レアル・マドリーのカンテラ出身のDFフランシスコ・パボンがサラゴサに移籍したことで、フロレンティーノ・ペレス政権時代を象徴する“ジダネスとパボネス”のサイクルに終わりを告げた。

 ペレス元会長は、会長就任後に「毎年一人は名実ともに世界に通用するスター選手を獲得する」と宣言。2000年には会長選で公約していたルイス・フィーゴを皮切りに、2001年にはジネディーヌ・ジダン、2002年にはロナウド、2003年にはデイビッド・ベッカム、2004年にはマイケル・オーウェン、と巨額を投じフットボール界のスーパースターを立て続けに獲得し、これらスター選手らとカンテラ出身の生え抜き選手を組み合わせ“ジダネス(スター選手)とパボネス(カンテラ出身の若手選手)”の融合を図った。パボンの名前はカンテラ出身の選手達の象徴として使われていた“パボネス”の一部になっていた。

 世界市場でのマーケティング戦略という意義も強かったペレス元会長のこの戦略は、ビジネス面では成功を収めたものの、2002-03シーズンのリーガ優勝を最後にタイトルから遠ざかり、フットボールの結果という面では周囲の期待に応えられなくなり、2006年にペレス元会長は辞任ている。

 2006年にラモン・カルデロン会長が就任して一年が経った今、ペレス政権の名残を見せるものはなくなった。ジダンは昨夏に現役を引退し、トーマス・グラベセンはセルティックに、パブロ・ガルシアはセルタにレンタル移籍。ロナウドはカペッロ前監督との確執から昨シーズンの途中にミランに移籍し、シーズン終了後にはベッカムもレアル・マドリーを後にした。

 フィーゴ、オーウェン、ジダン、ロナウド、ベッカムが次々とレアル・マドリーを去り、“ジダネスとパボネス”を象徴する選手で残っているのはパボンだけとなった。しかし、ここ数年は出場機会を失い、ベンチを暖めていたパボンも出場機会を求めレアル・マドリーに別れを告げることを決意。これで、“ジダネスとパボネス”を象徴する選手が全てレアル・マドリーから姿を消すこととなり、ペレス政権の色が一掃された形となる。“ジダネスとパボネス”は過去の一部となり、“ペペスとグラネロス”に時代は変わっていくのかもしれない。

(スペイン通信)