宮本笑里(撮影:野原誠治)
 今年5月に世界初となる携帯電話向けにシングル「passion cachee〜秘めた思い〜」をビデオクリップ配信してデビューを果たした、新鋭ヴァイオリニストの宮本笑里。のだめオーケストラや「live image」への参加、サッポロビール「ヱビス<ザ・ホップ>」のテレビCMでは、実父であり元世界的オーボエ奏者の宮本文昭と親子共演するなど注目を集めている。今月18日にファーストアルバム「smile」の発表を控えた彼女は、華麗な演奏姿とは打って変わって、とても穏やかな口調でゆっくりと想いを語った。

――7歳の時にヴァイオリンを始めたそうですが、その後、本格的にヴァイオリンの道を目指そうと思ったのはいつ頃ですか?

宮本笑里(以降、宮本):小学校高学年までは本格的にバリバリやっていた方ではなかったんですけど、中学校に入って父から、「そろそろ真面目に目指すか、趣味程度だったら今やめるか、決断しなさい」という話があった時に、自分からヴァイオリンを取り上げてしまうと、私には本当に何もなくなってしまって、とても寂しいなぁ、と思って、そして本当にヴァイオリンが大好きだったので、真剣にプロを目指す!という決断をしました。

――具体的に目標としていた演奏者はいましたか?

宮本:マキシム・ヴェンゲーロフさんというヴァイオリニストが好きで。あと中学校の時にとても好きだったのが、クリスチャン・フェラスという方の、シベリウスのヴァイオリン・コンチェルトを弾いたCDを聴いたんですけれども。本当にとても音が輝いていて、美しくて、自分もいつかこんな綺麗な音が出せたらいいなぁ〜と思って。いつも自分で弾きながら、どうやったらその音が出せるようになるか研究しています。

――ドラマから結成された「のだめオーケストラ」に参加されていましたが、その影響で、今まで普段クラシックに触れていなかった人にも、身の周りで耳にする機会が増えて、ある種のブームになっていたと感じていますが、実際にクラシックの世界に身を置かれている方として、周囲の状況をどの様に感じていたのでしょうか?

宮本:今までも、そして今も、あまりクラシックを聴かないで「堅いから嫌だ」という人は本当に多いと思うんですけど、そういう人達でもあのドラマを切っ掛けに、ちょこっとCDを聴いたり、曲の題名も覚えて下さったり。お店に行っても、楽器を持っていると結構話し掛けてくれたりして、のだめの曲でメインに出ていた「ベト7」(ベートーヴェン交響曲第7番)話で盛り上がったりして(笑)。今まではそういうことがなかったので、興味を持ってくれるようになったと感じる機会が増えたのが嬉しいなと思いますね。

――最初に紹介させて頂いたのが、イタリアへ音楽修行に行かれた時のテレビ番組が切っ掛けで、その後サッポロビール「ヱビス<ザ・ホップ>」のテレビCMにも出演されましたが、テレビを通して自分を見て、どんな気分でしたか?

宮本:最初、自分をテレビで見た時に、「出ちゃったな」とちょっと興奮して(笑)。でも、あのCMって、あっという間に終わってしまうので、「またすぐに流れないかなぁ?」と思ったりもしたんですけど。撮影はサイパンに行ったんですけど、「懐かしいなぁ、あそこは良かったなぁ」って、その時の風景が思い浮かびますね。イタリアに行ったのも楽器の修行というのがテーマだったので、日本で楽器屋さんに遊びに行くと、私が教えて頂いた師匠のモラッシィさんという方のお話で盛り上がったり。私は今まで普通に楽器を弾いてきたけれど、新調したネックの部分とか色々、ヴァイオリンのすごく細かい部分を意識して感じるようになって、深く考えるようになりましたね。

――元々、工作というか、何か物を作ったりするは得意な方ですか?

宮本:いや(笑)、本当に危なっかしいので。いつ自分の手を切っちゃうんじゃないかと、楽器を弾いているとそれが怖いんです。でも、いざやってみると結構ハマって、気持ち良かったです。

――今年4月から5月に掛けて、「live image」の全国ツアーに参加されてましたが、今までツアーの経験はあったのですか?

宮本:初めての経験で。2ヶ月間の長いツアーで、ほとんどお休みも無い状態で色々な所に行ったりしたので、最初は体調管理が大変で。しかも団体行動だったので、迷子にならないように着いて行くのが大変だったんですけど、本当に楽しいツアーでした。

――ヴァイオリン以外にも、色んな楽器を演奏される方や、笑里さんより先輩の演奏者の方ばかりだったと思いますが、勉強になったことはありましたか?

宮本:PAを使ったり、イヤホンでクリックを常に聴きながらとか、今までしたことが無かったので、最初はどこに集中していいのかが分からなくて、ちょっと苦労したんですけれども。皆さん先輩で、一から教えて下さるすごく優しい方ばかりだったので、自然と段々に馴染んで。

――団体行動は割と苦手な方ですか?

宮本:一人でボケっとすることが多いので、みんながどこかに行っちゃったりして、気が付くと一人になっていることがよくありました…。

――客観的に自分を分析してみて、どういうタイプの人間だと思いますか?

宮本:本当にマイペースというか。人に比べると結構、回転が遅い方みたいなので。ゆったりめが好きというか(笑)。

――周りの同世代の女性と比較すると、落ち着いていて、おっとりした空気を身にまとってますね。

宮本:すみません、キャピキャピはしてないんですよ(笑)。

――あまりそういうノリは得意ではない?

宮本:自分のペースでいかないと疲れてしまうので(笑)。