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マスメディア集中排除原則を破るTV業界がなぜ楽天を排除できるのか!(上)
2007年06月11日08時13分 / 提供:PJ
【PJ 2007年06月11日】−
2005年10月に楽天がTBSに対し経営統合を申し入れてから約2年8カ月が過ぎた。その間主要銀行の仲介で一次休戦の時期もあったが、今年2月末に楽天がその保有するTBS株式の約半数の信託契約の終了を発表したことで、両社の友好的な業務提携協議の枠組みははずれた。
4月19日に楽天がTBS株を20%超まで取得すると表明するにおよび事態は再度緊迫、その後、両者は質問書等によるつばぜり合いを繰り返してきた。そしてこの6月6日、楽天はTBS保有株式の詳細を記載した会計帳簿の閲覧請求に同社が応じるよう求める仮処分を東京地裁に申請した。経営統合申入れ後の2年間(05年度−06年度)におけるTBSの株式取得額約926億円がそれ以前の3年間の180億円と比べ金額が突出していると指摘。TBSが安定株主づくりを急いだために他の株主の利益を毀損(きそん)する株式取引が行われた疑いが拭えず、それに関連する帳簿を閲覧し取引内容の詳細を確認する狙いと見られている。
この行為は株主総会までの時間的な問題もあり仮処分の申請となったと推測されるが、会社法第5章「計算等」の第433条に定める「会計帳簿の閲覧等の請求権」に基づき行われたものであり、法的に批議するところはない。これまでの会計帳簿の閲覧請求訴訟では、同条2項に規定する拒絶事項に実態的に該当するかどうかで、最高裁の判決は分かれている。仮処分申請の認否は司法判断に任せるのは当然だが、本件については株式取得金額の異常値を考慮すれば、素人目には取締役の地位保全にその取引行為が該当する可能性も否定しきれず、その点に絞った帳簿閲覧ということであれば、請求の妥当性が認められるように感じられる。
その申請に関し井上弘TBS社長は同日の定例記者会見で「安定株主工作は場合によっては特別背任罪」と申請書のなかで糾弾されたことに対し「名誉棄損」であると強い不快感を示すと同時に、株式買い増しについても「労組や社内有志からの反対声明も出て」いるとして、「全社一丸となって」同社と対決すると強い姿勢を見せつけた。
一方で、前日の5日にはTBS系列のテレビ局27社が楽天による株買い増し反対声明を発表した。その理由は「放送が何者にも支配されない、中立性を保持することが基本」であり、「放送の公共性」の維持を難しくする特定企業による大量株取得には反対というものであった。
しかし、TBSは堂々たる東証一部上場企業である。いやしくも株式市場に上場する企業は原則、等しく市場の論理・法律・社会規範に則って行動すべきものである。株主の利益擁護の視点から発行済株式の3%以上の株式を有する株主の権利に基づき正当に請求されたものについて、「名誉毀損」と言うのであればこれまでのように帳簿閲覧を拒む理由はない。取引内容を閲覧させて特別背任などないことを堂々と示せばよい。
ただ、放送事業者はその公共性、公益性によって例えば市場論理で言えば、「航空法」「NTT法」等と同様に「電波法」「放送法」で外国人等の保有比率が一定割合に制限されている法的規制業種に指定されている。もちろんTBS株式もそのひとつである。
また「放送法」の第2条第2項および「放送局の開設の根本的基準」(昭和二十五年十二月五日電波監理委員会規則第二十一号)の第9条等において「放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにする」ため放送事業の株主には、10分の1を超える議決権の保有を禁止する等の規制がかけられている。
その主旨は放送法の第3条にいう「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」や「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を担保するため、偏った資本構成になることで番組編集の客観性を損ねたり、為にする放送を強要させられるといった事態を回避するものである。この規制の考え方が「マスメディア集中排除原則」といわれるものである。【つづく】
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パブリック・ジャーナリスト 野田 博明【 東京都 】
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4月19日に楽天がTBS株を20%超まで取得すると表明するにおよび事態は再度緊迫、その後、両者は質問書等によるつばぜり合いを繰り返してきた。そしてこの6月6日、楽天はTBS保有株式の詳細を記載した会計帳簿の閲覧請求に同社が応じるよう求める仮処分を東京地裁に申請した。経営統合申入れ後の2年間(05年度−06年度)におけるTBSの株式取得額約926億円がそれ以前の3年間の180億円と比べ金額が突出していると指摘。TBSが安定株主づくりを急いだために他の株主の利益を毀損(きそん)する株式取引が行われた疑いが拭えず、それに関連する帳簿を閲覧し取引内容の詳細を確認する狙いと見られている。
この行為は株主総会までの時間的な問題もあり仮処分の申請となったと推測されるが、会社法第5章「計算等」の第433条に定める「会計帳簿の閲覧等の請求権」に基づき行われたものであり、法的に批議するところはない。これまでの会計帳簿の閲覧請求訴訟では、同条2項に規定する拒絶事項に実態的に該当するかどうかで、最高裁の判決は分かれている。仮処分申請の認否は司法判断に任せるのは当然だが、本件については株式取得金額の異常値を考慮すれば、素人目には取締役の地位保全にその取引行為が該当する可能性も否定しきれず、その点に絞った帳簿閲覧ということであれば、請求の妥当性が認められるように感じられる。
その申請に関し井上弘TBS社長は同日の定例記者会見で「安定株主工作は場合によっては特別背任罪」と申請書のなかで糾弾されたことに対し「名誉棄損」であると強い不快感を示すと同時に、株式買い増しについても「労組や社内有志からの反対声明も出て」いるとして、「全社一丸となって」同社と対決すると強い姿勢を見せつけた。
一方で、前日の5日にはTBS系列のテレビ局27社が楽天による株買い増し反対声明を発表した。その理由は「放送が何者にも支配されない、中立性を保持することが基本」であり、「放送の公共性」の維持を難しくする特定企業による大量株取得には反対というものであった。
しかし、TBSは堂々たる東証一部上場企業である。いやしくも株式市場に上場する企業は原則、等しく市場の論理・法律・社会規範に則って行動すべきものである。株主の利益擁護の視点から発行済株式の3%以上の株式を有する株主の権利に基づき正当に請求されたものについて、「名誉毀損」と言うのであればこれまでのように帳簿閲覧を拒む理由はない。取引内容を閲覧させて特別背任などないことを堂々と示せばよい。
ただ、放送事業者はその公共性、公益性によって例えば市場論理で言えば、「航空法」「NTT法」等と同様に「電波法」「放送法」で外国人等の保有比率が一定割合に制限されている法的規制業種に指定されている。もちろんTBS株式もそのひとつである。
また「放送法」の第2条第2項および「放送局の開設の根本的基準」(昭和二十五年十二月五日電波監理委員会規則第二十一号)の第9条等において「放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにする」ため放送事業の株主には、10分の1を超える議決権の保有を禁止する等の規制がかけられている。
その主旨は放送法の第3条にいう「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」や「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を担保するため、偏った資本構成になることで番組編集の客観性を損ねたり、為にする放送を強要させられるといった事態を回避するものである。この規制の考え方が「マスメディア集中排除原則」といわれるものである。【つづく】
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