見事復活を果たしたベッカム<br>【photo by B.O.S.】

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 イングランド代表のスティーブ・マクラーレン監督が、MFデイビッド・ベッカムの代表復帰について改めてコメント。ドイツ・ワールドカップ終了後に代表メンバーから外した自らの決断については、「決して間違いではなかった」と語った。

 先日、親善試合のブラジル戦で代表復帰を果たしたベッカムは、ユーロ2008予選のエストニア戦でも、スタメン出場で2アシストを記録する大活躍。予選グループで4位に沈み、本大会出場が危ぶまれていたチームに貴重な勝点3をもたらした。

 一方、このベッカム復活劇で、再びその立場を危うくしているのが指揮官のマクラーレンだ。ユーロ予選で苦戦を強いられる代表の姿に、ベッカム復帰を叫び続けたサポーターからは、「もっと早くベッカムを復帰させていれば…」との批判も。しかし指揮官は、ベッカム復帰のタイミングは「この時期しかなかった」と語っている。

「私は何も後悔などしていない。時間を戻せるとしても、自分の決断を帰るつもりはないよ。デイビッドをメンバーから外した決断も、そして今回再び呼び戻した決断もね。タイミング的にも決して間違いではなかったと思っている。現時点の彼こそ、我々が知っているデイビッド・ベッカムなんだ」

 さらにマクラーレンは、ベッカムが完全復活を果たした要因のひとつに、イングランド代表のメンバーから外した自らの決断があると豪語している。

「どんな世界でも同じことだが、何かを変えるにはある程度のショックが必要なんだ。それは、個人でもチームでも同じこと。これは、スポーツ界で特に顕著なんだ。逆境に立たされたとき、いかに対処するか。それこそが、選手の実力を証明する。例えば、マイケル・オーウェンはケガで長期間の戦線離脱を余儀なくされたが、以前よりレベルアップして戻ってきた。デイビッドの場合でも、代表落選に対して、私の予想通りの反応を示した。そして、努力を重ねた結果、選手として一回り大きくなって帰ってきたんだ」

 6日のエストニア戦で勝利を収め、ユーロ2008の本大会出場に望みを残したイングランド。勝点3を逃せば解任は確実と言われていたマクラーレンも、ベッカム復帰という“最後の一手”が大当たりし、大満足の様子だ。しかし今回の決断は同時に、前任者のスベン・ゴラン・エリクソンが陥った“ベッカム依存症”再発の危険性もはらんでいる。それだけに、代表メンバーの発表を迎えるたび、指揮官はその決断力を問われ続けることになる。