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【独女通信】独女通信がPJ記者に物申す

2007年06月18日18時00分 / 提供:独女通信

独女通信

「原因は女性」に言いたい

 7月1日から、東海道山陽新幹線で導入される新しい車両のデッキに、監視カメラが設置されることになったという。増え続ける列車内での事件を防ぐ狙いがあるようだ。

 列車内の事件として記憶に新しいのが、JR西日本の特急車内で起こった暴行事件だろう。大勢の人間がいる中で、決してあってはならない卑劣な犯行が行われたことに、衝撃を受けた人も多いはずだ。

 この事件はさまざまな議論を呼んだが、ライブドアPJニュース*では「この事件で一番悪いのは、日本人女性の自己主張のなさ」という、信じられない記事が掲載された。レイプ事件、「一番ワルい」のは誰だ。PJニュース記者の言い分はこうである。

「電車やバスに乗り合わせた見知らぬ女性に、『この暴行事件で、悪いのは誰だと思うか?』と聞いたところ、はっきり答えない人がほとんどだった。そうしたあいまいな態度こそが暴行を招く。だから、この事件は一番女性が悪いのだ。また、女性に言いたいのは、太ももやパンツが見えるような服装が痴漢を誘発しているということだ」。

 女性から見ると、この男性記者の言い分は女性を取り巻く世界をまったく理解していない、的外れなものだといえる。

1.女性たちが感じる恐怖の大きさ
 痴漢などに遭遇したとき、痴漢を警察に突き出す勇気ある女性もいるが、すぐに行動を起こせる女性は実は少ない。何が起こったのかわからずに頭が真っ白になってしまう人、恐怖で動けなくなってしまう人がほとんどではないだろうか。自分より腕力の強い人間に、デリケートな部分に土足で踏み込まれたときの恐怖がどれほどのものか、想像してほしい。
 また記事中では、「自己主張すればいい」と言うが、「やめてくれ」と自己主張すれば犯人が暴行をやめるとは限らない。「自己主張をしない人が悪い」は見当違いである。

2.見知らぬ人に本音は言わない
 記者は、電車やバスに乗り合わせた女性の曖昧さを批判しているが見知らぬ男に「ネットジャーナリストです」といきなり話しかけられて、若い女性が本音を言うだろうか? 電車やバスという密室では逃げられないから、無視もできない。また、相手が「ジャーナリストだ」と自己申告していても、本当のところはわからない。そんな相手に本音を言って逆上されたらたまらない。女性たちが見知らぬ人間に本音を言わないのは当然である。

3.露出度が高い服装は痴漢を誘発するという誤解
 派手な服装が痴漢を誘発する、という主張は思い込みである。というのも、派手な服装をしている=痴漢に会う、とは限らないからだ。むしろ、地味な格好や大人しそうな格好をしているときの方が痴漢に会う、という経験談を語る女性も多い。筆者が痴漢にあったのも、ボディラインのわからないTシャツを着ていたときや、ロングスカートを履いていたときである。また、護身術を習っていた女性は、「護身術を習ったおかげで自信がつき、それが表情に表れているのか、痴漢に会わなくなった」と言う。つまり、痴漢は大人しそうな人や抵抗できなさそうな人を選ぶ傾向にあり、服装の派手さと痴漢被害が直結しているわけではないのである。

4.犯罪の要因を被害者に背負わせる非情さ
 記事内では「犯罪の原因は被害者にある」と断言しているが、これは言語道断である。犯罪に遭遇してしまったとき、被害者の中には「自分にも何か反省点があったのでは」と考えてしまう人もいるだろう。しかし、それはあくまでも被害者自身が今後、つらい思いをしないためにどうすればいいか考えているということ。そこを拡大解釈し、「犯罪の原因」にまで引き揚げてしまっては、犯罪そのものを肯定し、誘発しかねない。「被害にあった女性も悪い」「被害者が悪い」と切り捨てることは、放火事件の被害者に「家を建てたあんたが悪い」、窃盗の被害者に「お金を持ってるのが悪い」、殺人事件の被害者に「殺される人間が悪い」と言うことと同じではないだろうか。昨今のいじめ問題においても「いじめられる側にも問題がある」という声が聞かれる。大人の社会でこのような、犯罪の被害者に非を求める「強者の論理」がまかり通っているのでは、子供の社会でのいじめがなくなるのも難しいのではないだろうか。

さて、このPJ記事の仰天主張には、多くの男性から「これはひどい」という意見が殺到した。その事実に、女性の一人として胸をなでおろした。今後このような事件が起こらないことを願うと同時に、被害にあった女性の心が癒えるよう祈りたい。(栗頭渋子)

*PJニュースとは、livedoorニュースが認定した市民記者が発信している記事のこと。

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