photo by Kiminori SAWADA

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 オーストラリア戦から一夜明けた22日、日本代表は18時半からトレーニングを開始した。通常の試合翌日同様に、先発出場組と控え組とが別のメニューを行っていた。「さすがに、昨日は疲れたね」と遠藤。7月1日の招集以降、ベトナムへ向けて旅立った移動日以外は全く休みがなく、毎日練習を行っている。連戦が続いていることもあり、先発組の疲労度は高まっているように思える。

 試合間が1週間近く空けば、いったん負荷のかかるトレーニングを行い、コンディションを落としてから。もう一度、作りなおすことも可能だが、中3日や中4日程度で連戦が続く現状では、それも難しい。今大会中、UAE戦前に風邪を引き、コンディションが落ちてしまった高原が、ベトナム戦後「今日は最悪のコンディションだったけれど、キツイ中、90分プレーしたことで、ここからまたあげていける」と語っていたが、きっちりとオーストラリア戦に向けて、コンディションを整えてきた

「試合にむけて、どれだけ追い込むかというのは、体に刻みこまれている」と話していた高原は、試合翌日のダウンメニューでも、他の選手よりも長くジョギングを行っていることが多い。体の状態を察知し、それに対する対応策を瞬時にとれるのだろう。

 次の試合時間に合わせ、練習を行うことが多いオシムジャパン。20時20分キックオフのUAE戦を前にした11日の練習は20時開始だった。練習終了が22時近くとなり、夕食の時間も当然遅くなってしまった。「全く気にならない。練習後に食事を取って、眠たくなれば眠る」と話す若手選手もいたが、べテラン選手たちの多くが、「練習が終わってから食事をして、すぐに眠るわけにはいかないので、練習後の食事の量を減らしたりもするけれど、就寝時間が遅くなるのがイヤだ」と言っていた。そういえば中澤などは、通常は23時には眠ると話していただけに20時からの練習は、きついのだろう。そんな彼らの声が反映したのか、25日の準決勝を前にしての練習も20時よりは若干前倒しで行われている。

 コンディション調整は、先発組だけの問題ではない。控え組のほうがより難しい。連戦が続けば、練習メニューも先発組を意識したものになるため、試合に出ていない選手にとっては、軽い内容で終わることもある。「体は動かさないと、動けない」といわれている。控え組は試合に出ていないから、疲労がないと思うが、そのぶん、動けない状態に陥っていることもあるのだ。そのため、彼らはホテルのジムで自主的にトレーンニングを行い、動ける体を作っておく。また、運動量が少ないこともあり、食事の量にも気を使うと聞いたこともある。

 約一か月という長丁場の大会を乗り切る経験は、そう何度もできるものではない。そういう中で、生じる様々なアクシデントや自身のコンディションの変化への対応も、代表選手にとって、いい経験になるに違いない。

―― text by Noriko TERANO from Vietnam ――

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