選挙後の株価はどうなる?

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   与党が過半数を確保できるかが最大の焦点になっている参院選は07年7月29日に投票日を迎える。株式市場では「与党が苦戦することは織り込み済み」との見方が広がっており、選挙結果の影響は限定的との声が強い。ただ、「与党が大敗し、政局が混乱すれば影響は出るだろう」(市場関係者)との声もあり、参院選後の相場の行方に注目が集まっている。

小泉大勝利でも平均株価は下落

   東京株式市場は現在、外国為替相場で円安基調が続いていることや、米国を中心とした世界的な好景気を背景に、自動車など輸出関連株を中心に広く買いが先行しており、好調に推移している。日経平均株価は7月9日、終値ベースで1万8,261円98銭と年初来高値を更新し、約7年ぶりの高値をつけた。

   そんな好調な相場に影響を与えかねないのが参院選だ。しかし、これまでの国政選挙を振り返ってみると、選挙結果と日経平均株価はそれほど関連性がないことも事実だ。98年の参院選で自民(橋本内閣)が大敗北した際も、01年の参院選で自民(小泉内閣)が大勝利を収めた際も、いずれも投票日から1カ月後の日経平均株価は投票日直前と比べて下落している。

   98年は約4%の下落だったのに対し、01年は約7%も下げており、選挙結果と株価はほとんど連動していないようにも見える。「相場にとって、選挙は一つの要因ではあるが、株価は為替や企業業績などのファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に総合的に左右される」(市場関係者)ためといえる。

与党の大敗がプラス要因として働くとの見方も

   ただ、選挙結果次第で財政政策に大きな変化が生じれば、影響は無視できない。今回の参院選の場合、市場関係者の中には、与党大敗の影響について、プラスとマイナスの両面が指摘されている。「与党が大敗して、政局が大混乱し、市場が最も嫌う不透明感が広がれば、株価の上値は重くなる」とマイナス 面を訴える声も少なくない。「自民が負ければ、安部政権の財政再建や規制緩和が遅れるというネガティブなイメージが出てくる。そうなれば、外国人投資家は 嫌気して、一時的にでも、株価は下がる」との指摘もある。

   しかし逆に、与党の大敗がプラス要因として働くとの見方もある。市場関係者の中には「与党大敗なら、消費税の議論や日銀の利上げも進まなくなる可能性があり、目先の株価にとっては悪くない」「外国人投資家は、小泉政権に比べて、安部政権の財政改革を評価しているわけではないから、安部政権が交代するような事態になれば、かえって日本株が買われる」との指摘もある。選挙結果の影響をどう読むか、さまざまな角度からの分析が盛んだが、極端な悲観論が少ないのは、実体経済が好調なせいだろう。