「セガゲーム」家庭用機編
セガのアーケードゲームに熱中した時代を振り返った前回。今回は「メガドライブ」などの家庭用ゲーム機と、そこから生み出された数々のゲームソフトの魅力とエンジニアのかかわりにスポットを当ててみたい。

○前篇の要約
お二人のエンジニアが、セガアーケードの魅力を「これでもか!」というほど、語りつくしていただいた。 今回の家庭用ゲーム機編では、深いセガへの愛(一部ゆがんだ愛?)を感じさせる、よりディープな話が飛び出した。
⇒前編はコチラ


■お持ちだった家庭用ゲーム機ソフトはなんですか?

片野: マスターシステム(前編参照)です。FM音源対応のソフトを特にプレイしてましたね。FM音源がとにかく魅力的でした。「ファンタシースター」(※1)、「スーパーバブルボブル」(※2)、「アルゴスの戦士」(※3)、「ソロモンの鍵」(※4)とかをやりました。液晶シャッター式の3Dグラス(※5)が周辺機器にあって、「スペースハリアー3D」が出たのですが、目が疲れるんで、裏技コマンドで3Dをオフにしてプレイしてました(笑)。

恒田: 自分はメガドライブです。とにかくグラフィックの精細さが素晴らしかったですね。もちろん、FM音源も。「これはすごいぞ、16ビットだ!」と意味もわからずに小学校の担任の先生に自慢していました(笑)。メガドライブのソフトはほとんどプレイしましたね。友人に『BEEP!メガドライブ』(前編参照)を貸して、布教をしてました(笑)。(メガドライブを買わない人には)「なんでこのすごさがわからないんだ!」といら立ちを感じるときもありましたが。

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ファンタシースター(※1)
1987年にセガが発売した、セガ初のオリジナルRPG。マーク?、マスターシステム共用のソフト。滑らかな3Dダンジョンや敵のエフェクトなど、それまで培われたセガの技術が盛り込まれたゲームである。当時としては珍しく、アリサという女性が主人公で、世界観もSFが加えられているなど、ほかのRPGとは違う魅力があった。後にメガドライブで「ファンタシースター?」が発売され、こちらも人気を博した。

スーパーバブルボブル(※2)
タイトーが発売した固定画面アクションゲーム。「泡」を題材にした独特のアクションを用いる。二人同時プレイにより、優れた連携アクションを楽しむことができる

アルゴスの戦士(※3)
1986年にテクモが発売したアクションゲーム。マーク?・マスターシステム向けには1988年に「アルゴスの十字剣」というタイトルで移植された。ディスカーマーというヨーヨーのような武器を使う戦士となり、世界を支配する獣王ライガーを倒す。

ソロモンの鍵(※4)
1986年にテクモが発売したステージ型アクションパズルゲーム。マーク?・マスターシステム向けには1988年にテクモから許諾を受けたサリオがファミリーコンピュータ版のものを移植したものが発売された。FM音源対応ソフトである。

液晶シャッター式の3Dグラス(※5)
サングラス型の周辺機器。3D対応のソフトをプレイする際にこのメガネをかけると立体的な画面でプレイすることができた。友達が同じグラスを持っている場合、ツインステレオジャックを使って、二人同時に立体映像を見ることも可能だった。
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■ファミコンとの違いと、その魅力は何ですか?

恒田: とにかくグラフィックと音がまるで違う。16ビットによる画面の美しさには当時、衝撃を受けました。「メガドライブの高い技術には未来がある」と思った人が、ファミコンでなく、メガドライブを選んだんだと思いますよ。

片野: FM音源がとにかくよかったです。アーケードで耳が肥えていたので、ファミコンのピコピコ音がどうも……。

恒田: やっぱりFM音源だと変わりますよね。音楽が違うと、ゲームに対する集中度も全然違う。よりいいものを聞いてしまうと戻れないというか。

片野: それと、セガはメガアダプタ(※6)みたいに、メガドライブで、前機種であるマスターシステムのソフトも遊べるというようなキットを作っていて、そのあたりがユーザー本位で好きでした。

恒田: 自分はメガドライブにいちばん熱中していたのですが、例えばファミコンのシューティングゲームだと、画面に出る敵の弾の数に限りがあって、すぐにプレイできる「難易度の頂点」まで到達しちゃうんですよ。でも、メガドライブはハードウェアの性能が高いので、簡単には到達できない。「TATSUJIN」(※7)というゲームがあったのですが、文字どおり達人向けのゲームで、弾のばらまきの数が画面を埋め尽くすほどの「ありえない量」で、かなりの難易度でしたね。

片野: セガのほうが自分の主張を通しているように見えましたね。こだわりを感じましたし、高いクオリティを感じた。ゲームのスピード感もすごかったですし。ファミコンでなくセガを選んだのは、「群れる」のが好きじゃなかったのもあります。

恒田: 一般の人からすると、メガドライブは「稀」な存在で、親友には言えるけど、クラスで堂々というのは正直、カミングアウトに近かった(笑)。

片野: 会話が合わないって言うのはありましたね。私もメガドライブユーザーの仲間内で話をしてました。

恒田: メガドライブユーザー同士の結束は固かったですけどね。

片野: 何年たっても仲間の数は増えないんですが、減りもしないって感じでしたね。結局、ファミコンをやりたいとは一回も思わなかった。1時間くらいやってみたのですが「ああ、違うな」って。音やグラフィックスに満足できなかったり、それに十字キーが使いづらくて。

恒田: 初代メガドライブも難易度の高いコントローラー(※8)でしたけどね(笑)。自分もみんなの仲間になるためにファミコンをやろうと思ったことはないですね。つるんでゲーセンに行くとかはありましたが。

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TATSUJIN(※7)
1989年に東亜プランが製作した縦スクロールシューティングゲーム。シューティングゲームに定評のある会社で、後に出した「達人王」も人気を博した。

初代メガドライブも難易度の高いコントローラー(※8)
3ボタンコントロールパッドで、キーがうまく入らないなどの弊害があった。後に改良される
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さらに白熱する「セガゲーム」座談会の模様に加え
コラム「移り行くゲームセンターの存在価値とは?」を掲載中
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