェアだけでなく、アプリケーション開発のニーズも多く、経験者は有利だ。

TD-CDMAのケーススタディでも述べたが、既存のネットワークとは仕組みがかなり異なる通信技術も多いため、保有しているスキルがそのまま役に立つとは限らない。また、業界別では、通信キャリアや各種メーカー（端末、基地局、交換機など）からコンテンツホルダー、ソフトハウスまで、非常に幅が広く多岐にわたっている。実際に応募するときは、やる気と創意工夫力をアピールしておきたい。

■無線ブロードバンド業界のエンジニアニーズ
・ 有望な将来技術であり、求人は今後大いに増える可能性大
・ 携帯電話や無線など、電波に関するスキルは全般的に有用
・ 組み込み系、アプリケーション、プロトコル設計経験も役立つ
・ 既存のスキルがそのまま通用するとは限らず、柔軟性、発想力が必要
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