■『シャーリー』作:森薫/発行:エンターブレイン

こちらは正統派のメイド漫画です。森薫のメイド漫画といえばTVアニメにもなった『エマ』があまりにも有名ですが、メイドガイと一緒に紹介するのは、なんとなく気が引けるので『エマ』の前身となった『シャーリー』の方をご紹介してみます。これは同人誌で発表されていた作品を単行本にまとめたもので、技術的には色々と未熟なのですが、作者もその辺は百も承知。巻末のあとがきで自分の昔の原稿を見て、あまりの恥ずかしさに頭を抱える自分を自虐的に描いたりしています。

収録されているのは『シャーリー』1〜5話と他2編ですが、ここでは『シャーリー』についてのみ書きます。舞台は19世紀末の英国。カフェの女主人・ベネットは、メイド募集を見てやってきた13歳の黒髪の少女「シャーリー」に出会います。住み込みで働かせるには若すぎると思いながらも、断ったら他に行くアテもないだろうということで、とりあえず雇ってみることにします。口数が少なくおとなしいシャーリーにちょっと不安を抱えながら。

働かせてみるとシャーリーは掃除も料理もこなせるしっかり者だったので、ベネットは「ああ私、最高に当たり引いたかも……」と大感激。そんなメイドのシャーリーですが、やはりそこは13歳の女の子。初めて着たメイドの衣装に感激して鏡の前でこっそりスカートをひるがえしてみたり、プレゼントでもらった人形に手作りで服を作ってあげたり、女の子らしい部分も見せてくれます。このあたりの萌えっぷりが作品の肝になっています。

作者の森薫氏は女性なのですが、メイドにかける過剰な愛情ぶりから、実は男ではないかという疑惑を読者から受けた経験が何度もあるといいます。絵柄だけを見れば女性と言われても不思議はないのですが、作品のメイド描写を見ると、確かに同性が萌えるにしてはあまりも愛が溢れすぎている気がしないでもありません。

この『シャーリー』には作者のパッションが込められた、というかパッションのみで描かれた作品が収録されています。メイドさんを泣いたり笑ったりさせたいという願望を原動力にして、同人誌からメジャーデビューし、自他共に認めるメイド萌え漫画家としての地位を確立したのですから凄いものです。そんな作者はシャーリーには思い入れがあるようで、いつか続きを描きたいとも語っています。私もその願いがかなう日が来ることを願ってやみません。


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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。

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