俺たちの歌を歌おう、揺ぎ無き誇りのために=松本山雅FCの疾走
2007年06月26日10時05分 / 提供:PJ
6月24日、サッカー北信越リーグ第11節が各地で行われ、長野県松本市からJリーグ昇格を目指す松本山雅FCは松任総合運動公園陸上競技場(石川県)にてフェルヴォローザ石川・白山FC(以下、石川)と対戦し、1-4で敗北を喫し、優勝争いから大きく後退した。
弾丸バスツアーの参加者や自家用車で遠征するサポーターが松本を出発したのは、まだ薄暗い午前5時だった。現地に直接移動するメンバーも含め、試合会場の松任総合運動公園陸上競技場に集ったのは、50名を超えていた。松任市内に入った頃から雨脚は強くなり、屋根の無い会場で松本サポーターは雨に打たれながらの応援となった。
この日の対戦相手の石川とは第2節で対戦している。Jリーグ昇格を目指し、今年積極的な強化策を採ったクラブであることは説明した。しかし、その積極策が仇となり、つい先日経営危機が大きく報道された。人件費、実に月600万円。地域リーグでは破格といっていい金額である。既に5敗を喫しており、優勝戦線からは離脱しているが、負けられない思いであるのは間違いない。もとより戦力面では充実しており、油断など出来ない相手である。
システムは変わらず、4-2-3-1。しかし、中盤のダイナモ、MF斉藤智閣が警告累積のため出場停止。そのためボランチにMF高沢尚利を起用。一方の石川は主力選手のFW阿部祐大朗が怪我のため、ベンチにも入らず。外国籍の2選手もスタメンから外れるなど駒を欠いている。
しかしバランスが整っていたのは石川だった。序盤から右サイドからのクロスにFW藤田がヘディングでゴールを脅かすと、前半12分にはMF東山のゴール前からのFKが直接ゴールに吸い込まれる。思わぬ先制点に石川サポーターの意気も上がる。
松本も直ぐに追いつく。ゴール前に切り込んだMF竹内優がエリア内で倒され、PKのチャンス。MF土橋宏由樹の蹴ったキックは、石川GK水上の好セーブに阻まれるが、直後のCKを活かし、竹内がヘッドで押し込む。これで同点。
ようやく落ち着く事が出来るかと思った矢先に再び失点。またもFKからのセットプレー崩れの中、MF打田に蹴り込まれ、勝ち越される。失点の形が良くない。
試合中に付けていたメモにはこうある。「ボール繋がらず、石川ペースで進む」、「(石川が)サイドを大胆に抉り、FWが果敢にチャレンジ」、「チャンスらしいチャンスも作れず」。
要するに、そういう前半だった。DF金沢慶一が超ロングシュートを放つなど、状況の打開を試みるも、中盤でボールが持てず、パスも繋がらない。
1点ビハインドで迎えた後半は更に試練が待っていた。辛島啓珠監督は頭からFW白尾秀人を投入し、2トップにして建て直しを図るも、開始早々の7分にはMF渡邉をゴール前で自由にさせ、追加点を上げられると、18分には右サイドからのクロスをFW河田に決められる。1-4で既に大勢は決してしまった。
松本もただ手を拱いていたわけではない。直後、竹内に替え、新加入のMF尾林陽介を投入。土橋を前に上げて、より攻撃的にシフト。サイドから攻め立てるが、クロスは悉くGK水上の手に収まり、あと数センチというシュートも石川DFに掬い出されるなど、とことんゴールに嫌われる。
そして問題のシーンである。後半30分、持ち込んだ土橋がエリア内で倒され、本日2度目のPKチャンス。これを土橋が確実に決めるのだが……。何やら様子がおかしい。
どうやら、エリア内に松本の選手が入っていたと石川の選手が主審に抗議したようだ。詰め寄られた主審は線審と相談を始める。
松本サポーターは「早くしろ! 早くしろ!」とコール、石川の濱吉正則監督は「おかしいよ、ゴールキックだろ!」と主審にアピールする。
ただならぬ雰囲気の中、PKの蹴り直しとなる。本日3回目の土橋のキックをGK水上が好セーブで止めるが、再び主審がゲームを止める。この不明瞭なジャッジに場内は騒然となった。罵声が飛び交い、時間は浪費される。濱吉監督も「マッチ(コミッショナー)出てこないと収まらないよ!」と声を上げる。結果、ドロップボールからのリスタートとなるが、これもゴールに繋げる事が出来ない。
後は、石川も守備固めと時間稼ぎを意図した余裕の選手交代。5分のロスタイムもあえなく過ぎ、1-4での完敗を喫した。
MOMを選ぶならば、間違いなく石川のGK水上だろう。好セーブとPK阻止は間違いなく勝因の一つである。一方で幾つかの決定機を松本は外している。技術的な問題というより、運に見放されたのでは、と思いたくなるほどゴールは遠かった。2試合で6失点という守備も気にかかる。
「これが実力、これがサッカー。(サポーターには)雨の中、アウェイまで来てくれたのに不甲斐ない試合で申し訳ない」(MF竹内優)
「芝がスリッピーでボールが収まらなかった。サイドからの攻撃も上手くいかなかった」(MF高沢尚利)
完敗に試合後の選手たちの足取りは重かった。しかし、「可能性はゼロじゃない」(MF竹内)のである。首位を走るJAPANサッカーカレッジとの勝ち点差は4。自力優勝の芽は潰えたが、残り3節、逆転は可能である。
今、僕等に出来ることは?
今こそ、今年のスローガンを思い出してみよう。「団結 〜Break Through〜」――この危機を跳ね返すには、皆が団結するしかないんだ。【了】
■試合情報
フェルヴォローザ石川・白山FC 4-1 松本山雅FC
得点:東山(12分)、竹内(17分)、打田(20分)、渡邉(52分)、河田(63分)
GK:三栗寛士
DF:金澤慶一、矢畑智裕、三本菅崇、吉田匡良
MF:石川航平、小澤修一→白尾秀人、竹内優→尾林陽介、高沢尚利、土橋宏由樹
FW:片山真人
■関連情報
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弾丸バスツアーの参加者や自家用車で遠征するサポーターが松本を出発したのは、まだ薄暗い午前5時だった。現地に直接移動するメンバーも含め、試合会場の松任総合運動公園陸上競技場に集ったのは、50名を超えていた。松任市内に入った頃から雨脚は強くなり、屋根の無い会場で松本サポーターは雨に打たれながらの応援となった。
この日の対戦相手の石川とは第2節で対戦している。Jリーグ昇格を目指し、今年積極的な強化策を採ったクラブであることは説明した。しかし、その積極策が仇となり、つい先日経営危機が大きく報道された。人件費、実に月600万円。地域リーグでは破格といっていい金額である。既に5敗を喫しており、優勝戦線からは離脱しているが、負けられない思いであるのは間違いない。もとより戦力面では充実しており、油断など出来ない相手である。
システムは変わらず、4-2-3-1。しかし、中盤のダイナモ、MF斉藤智閣が警告累積のため出場停止。そのためボランチにMF高沢尚利を起用。一方の石川は主力選手のFW阿部祐大朗が怪我のため、ベンチにも入らず。外国籍の2選手もスタメンから外れるなど駒を欠いている。
しかしバランスが整っていたのは石川だった。序盤から右サイドからのクロスにFW藤田がヘディングでゴールを脅かすと、前半12分にはMF東山のゴール前からのFKが直接ゴールに吸い込まれる。思わぬ先制点に石川サポーターの意気も上がる。
松本も直ぐに追いつく。ゴール前に切り込んだMF竹内優がエリア内で倒され、PKのチャンス。MF土橋宏由樹の蹴ったキックは、石川GK水上の好セーブに阻まれるが、直後のCKを活かし、竹内がヘッドで押し込む。これで同点。
ようやく落ち着く事が出来るかと思った矢先に再び失点。またもFKからのセットプレー崩れの中、MF打田に蹴り込まれ、勝ち越される。失点の形が良くない。
試合中に付けていたメモにはこうある。「ボール繋がらず、石川ペースで進む」、「(石川が)サイドを大胆に抉り、FWが果敢にチャレンジ」、「チャンスらしいチャンスも作れず」。
要するに、そういう前半だった。DF金沢慶一が超ロングシュートを放つなど、状況の打開を試みるも、中盤でボールが持てず、パスも繋がらない。
1点ビハインドで迎えた後半は更に試練が待っていた。辛島啓珠監督は頭からFW白尾秀人を投入し、2トップにして建て直しを図るも、開始早々の7分にはMF渡邉をゴール前で自由にさせ、追加点を上げられると、18分には右サイドからのクロスをFW河田に決められる。1-4で既に大勢は決してしまった。
松本もただ手を拱いていたわけではない。直後、竹内に替え、新加入のMF尾林陽介を投入。土橋を前に上げて、より攻撃的にシフト。サイドから攻め立てるが、クロスは悉くGK水上の手に収まり、あと数センチというシュートも石川DFに掬い出されるなど、とことんゴールに嫌われる。
そして問題のシーンである。後半30分、持ち込んだ土橋がエリア内で倒され、本日2度目のPKチャンス。これを土橋が確実に決めるのだが……。何やら様子がおかしい。
どうやら、エリア内に松本の選手が入っていたと石川の選手が主審に抗議したようだ。詰め寄られた主審は線審と相談を始める。
松本サポーターは「早くしろ! 早くしろ!」とコール、石川の濱吉正則監督は「おかしいよ、ゴールキックだろ!」と主審にアピールする。
ただならぬ雰囲気の中、PKの蹴り直しとなる。本日3回目の土橋のキックをGK水上が好セーブで止めるが、再び主審がゲームを止める。この不明瞭なジャッジに場内は騒然となった。罵声が飛び交い、時間は浪費される。濱吉監督も「マッチ(コミッショナー)出てこないと収まらないよ!」と声を上げる。結果、ドロップボールからのリスタートとなるが、これもゴールに繋げる事が出来ない。
後は、石川も守備固めと時間稼ぎを意図した余裕の選手交代。5分のロスタイムもあえなく過ぎ、1-4での完敗を喫した。
MOMを選ぶならば、間違いなく石川のGK水上だろう。好セーブとPK阻止は間違いなく勝因の一つである。一方で幾つかの決定機を松本は外している。技術的な問題というより、運に見放されたのでは、と思いたくなるほどゴールは遠かった。2試合で6失点という守備も気にかかる。
「これが実力、これがサッカー。(サポーターには)雨の中、アウェイまで来てくれたのに不甲斐ない試合で申し訳ない」(MF竹内優)
「芝がスリッピーでボールが収まらなかった。サイドからの攻撃も上手くいかなかった」(MF高沢尚利)
完敗に試合後の選手たちの足取りは重かった。しかし、「可能性はゼロじゃない」(MF竹内)のである。首位を走るJAPANサッカーカレッジとの勝ち点差は4。自力優勝の芽は潰えたが、残り3節、逆転は可能である。
今、僕等に出来ることは?
今こそ、今年のスローガンを思い出してみよう。「団結 〜Break Through〜」――この危機を跳ね返すには、皆が団結するしかないんだ。【了】
■試合情報
フェルヴォローザ石川・白山FC 4-1 松本山雅FC
得点:東山(12分)、竹内(17分)、打田(20分)、渡邉(52分)、河田(63分)
GK:三栗寛士
DF:金澤慶一、矢畑智裕、三本菅崇、吉田匡良
MF:石川航平、小澤修一→白尾秀人、竹内優→尾林陽介、高沢尚利、土橋宏由樹
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パブリック・ジャーナリスト 多岐 太宿
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