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「前例のない高齢社会」へは、「前例主義」ではなく新しい発想での対応を!

【PJ 2007年06月11日】− 平成19年度版高齢社会白書が手元にある。数字で実態を語るそのタイトルを眺めてみても、「我が国の高齢化の現状は、5人に1人が高齢者となっている」「今後、2.5人に1人が高齢者、4人に1人が後期高齢者という社会が到来」「男性83.67歳、女性90.34歳まで生きられる」であり「我が国は世界のどの国も経験したことのない高齢社会となる」としている。

 この現実を、統計的な数字の把握だけでなく実態として政府は認識しているのだろうか。年金の各種問題や、介護保険の問題など、世の中で起きていることは、すべて高齢社会の問題である。年金では、退職金や企業年金などで恵まれている層と、老齢基礎年金のみや厚生年金の報酬比例部分の加算も多くない層との、「所得格差」が明らかに大きく存在している。それは、現役時代に苦労した層と裕福に暮らした層の差が、そのまま継続しているのである。今回の加入記録問題でも、確認に手間取る層は、この現役時代に苦労した層である。日々の生活を優先させ、生きることを一所懸命にして来た層だ。

 介護にしても同様である。高齢者の要介護者等数は急速に増加しており、特に後期高齢者で割合が高くなっている。「老老介護」とよばれるものも相当数存在する。悠々自適の生活ができる層は、結局は現役時代にしっかり稼いで、貯金や資産を多く持っている層なのだ。

 高齢者だからとして、生活のためには簡単にリタイヤできる状況ではないのである。現在の高齢者は日本の高度成長を支えた人たちである。現役時代の所得とは貨幣価値の違う年金を得ることが出来ている世代だ。その意味ではリタイヤも可能だったであろう。その年金を支えた、団塊世代が高齢者に到達し、その年金支給が実際に始まるとどのような世界が現出するか、政府の想定は、とても甘いように思われる。「前例のない高齢社会を活力あり安心できるものにしていくための政策や取組の方向性」として、白書では、以下の事項を掲げている。

 1)固定観念を見直し、「高齢者は高齢社会を支えることが可能な貴重なマンパワー」であると意識を転換する。2)労使双方の努力で、「世代を通じたワークライフバランスの実現」を可能にし、働く意欲のある高齢者の「ワーク」に向けられる時間を増やす。3)高齢者の「ライフ」を充実させるため、高齢者が地域参加するきっかけをつくることが重要であり、市町村等の「地域の仲人」的な役割に期待する。4)高齢者が「ちょっとした手助け」に一歩踏み出すことが高齢者の安心の基盤になることを考える、とりわけ、地域社会の力で高齢者を地域で孤立させないことの必要性を認識する。5)自分の健康づくりは、「自己責任」という意識をもつ。6)50代になったら「高齢期の人生プラン」を考えてみる。7)高齢者が安心し活動しやすいまちづくりの重要性を認識する。

 この対策には、「生活」という姿が全く見えていない。社会の意識転換は簡単ではない。結局は、5項目でも語られている「自己責任」ですべてを処理しようとする考え方であることがはっきりとしている。「前例」主義の行政が、いまだかつてない「前例のない高齢社会」に直面してその困惑が大きいことは、この方向性の項目でもはっきりしているようだ。

 もう、先送りができない「前例のない高齢社会」への対策は、より具体的な新しい発想と内容にする必要がある。世代間の意識的な対立も予想できることだ。70年代に「団塊の世代」が社会を変えた力が、新しい「高齢社会」を生み出せるような政策を講じなければならない。そのためには、いま直面している年金記録問題や介護保険の問題をきちんと納得できるかたちでの「安心」を政府は示すことである。

 前例主義や持ち回りの「お役所仕事」では到底解決できない。最短の時間での「不安」の除去である。年金記録問題は、その数からして、個人の問題とするのではなく、全体的・構造的な問題としてとらえ、全体が納得・了解でき、その方法が良い「前例」となる革新・改革的な「英断」がある筈だと、私は考える。意外とコンピュータ世代の若い人たちのほうが、その方法を知っているのだろう。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 鈴木 修司【 愛知県 】
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