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【書評】『千円札は拾うな。』 安田佳生著=残業をやめれば、給料は増える?

【書評】『千円札は拾うな。』 安田佳生著=残業をやめれば、給料は増える?
職場によっては、残業をすればなんとかなる、といった古い考えの上司もいるだろう。そんな人は、この本を読んでも理解できないだろう。しかし、我々は、無報酬で残業をさせるような会社から、自分の身を守るためにも著者の残業についての考えを頭に入れておきたい。(撮影:堀口剛)
【PJ 2007年06月04日】− 千円札が道端に落ちていたら、あなたはどうするだろうか?「拾う」という人がほとんどではないかと思うが、いかかであろう。しかし、著者はタイトルで示している通り『千円札は拾うな。』と言っている。その理由とは一体何であろう?

 「千円札を拾うと目線が下がり、他のものが見えなくなるから」だそうである。この表現には、直訳以上にもっと深い意味がありそうだ。この本は、時間のとらえ方、お金の上手な使い方から、経営やファッションなどのテーマについて書かれている。また、本の帯には“残業をやめれば、給料は増える。”と気になる内容が書かれているが、残業する人は頑張っている人なのか? 残業をして休みなく働くことは良いことなのか? など、「残業」に対する著者の考えが非常に興味深い内容になっている。

 著者は、毎日を馬車馬のように働くビジネスマンに対して、「残業をやめ、週休三日にしましょう」と提案している。そうすると、「ふざけるな! 仕事があるから休めないじゃんか!」と言われるそうである。しかし、これが最も効果の高い解決策という。仕事の効果を上げるためには、“しっかり休む”ことも必要であるという。「仕事の時間が足りない」いう人は、中途半端に時間が足りない人だそうで、「休日出勤すれば何とかなる」と思って休日出勤をして何とかしてしまう。週休三日ならば、どんなに頑張ってもこなしきれないので、「頭を使う」ようになり仕事の効率がアップするとのことである。

 確かに毎日毎日仕事に追われてしまうと、それをこなすので精一杯になり、なかなか新しい発想も生まれない。また、体が健康な状態ならば、単に仕事をこなすということは容易であるが、気が付かないうちに健康管理を怠っていて、ある日突然倒れてしまうということもよくあることだ。そうなった場合、過去の自分に後悔しても“時すでに遅し”である。このとき初めて、“自分の体は自分で守らなければいけない”ということを知るだろう。

 著者は「頑張るというのは、一見しんどいことのように思えるのだが、実はそれほど苦しいことではない」と言う。逆に、残業をやめて定時で帰宅する、頑張ることをやめると、慣れ親しんだ仕事のやり方を捨て、全く違うやり方に変えざるをえなくなる。「頑張らない」ほうがしんどいと言っている。これは、古い考え方を持つ人に聞かせてあげたい言葉である。

 日本人は頑張るのが好きである、ということを著者も言っているが、何でも頑張ればよい、というのが日本における美徳になっている。「残業する人=頑張っている人」が成り立つから、逆に「定時で帰る人=頑張っていない人」という言い方もできるだろう。ただ頑張って残業すればいいのだろうか?

 本書では、夜遅くまで残業している人がすべて成績を伸ばしているか、ということに対し「NO」と答えている。これは製造業にたとえると、バブルの頃はものは作れば作っただけ売れた。だから人より長い時間コツコツと頑張れば成果が得られたが、今は中国で作れば同じものが半分のコストで作れてしまい、いくら頑張っても同じ製品で勝つことはできない、とのことである。これと同じで慣れ親しんだ仕事のやり方を捨てるべきと言っている。

 定時で帰る人の職場における立場はどうだろう?「お疲れさま!」と言って先に帰るのが帰りにくい雰囲気だったり、職場で早く帰るだけで、他の人と違う扱いをされたりすることもある。時間の使い方を考えずに、だらだらと残業をしているほうが怠け者ではないだろうか。定時までしっかりと仕事をして帰宅する。そして、自分の時間の管理をしっかりとする、こういうところから、効率的な仕事が生まれると思うのだが。自分の時間を管理して定時で帰る人が好ましく思われないのはおかしいことである。

 「残業に対する自分の考えが周囲の人と違うのではないだろうか?」そんな疑問を持っている方も多いのではないだろうか。このような話題はきっとまわりの人に相談しても解決しないだろう。時間の使い方に関して自分の考えのもとに行動している人は少ないと思えるからである。しかし、この本を読めば、残業に対してこのような考えもあるのか、ということがわかるだろう。

 仕事は“定時で帰るべき”という考え方の人には是非とも読んで頂きたい。もしも、職場で肩身の狭い思いをしていても、きっと自分の考えに自信が持てるはずである。著者である安田佳生氏は現在、株式会社ワイキューブの代表取締役であり、経営者という我々とは違う立場から、我々に新鮮な考えを伝えてくれる。非常に参考になる一冊である。【了】

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記者ブログ:堀口剛のライブドアPJ パブリッ
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パブリック・ジャーナリスト 堀口 剛【 埼玉県 】
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