今やネットカフェ難民は大きな社会問題に。

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今年に入ってから"ネットカフェ難民"という言葉をよく耳にするようになりました。
住む家や定職を持たず、日雇い派遣などで生計を立て、24時間営業のネットカフェを寝ぐらとする人たちのことを指し、現代社会が生み出した"ひずみ"を象徴する言葉です。

ネットカフェ難民問題は、日本社会の雇用問題にも大きく関わる事柄で、誰もが他人事と笑ってすませられるものではありません。いつ、自分の身に降りかかるか分からないのです。

今回は、そんなネットカフェ難民の実態や、今まさに問題になっている、彼らを追いつめる"日雇い派遣労働"のおかしな仕組みを見ていきましょう。

■ネットカフェ難民とは?

家賃の滞納や、家庭の事情などで住む家を失い、24時間営業のネットカフェやマンガ喫茶で夜を過ごし、日雇い派遣労働などで収入を維持している人たちのことを「ネットカフェ難民」と呼んでいます。ネットカフェ難民という言葉自体はマスコミがつくった造語で、彼らが働く意思を持っていることから"ホームレス"という言葉と区別して使われています。

■ネットカフェ難民が生み出される"土壌"

ネットカフェ難民が生まれた背景は、さまざまな事情が複雑にからみあっていますが、大きな原因の一つに、コスト削減に迫られた企業が正社員から派遣労働者の雇用を増やしたことや、フリーターの増加があげられます。

また、以前なら、"住む家をなくすこと=ホームレス"につながりましたが、ネットカフェ・ビジネスが広まり、1時間あたり数百円という低価格な料金、シャワールームの完備、長時間利用者への格安パックなど、顧客獲得を狙ったサービス合戦も、"難民化"する敷居を下げた一因といえるでしょう。

■"難民化"を進める日雇い派遣システム

彼らは派遣会社に登録し、おもに日雇い労働で収入を得ています。2004年3月から施行された「改正労働者派遣法」により、物を組み立てたり、鋳造・加工などの製造業務への派遣が解禁となり、肉体労働につく人も多くなっています。

日雇い派遣では、仕事が毎日あるか分からない不安定な生活を強いられる上、賃金も日払いゆえにまとまったお金を持つことが難しく、一旦その暮らしに陥ると、容易に抜け出すことができません。また、住所が不定のため、銀行口座を新しく開設することやクレジットカードを発行することもできず、ゆっくりと社会的な信用が失われていく恐れがあります。

■クビを切られやすい"偽装請負"

2004年の法改正の影響を受け、持ち上がったのが"偽装請負"問題です。

偽装請負とは、実際には派遣先に労働者を常駐させる"人材派遣"の状態でありながら、契約上は"業務請負"を装い、労働派遣法に基づいた「派遣先企業が負うはずの責任や義務」から逃れるものです。

偽装請負では、安全管理や社会保険契約に関する責任の所在があいまいな上、簡単に解雇できることから、企業による一方的なリストラ対象となる恐れがあるため、問題になっています。

■さらに弱者を追いつめる"賃金ピンハネ疑惑"

もう一つ、ネットカフェ難民を加速させかねないのが、大手の人材派遣会社で横行する"賃金ピンハネ疑惑問題"です。

マージンを差し引いた後の派遣労働者の賃金からさらに、「データ装備費」「業務管理費」「安全管理費」などの名目で、1回の派遣につき200〜300円の不透明な天引きが行われ、これが"労働基準法違反"に当たると指摘されました。

高まる批判を受け、大手人材派遣の「フルキャスト」が今年3月に、またグッドウィル・グループが運営する「グッドウィル」も今年5月にようやく徴収を停止し、天引き分を返還する方針を明らかにしました。

派遣法違反の"賃金ピンハネ"は、ネットカフェ難民や、どれだけ働いても貧困から脱出できない"ワーキングプア"の原因の一つとして注目を集めています。ネットカフェ難民は、不況に悩む日本経済の"雇用実態"を映し出す鏡といえるでしょう。


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