今年の大河ドラマ『風林火山』は、近年の大河に不足していた"男臭さ・泥臭さ"に満ちあふれていて、ドラマとしての出来映えもかなりのもの。ネット上では「ここ10年で最高の大河」という評価もされています。私も初回からほぼ全話リアルタイムで鑑賞しています。こんなに次回が待ち遠しい番組は、アニメを含む全TV番組の中で今年NO.1だったりします(アニメはもっとガンガレ)。

物語の主人公・山本勘助は浪人として登場します。序盤で勘助は、武田晴信(信玄)の父・信虎に女房(ミツ)を殺されたことから武田に恨みを抱き、武田を本気で滅ぼそうと考えます。そして勘助は武田軍と戦ったり、信虎に斬りかかったりと、後に武田の軍師になるとは到底思えない行動を取るのです。

勘助が憎んだ信虎は、その後長男・晴信に甲斐の国を追放されてしまいます(あまりに暴君だったため)。この辺のくだりは時代劇として最高の盛り上がりだったので、観ていない人は不幸すぎです。NHKはすぐにでも1話からの再放送を開始するか、総集編を早急に投入するなどして、フォローをしていただきたいと願う次第であります(超私信)。

勘助は第13回「招かれざる男」でようやく武田家に召し抱えられます。それまでは隻眼で片足も不自由という風貌から、武士として仕官を望んでも願いは叶えられませんでした。今川義元、北条氏康という超大物に直接謁見する機会を得ても、仕官は全て断られるという始末。さらに義理の親から裏切られたり、実の兄に殺されかけたりと不遇な日々を過ごします。そんな状況が前半かなり長く続いたので、本当に大河ドラマ(しかも戦国もの)の主人公なのかと疑わしく感じることもしばしばでした。

晴信が勘助を召し抱えようと思ったのは、戦場で勘助の働きに苦しめられた経験によるもので、その知略を買ってのことでした。ところが、これも譜代の家臣からの猛反発を受け、公開処刑されかけます。まさに不幸の総合総社といったところです。冷静に考えたら足軽大将として初仕官するのが42歳、それまでずっと浪人だったという状況もすごい話です。戦国時代は、人生50年といわれた時代なのに…。

回を重ねるごとにドラマの評価は上がっていきましたが、同時に「せっかく面白いのに、Gacktは大丈夫なのか?」と、むしろ謙信登場は不安要素と懸念されるようになりました。そうした注目の中、Gacktはしっかりと存在感を示したのですから、天晴れというしかありません。Gacktがキャスティングされなければ『風林火山』というタイトルを見ても「はいはい、定番の信玄ものね」と、それほど興味は示さなかった人も多かったと思えるので、個人的にもGacktには本当に感謝しています。

TVアニメ『TEXHNOLYZE(テクノライズ)』のエンディングテーマ(以下ED)『月の詩』のCDに封入されていた初回特典アーティストカード。こんなにも可憐(?)なGacktが後に軍神としてキャスティングされるとは……。