[CNET Japan] 米議会で特許法改正に向けた動きが加速
2007年07月24日07時56分 / 提供:CNET Japan
Microsoft、Amazon.com、Cisco Systemsなどのハイテク企業が長年求めてきた米国の特許法改正が、ようやく米連邦議会で勢いを得ることになりそうだ。
米国時間7月19日夜に行われた米上院司法委員会での決議投票の結果、13対5で「米国特許法改正案」(Patent Reform Act of 2007)が承認された。改正案の支持者たちは、費用のかかる法廷闘争を食い止め、行き過ぎの感がある損害賠償額に限度を設け、何よりもまず、疑わしい申請案件に特許を与えないようにするのに、この法案が役立つと述べている。
Orrin Hatch上院議員(共和党、ユタ州選出)と共同で法案を提出した司法委員会のPatrick Leahy委員長(民主党、バーモント州選出)は、投票後の声明で、「わが国の特許法が国内の各業界における創意工夫の奨励と保護を確実なものにするという姿勢を、われわれは再確認した」と述べた。
審議を重ねるうちに委員会の考え方はしだいに変化して、今回の動きとなったものだが、この前日の18日には米下院司法委員会が全会一致で同様の法案を承認している。
両院の法案はどちらも、2007年4月に記者会見で華々しく発表されたときは同じ内容だったが、さまざまな修正が施されたため、今では中身に少し違いがある。上下両院の本会議で法案が承認されれば、この違いを調整する必要が出てくる。
今回、上下両院の司法委員会が比較的素早い対応を示したのとは対照的に、過去の議会の審議では、特許法改正をめぐる議論は遅々として進まなかった。前回、特許法の全面見直しが提案された際には、特許をビジネスモデルに組み入れるやり方が産業分野によって異なることが原因で審議は紛糾し、結局は廃案になっている。
賛成意見と反対意見
今のところ、一本化された特許法改正案が大統領に提出されるかどうかはわからない。どちらの法案も、幅広い企業や団体から相当な抵抗を受け続けている。具体的には、大手メーカー(General Electric、3M、Procter & Gambleなど)、製薬会社、バイオテクノロジ企業やナノテクノロジ企業、ベンチャーキャピタリスト、大学、研究機関、それに、QUALCOMMのように特許のライセンスに依存する傾向が強い企業などだ。
「それでもなお、この法案は特許の保護を強化するのでなく、弱体化させ腐らせることになる。そうして革新を鈍らせ、起業家精神を抑えつける」と、Innovation Allianceは上院での法案承認について出した声明の中で述べた。同団体には、QUALCOMM、Tessera、AmberWave Systemsなどが加盟し、下院に提出された法案についても同様の声明を出している。
一方、ハイテク業界の企業は同法案の承認を歓迎している。市場のシステムが特許保有者に有利な方向に歪められ、いわゆる「パテントトロール」の出現を促したとして、従来のシステムに異議を唱えているからだ。パテントトロールとは、資金力のある同様の会社に対して、法外な損害賠償やロイヤリティ支払いを要求するためだけに特許を所有する企業を指す。
Business Software Alliance(BSA)のプレジデントを務めるRobert Holleyman氏は20日に声明を発表し、法改正は「米国の将来の革新と繁栄にとって必要不可欠だ」と述べた。BSAには、Adobe Systems、Apple、Dell、Intel、Microsoft、IBMなどが加盟している。
7月第3週にそれぞれの委員会で承認された両法案は、その中核を占める部分でよく似通っている。そして、その中には、業界によって大きく意見が分かれ、激しい論争を巻き起こしてきた項目もいくつかある。
提訴手続きも改正
両法案はともに「先願主義」の特許方式を謳っている。先願主義は現在、米国以外のすべての国が採用している制度だ。現行の「先発明主義」では、最初の発明者を特定するのが困難なことから数々の問題が生じてきた、という批判がある。改正法案には、特許出願者に新しい制度の下で保護を受ける資格があるかどうかを争うための手続きも盛り込まれている。
新法案ではまた、米特許商標庁内に「特許承認後の異議」について検討する委員会を設置して、時間と費用のかかる特許訴訟の代わりに利用できるようにすることも求めている。しかし、これについては意見の対立もある。それは、第三者がこの制度を利用できる期間をどれくらいに設定するか、という問題だ。ハイテク企業はほとんど制限をかけないことを要求しているが、一方で、異議申し立て期間の制限をはずしたら、特許の価値を危険にさらす可能性があるとする反対意見もある。
両法案とも、特許訴訟の現状を考慮して、ハイテク業界から再び不満の声が起こらないよう、かなりの注意を払っている。たとえば、企業が自らにとって最も有利な裁判所ばかり選んで提訴しようとするのを防ぐため、提訴可能な裁判地を制限する、といった措置を講じている。
両法案について最も厳しく意見が対立している事柄の中に、特許侵害を犯した場合、特許保有者にどれだけの賠償金を支払わなければならないかという問題がある。ハイテク業界は、製品の主要コンポーネントは何千もあるため、そのうちのたった1つで特許侵害を犯したといって、製品全体の価値に基づいて損害賠償を請求されるのは不適切な場合が多い、と主張する。しかし他の業界では、ハイテク業界に比べて少ない数の特許に頼っていることが多く、意見は異なる。ハイテク業界が主張するようなやり方では、自分たちの発明の価値が減じられ、自分たちが当然受け取るべき賠償金が得られなくなる可能性がある、というのだ。
この問題で両法案は、その製品市場の需要を喚起するのに当該特許が「必要不可欠」である理由を特許保有者が示せないかぎり、その製品に対する当該特許の「貢献度」に基づいて裁判所が賠償金の額を決定することを認めている。両法案はまた、問題の特許侵害が「故意」か否かの追及も制限しようとしている。故意だった場合の損害賠償額は3倍になるが、両法案では、特許侵害だと相手が知っていた証拠を示す新たな義務を、特許所有者に課している。
たとえ2007年中に議会でこれ以上の進展がなかったとしても、ハイテク業界の懸念していた問題の一部は、この2年の間に米連邦最高裁判所の示した判断の中にすでに取り上げられている。最近の例で言うと最高裁は、特許の内容があまりにも「自明」で、保護を保証されるものではない、という判定を下すための基準の緩和を意図した裁定を下している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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