ウェストハムのアルゼンチン代表FWカルロス・テベスに、レアル・マドリー移籍の可能性が浮上している。2006-07シーズンのスペイン王者に輝いたレアルは、スポーツ・ディレクターのプレドラグ・ミヤトビッチが、テベスの保有権を持つと主張するメディア・スポーツ・インベストメント(MSI)社のキア・ジョオラビキアンとの交渉に臨み、3000万ポンド(約74億円)の移籍金で合意に達したとされている。

 しかし、ジョオラビキアンの保有権を認めていないウェストハム側は、今回の合意を無視する姿勢を示している。今年の4月には、昨夏の移籍マーケットでテベスを、アルゼンチン代表で同僚のハビエル・マスチェラーノ(現リバプール)とともにブラジルのコリンチャンスから獲得した際、ジョオラビキアンが移籍交渉に関与したとして、クラブ間の移籍に第三者の介入を禁ずるプレミアリーグの規則に抵触していると指摘されたウェストハム。調査の結果、規則違反が認められ、クラブに対する罰金としては過去最高額の550万ポンド(約14億円)が課されている。しかし、シーズン終盤にテベスの活躍でプレミア残留を決めたウェストハムに対し、18位で降格が決まっているシェフィールド・ユナイテッドは、罰金に加え、勝点剥奪も課すべきとの訴えを起こしており、現在調停会議が開かれているところだ。

 それでも、いまだテベスの保有権を主張するジョオラビキアンは、今夏の移籍マーケットで欧州のビッグクラブに売り込みを続けており、リバプールやチェルシーなどのプレミアクラブに加え、セリエAのインテルも獲得に興味を示していた。しかし、MSI社の投資家に対する利益を求めるジョオラビキアンは、3000万ポンド(約74億円)と高額の移籍金を要求しており、現時点でこの条件を受け入れるのはレアルだけと見られている。

 不透明な金の動きばかりが取り沙汰されるテベスの移籍。ウェストハムの首脳陣を無視して進められるレアルへの移籍交渉が成立した場合、移籍金の行方など、再び数多くの疑惑を生む結果となりそうだ。