構造設計150人の主張「耐震偽装は他人事ではない」
コスト削減や納期短縮はエンジニアの宿命

日本を大きく揺さぶった耐震偽装問題。耐震強度偽装マンションの発覚後、国会での証人喚問、再検査による偽装物件の増加、住民訴訟、建築法の改正へと、収束にはまだまだ時間がかかりそうだ。ただ、傍観者にはなってほしくない。なぜならこれは、「エンジニア全体の問題」だからだ。

■序論 耐震偽装の諸問題とエンジニアとの関係

新聞、雑誌、テレビなどの各媒体で詳細が伝えられているため、ここで改めて内容は説明しない。ただ、エンジニアの視点から整理をしてみたい。偽装をしたのはエンジニアであり、偽装までの経緯がほかの技術職と非常に似通っているからだ

構造設計はエンジニアの一職種である

この問題の根幹にあるのは、一級建築士による耐震強度の偽装だ。建築士と聞くとインテリジェントビルや独創的な住宅を設計するデザイナーを想像しがちだが、彼らは「意匠設計者」である。偽装をしたのは「構造設計者」であり、意匠設計者の設計が耐震時の強度など審査基準を満たせるように、細かな計算を行って柱の数や鉄筋の量などを決めていく。大別すれば、意匠設計者はアーキテクトであり、構造設計者はエンジニアと呼べる。
ただ、構造設計者はデザイン性より計算力が問われる地味な存在であり、実はなり手が少ない。全国約30万人の一級建築士の中で、構造設計を行うエンジニアは約9000人しかいないという調査もあるほどだ。そのためか、構造設計者には多忙な人が多い。そして、昨今の住宅ブームから、経費削減を命じられることもしばしばである。今回の事件でも、設計発注者のコスト削減命令が、設計偽装の大きな原因と報じられている。

コスト削減と納期短縮は一般的なエンジニアの共通項

そう、構造設計者の現状は、ほかの技術職とかなり近い。納期に追われて残業や休日出勤を余儀なくされ、コストダウンや経費削減が業務目標にすらなっている。納期やコストを全く意識した経験のないエンジニアなどいないだろう。マンションの耐震強度偽装は特殊な事例かもしれないが、その背景には「だれもが思い当たる技術者の日常業務」がある。
この記事では、「人命にかかわる建築物・構造物」が対象の「設計・施工関係」の技術職147人にアンケート調査を行った。構造設計の対象も中層(5階建て以下)や高層(6階建て以上)のマンション、オフィスビルばかりではない。商業施設もあれば、ダムや高速道路といった大型建造物、機械や化学のプラントまで幅広い。回答者の職種も構造設計がいちばん多いが、技術開発や施工管理などを含めた。
現場のエンジニアの声を聞いて、あなたの仕事と照らし合わせてみてほしい。


■Part1 発注側からの「過度のプレッシャー」を感じたことはありますか?

アンケートの対象者は、全国の構造設計、技術開発、施工管理職。年齢は24〜58歳と広範囲に分布した。まず聞いたのは、「日常業務における過度のプレッシャー」だ。半数以上が「ない」と回答する一方で、いくつもの悩みを抱えるエンジニアも多かった。

発注側の無理な要求「納期・工期を短縮せよ」

パソコンによる構造計算が普及した今日、構造計算の作業や照査に時間を要することがわからない発注者、社内外の上役が多くなり、計算成果を仕上げる速度をせかされることがよくあります。業務別に必要な構造計算に要する時間を訴えますが、8割以上はその指示に従っている状況です。
構造設計(土木)[35歳:男性] 主な対象:港湾施設(岸壁・防波堤等) 年収:400万円台

設計の工期は決まっていたが、意匠設計の変更などで時間がかかり、構造計算を始められたのが納期の1週間前。工期に間に合わせるため、毎晩徹夜に近い状態で仕上げた。
構造設計(建築)[33歳:男性] 主な対象:中層マンション、小型商業施設 年収:400万円台

構造の知識のない人間に設計方法を指示されたり、夜の10時に明日の朝まで設計しろと命じられます。内容よりもとにかくコスト削減をうるさく言われます。無理な設計はしませんが、間に合うようにはしょる部分ははしょって、図面も少しいい加減な設計になったことがあります。ただ、やはり気になったので、提出後に設計も図面を修正して差し替えてもらいました。
構造設計(建築)[41歳:女性] 主な対象:中層・高層オフィスビル 年収:400万円台


発注側の無理な要求「とにかくコストを削れ」

ぎりぎりの予算で構造計算の結果を出した後で、さらに30%のコストダウンを指示された。
構造設計(土木)[34歳:男性] 主な対象:高速道路 年収:500万円台

設以前に補強工事と、建築の改修工事を経験しましたが、見た目をごまかせばいいという元請けが意外と多く、金額優先の工事が多いのは事実です。特に補強の場合、安全策を提案しても予算の関係で最低限か、あるいはそれ以下の補強で頼むという提案もありました。
施工管理(土木)[42歳:男性] 主な対象:トンネル、橋梁、高速道路 年収:500万円台

建築構造に関する模型実験において、きわめて小額の予算で、多くの試験数を要求されたことがある。普段は試験体の作成を業者に発注するが、そのときは自分で製作し、不完全な試験体で実験を行ってしまった。
技術開発(建築)[45歳:男性] 主な対象:高層オフィスビル、大型商業施設 年収:700万円台


ほかにもある!発注側の無理な要求

「こちらの言うとおりにしないと設計事務所を変える」と言われた。
施工管理(建築)[31歳:男性] 主な対象:機械・化学プラント 年収:400万円台

以一般的には「不良材」と判断されている材料(柱)での建設要求。
構造設計(建築)[31歳:女性] 主な対象:木造一戸建て、アパート 年収:400万円台

ボーリング調査結果の値を変えてほしいなど、データの改ざんを要求されたことがある。また、試験結果の値が思わしくなかったので、試験をしなかったことにしてほしいなど。
地質調査[33歳:男性] 主な対象:トンネル、橋梁、高速道路 年収:400万円台


■Part2 設計を「構造計算ソフト」で行うことの弊害は何ですが?

以前の構造設計はすべて手計算だった。それが計算の複雑化とITの発達により、PCで仮想的に建物の耐震強度を検証する構造計算ソフトが普及した。しかし、何種類もあるソフトごとに適正数値が若干異なる、設計者の考え方で係数に差が出るなど、その弊害を問題視する声も多い。設計者の偽装を容易にし、検査機関が偽装を見破れなかった原因とも言われる。
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