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7月9日、今日はなんの日?人権問題に見る明治の気概。マリア・ルス号事件
2007年07月09日03時04分 / 提供:PJ
【PJ 2007年07月09日】−
1872(明治5)年7月9日(旧暦6月4日)に発生した事件である。「資料近代日本史」(昭和9年1月20日発行)の明治5年の項に、「マリアルイズ号奴隷解放事件」として以下の記述がある。
「秘魯(ペルー)国の帆船マリアルイズ号清国瑪港より支那人奴隷230人を強買し来り、7月朔日横浜に寄港した。この時奴隷の一人、船主の虐遇に堪えず窃に逃れて救を我が政府に求めた。時の外務卿副島種臣その奴隷を解放し該船を抑留し、遂に日秘両国間の問題となり、露国皇帝アレキサンドル二世の仲裁裁判を仰ぎ明治8年6月14日に至り我が勝利に帰した人道上の事件である」現在では、ほとんど忘れ去られた事件である。
この事件は、帆柱を破損したペルーの帆船「マリア・ルス(ルイズ)号」が、横浜港に入港してその修理に当たって居る時に、その積み荷扱いであった清の苦力の一人が逃げ出し、最初はイギリス軍艦に救助を求めたものである。神奈川県権令の大江卓が、奴隷売買事件として裁判、苦力の釈放、本国送還を決定した。1875年、不服のペルー政府はロシア皇帝に仲裁裁判を依頼したが、日本の主張が通った。日本が当事者となった初の国際裁判である。この事件を機に、日本の芸妓・娼妓売買が問題化し、明治5年10月2日(旧暦)に太政官布告により解放令が出された。こののちは、公娼廃止への廃娼運動へ発展していく。(角川版日本史辞典を参考とした)
人権問題が強く言われているいまでも、「日本は人身売買の最大の受け入れ国」と2005年に人権擁護NGOアムネスティ・インターナショナルのアイリーン・カーン事務総長は指摘していた。2年が経過している現在でもその状態は大きく変化しているものではない。「人身売買とは、人格を無視して、人間を商品同様に売り買いすること」と辞書(明鏡国語辞典)は定義している。人格を無視するとは、誘拐や拉致のみでなく、観光ヴィザでの入国という個人の意思の存在も含めることになるのであろう。現在の日本に於いての東南アジア・南アメリカなどからの不法滞在者は想像もつかない数なのである。
明治初年の日本人の気概はどこへ行ってしまったのだろうか?明治の初め、日本人は自信と勇気をもって、奴隷的労働は、悪いとしたのである。しかし、公娼廃止の問題は、満州事変を境に廃娼運動自体が困難となっていく。その全廃されたのは、敗戦後の1958(昭和33)年であった。慰安婦の問題でも、この日本の公娼の存在があり、あくまでも任意であり、強制はなかったという論議がされている。このような歴史的廃娼運動があったことを理解した上でのことなのだろうか。また、その運動も、満州事変を境に困難になっていった現実の裏に、何があるのかを考慮したのであろうか。慰安婦問題については、何か都合の良い部分のみで語られているような気がしてたまらない。
拉致問題も当然、人権問題である。その解決は必要なことである。しかし、日本国内での人権問題も多く発生していることも事実である。先日の脱北者に対する対応は迅速であったが、それと同様な難民問題や不法就労・不法滞在の問題などは、まだまだ解決されていないことの方が多い。日本は、多くの意味からも「人権後進国」であることを、しっかり認識する必要がある。
日本が、国家として広く世界に認められる国になるためには、国家としての誇りを持って、過去は謝罪し、未来への扉を大きく開かなくてはならない。公娼が完全廃止されるまで、明治5年の解放令から約86年近くかかったことからすると、まだまだむつかしいのかも知れない。しかし、21世紀は情報とスピードの時代である。人権問題を自分自身の問題として取り組む心を、日本国民が養う必要がある。心の「美しさ」は日本人としてだけでなく人間として感じるものでなくてはならないと、私は考える。【了】
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 鈴木 修司【 愛知県 】
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「秘魯(ペルー)国の帆船マリアルイズ号清国瑪港より支那人奴隷230人を強買し来り、7月朔日横浜に寄港した。この時奴隷の一人、船主の虐遇に堪えず窃に逃れて救を我が政府に求めた。時の外務卿副島種臣その奴隷を解放し該船を抑留し、遂に日秘両国間の問題となり、露国皇帝アレキサンドル二世の仲裁裁判を仰ぎ明治8年6月14日に至り我が勝利に帰した人道上の事件である」現在では、ほとんど忘れ去られた事件である。
この事件は、帆柱を破損したペルーの帆船「マリア・ルス(ルイズ)号」が、横浜港に入港してその修理に当たって居る時に、その積み荷扱いであった清の苦力の一人が逃げ出し、最初はイギリス軍艦に救助を求めたものである。神奈川県権令の大江卓が、奴隷売買事件として裁判、苦力の釈放、本国送還を決定した。1875年、不服のペルー政府はロシア皇帝に仲裁裁判を依頼したが、日本の主張が通った。日本が当事者となった初の国際裁判である。この事件を機に、日本の芸妓・娼妓売買が問題化し、明治5年10月2日(旧暦)に太政官布告により解放令が出された。こののちは、公娼廃止への廃娼運動へ発展していく。(角川版日本史辞典を参考とした)
人権問題が強く言われているいまでも、「日本は人身売買の最大の受け入れ国」と2005年に人権擁護NGOアムネスティ・インターナショナルのアイリーン・カーン事務総長は指摘していた。2年が経過している現在でもその状態は大きく変化しているものではない。「人身売買とは、人格を無視して、人間を商品同様に売り買いすること」と辞書(明鏡国語辞典)は定義している。人格を無視するとは、誘拐や拉致のみでなく、観光ヴィザでの入国という個人の意思の存在も含めることになるのであろう。現在の日本に於いての東南アジア・南アメリカなどからの不法滞在者は想像もつかない数なのである。
明治初年の日本人の気概はどこへ行ってしまったのだろうか?明治の初め、日本人は自信と勇気をもって、奴隷的労働は、悪いとしたのである。しかし、公娼廃止の問題は、満州事変を境に廃娼運動自体が困難となっていく。その全廃されたのは、敗戦後の1958(昭和33)年であった。慰安婦の問題でも、この日本の公娼の存在があり、あくまでも任意であり、強制はなかったという論議がされている。このような歴史的廃娼運動があったことを理解した上でのことなのだろうか。また、その運動も、満州事変を境に困難になっていった現実の裏に、何があるのかを考慮したのであろうか。慰安婦問題については、何か都合の良い部分のみで語られているような気がしてたまらない。
拉致問題も当然、人権問題である。その解決は必要なことである。しかし、日本国内での人権問題も多く発生していることも事実である。先日の脱北者に対する対応は迅速であったが、それと同様な難民問題や不法就労・不法滞在の問題などは、まだまだ解決されていないことの方が多い。日本は、多くの意味からも「人権後進国」であることを、しっかり認識する必要がある。
日本が、国家として広く世界に認められる国になるためには、国家としての誇りを持って、過去は謝罪し、未来への扉を大きく開かなくてはならない。公娼が完全廃止されるまで、明治5年の解放令から約86年近くかかったことからすると、まだまだむつかしいのかも知れない。しかし、21世紀は情報とスピードの時代である。人権問題を自分自身の問題として取り組む心を、日本国民が養う必要がある。心の「美しさ」は日本人としてだけでなく人間として感じるものでなくてはならないと、私は考える。【了】
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