7月12日、今日はなんの日?フィルムの父、イーストマン誕生
2007年07月12日04時28分 / 提供:PJ
1854年7月12日、アメリカのニューヨーク州のウォータービルで、ジョージ・イーストマンが誕生した。イーストマンと言ってもおなじみでないかも知れないが、「イーストマン・コダック」と言えば、多くの人がご存じであろう。「コダック」は、イーストマンが「K」という音が好きで、それを含む単語をいろいろと考えた末の造語とのことだ。
今や、写真の主流はデジタルとなり、フィルムというアナログは失われる寸前にあると言ってよい程だ。1880年に、イーストマンが発明した「乾板フィルム」は画期的な発明であった。それまでの「銀板」方式を完全に席巻してしまった。その意味では、デジタルによるフィルムの消長は、歴史の繰り返しでしかないのかも知れない。
長年、印刷という媒体にかかわって来た記者にとっても、写真・フィルムの存在が印刷の工程から無くなってしまったことに一抹の寂しさを感じるものである。
現在、印刷の主流になっているオフセット印刷には、写真技術が大きく関係していたのだ。つまりは、版下・製版の工程である。文字の組み版には、鉛でできた活字の組み版と、写真植字(写植)による組み版と2種類あった。この文字をデザインに従って版下呼ぶ印刷原版作成用の原寸を作成して、それを写真にとって製版用のフィルムを作成し、刷版に焼付、印刷をしたのだ。
現像・焼付・定着という写真的工程が、何度もあった。製版用の超大型カメラ(人間がカメラの中で作業をする)も存在した。今やその工程すべてが、デジタル化となり、最終的に刷版用のフィルムが出力されるのみである。イノベーションとは、素晴らしいものである。新聞・雑誌どれを見ても、オフセット印刷のものしかない時代である。きれいなのではあるが、紙に残る印刷のプレスの凹凸感がないのは、何か軽いものになってしまった。
それはともかく、保存性という面での問題を提起しておきたい。銀板ガラス乾板にしてもフィルムにしても、その保存性は非常に高い。100年以上の寿命を持つのだ。デジタルはその登場からまだ50年位の時間で、その保存性については分かっていないのが現実である。とともに、可読性の問題もあるのだ。記録媒体があってもそれを読めるハードが無くなる可能性がある。レコード、ビデオのベータ、レーザーディスクなどその実例を挙げることは簡単である。フロッピーディスクでさえも、もう読むことが難しくなりつつある。
イノベーションで失われてしまうもの、それは「しょうがない」のかも知れない。しかし、その保存性が確立していない媒体に、すべてのデータを依存するということは、問題があるような気がして堪(たま)らない。年金記録の問題でも発生したのは、紙の記録(台帳)の廃棄である。酸性紙の永久保存は不可能であるが、紙の場合は廃棄・散逸・焼却しない限りは長年の保存は可能である。
一方、電磁媒体の保存は、長くて20年であろう。そこで消滅したりしていたら一体どうするのであろうか?デジタルの失われた記録は、二度と戻ってこない。時がたってまた同じ問題の繰り返しをするのであろうか?年金カードを導入すれば、すべてそれが解消されるということではあるまい。
今の便利さのみを考えれば、たしかにデジタルは、非常に有為なものである。しかし、時間の経過を考えにいれると脆弱(ぜいじゃく)で安定していないのが現実である。イーストマンが発明した乾式フィルムが、ガラス乾板を凌駕したこととは、根本的に異なるのである。
アナログに戻せと言う極論をしようとは思わないが、このような現実をきちんと判断した上で、記録メディアの選択には細心の注意をはらって対応して頂きたい。と、私は考える。電気というエネルギー自体も変わる可能性もあるであろう。もし、そうなったら……の発想も必要ではないだろうか?ちなみに、イーストマンは1932年、78歳でまったく原因も動機も不明の自殺をしている。フィルムの未来が彼には見えたのであろうか。【了】
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今や、写真の主流はデジタルとなり、フィルムというアナログは失われる寸前にあると言ってよい程だ。1880年に、イーストマンが発明した「乾板フィルム」は画期的な発明であった。それまでの「銀板」方式を完全に席巻してしまった。その意味では、デジタルによるフィルムの消長は、歴史の繰り返しでしかないのかも知れない。
長年、印刷という媒体にかかわって来た記者にとっても、写真・フィルムの存在が印刷の工程から無くなってしまったことに一抹の寂しさを感じるものである。
現在、印刷の主流になっているオフセット印刷には、写真技術が大きく関係していたのだ。つまりは、版下・製版の工程である。文字の組み版には、鉛でできた活字の組み版と、写真植字(写植)による組み版と2種類あった。この文字をデザインに従って版下呼ぶ印刷原版作成用の原寸を作成して、それを写真にとって製版用のフィルムを作成し、刷版に焼付、印刷をしたのだ。
現像・焼付・定着という写真的工程が、何度もあった。製版用の超大型カメラ(人間がカメラの中で作業をする)も存在した。今やその工程すべてが、デジタル化となり、最終的に刷版用のフィルムが出力されるのみである。イノベーションとは、素晴らしいものである。新聞・雑誌どれを見ても、オフセット印刷のものしかない時代である。きれいなのではあるが、紙に残る印刷のプレスの凹凸感がないのは、何か軽いものになってしまった。
それはともかく、保存性という面での問題を提起しておきたい。銀板ガラス乾板にしてもフィルムにしても、その保存性は非常に高い。100年以上の寿命を持つのだ。デジタルはその登場からまだ50年位の時間で、その保存性については分かっていないのが現実である。とともに、可読性の問題もあるのだ。記録媒体があってもそれを読めるハードが無くなる可能性がある。レコード、ビデオのベータ、レーザーディスクなどその実例を挙げることは簡単である。フロッピーディスクでさえも、もう読むことが難しくなりつつある。
イノベーションで失われてしまうもの、それは「しょうがない」のかも知れない。しかし、その保存性が確立していない媒体に、すべてのデータを依存するということは、問題があるような気がして堪(たま)らない。年金記録の問題でも発生したのは、紙の記録(台帳)の廃棄である。酸性紙の永久保存は不可能であるが、紙の場合は廃棄・散逸・焼却しない限りは長年の保存は可能である。
一方、電磁媒体の保存は、長くて20年であろう。そこで消滅したりしていたら一体どうするのであろうか?デジタルの失われた記録は、二度と戻ってこない。時がたってまた同じ問題の繰り返しをするのであろうか?年金カードを導入すれば、すべてそれが解消されるということではあるまい。
今の便利さのみを考えれば、たしかにデジタルは、非常に有為なものである。しかし、時間の経過を考えにいれると脆弱(ぜいじゃく)で安定していないのが現実である。イーストマンが発明した乾式フィルムが、ガラス乾板を凌駕したこととは、根本的に異なるのである。
アナログに戻せと言う極論をしようとは思わないが、このような現実をきちんと判断した上で、記録メディアの選択には細心の注意をはらって対応して頂きたい。と、私は考える。電気というエネルギー自体も変わる可能性もあるであろう。もし、そうなったら……の発想も必要ではないだろうか?ちなみに、イーストマンは1932年、78歳でまったく原因も動機も不明の自殺をしている。フィルムの未来が彼には見えたのであろうか。【了】
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 鈴木 修司
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