ミランの英雄ボバンはシェバの復帰はあると語る<br>【photo by B.O.S.】

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 【前編の続き】FWシェフチェンコ(チェルシー)のミラン復帰が取り沙汰されているが、ミランを取り巻く人びとには、1年前の移籍経緯から感情のしこりが残っている。プレイヤーとしての価値は疑うまでもないが、再加入へ難色を示す向きも多い。かつての天才MFボバンが現代サッカー移籍事情におけるシェフチェンコのケースを語った。

「これはどうしても主観的な問題だ。現代の移籍はビジネス的側面が強く、不毛かつ殺伐としている。(ミランの)ベルルスコーニ会長は彼の復帰にやぶさかでないようだが、彼はシェフチェンコのことを溺愛しているし、何よりロマンチストだから復帰を望んでもおかしくはない」

 1年前の移籍会見でシェフチェンコは「これからは英語の時代。イタリアにいては息子に満足な英語教育ができないから」と言い放った。真意ではなかったかもしれないが、それはイタリア語を操る人びとのプライドを大きく傷つけた。後足で砂をかけるように出ていったシェフチェンコが、今さらおめおめとミラノへ帰ったところで、サポーターの支持を得られるはずがない。

「サポーター感情としても複雑だろう。出戻り選手として、彼らから多大なプレッシャーを受けるのは間違いない。感情的すぎるかもしれないが、私自身としてはサッカーにこういったロマンチズム、人間的側面があるのは好ましいことだと思っているし、そうであるべきだ。
 私は、シェフチェンコはミランに戻ってくるべきではないと思う。(キャリアの頂点にあって)かつての古巣に戻ることはもはや選手にとって有意義なことではないし、ミランにとってもいい結果は生まない。“温め直したスープ”は美味しいはずがないんだよ」

 チェルシー移籍には、サッカーや家庭の事情以外に、シェフチェンコ自身のもっと大きな個人的人生プランが関係していたのではないかと、筆者は個人的に推測している。だがそれは彼の引退後にしか真偽はわからない。はっきりと言えるのは、ミランに在籍した7年間で171ゴールを挙げ、栄光のすべてを勝ち取ったウクライナ人が、1年前に何か大事なものを失ったということだ。

弓削高志