10日からオランダでU21欧州選手権が開催されている。参加8カ国がグループA(オランダ、ベルギー、ポルトガル、イスラエル)とグループB(セルビア、イングランド、イタリア、チェコ)に分かれ、16日現在予選グループを2戦終えたところだ。すでに各国リーグで頭角を現し始めている若武者たちの熱戦の陰には、この大会が2008年北京オリンピックの欧州予選を兼ねている事情がある。

 前回のアテネ五輪で“史上最強”といわれた日本代表が、本大会予選グループにおいてイタリア代表にコテンパンにやられたのを記憶に留めている読者も多いのではないだろうか。歴代のU21伊代表は、同欧州選手権で5度の最多優勝を誇り、今オランダ大会でも優勝候補の一角と見られていた。英国ブックメーカー予想では一番人気をつけていた。

 ところが蓋を開けてみたら、緒戦のセルビア戦に破れ、14日のイングランド戦では2対2のドロー。同グループのセルビアがすでに準決勝進出を決めたため、17日のチェコ戦で勝っても、イングランド対セルビア戦の結果次第という崖っぷちに追い込まれている。

 FWロッシ(パルマ)、MFロジーナ(トリノ)、MFモントリーボ(フィオレンティーナ)、MFアクイラーニ(ローマ)などタレントは豊富に揃っているのだが、それぞれ所属クラブで長いシーズンを戦った直後で疲労が抜けきっていないことと、他参加国を甘く見た慢心があったことは否めない。チームを率いるカシラギ監督は「ここであきらめてしまうことは誤りだ。まだ予選通過は可能」と気丈なところを見せているが、北京五輪出場は風前の灯火といえる。

弓削高志